見出し画像

銀行融資の金利の相場が、無料で簡単に手に入ります!

中小企業の社長様から、「銀行融資の金利の相場はどれくらいですか?」とか、「他社はどれくらいの金利で借りていますか?」というご質問をよくいただきます。

「ウチの金利は、他社に比べて高いのか?低いのか?」は非常に気になるところと思います。

日銀の貸出約定平均金利とは?

実は、日本銀行(以下「日銀」)が、毎月、銀行融資の平均金利を公開しています。

こちらの資料は登録不要で、上記のURLをクリックしていただければ無料で閲覧ができます。

A4サイズで、「1.新規」と「2.ストック」の2枚の資料です。

1.新規」は、「当月末貸出残高のうち、当該月中において実行した貸出にかかるもの」で、まさに直近の金利相場が分かります。

2.ストック」は、「当該月末時点において残高のあるすべての貸出にかかるもの」です。

さらに「短期」と「長期」に分かれ、「短期は1年未満、長期は1年以上の貸出」です。

さらに「都市銀行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)」「地方銀行」「第二地方銀行」「信用金庫」と、金融機関の業態別の相場が示されています。

平均相場と自社の金利から何が読み取れるか?その1

金利の相場が分かったところで、最近の自社の借入金利と相場を見比べて見てください。

もちろん金融機関の預金量や体力によっても金利は異なりますので、信用金庫から受けた融資の金利と、地方銀行の金利相場を比較しないようご注意ください。

自社が相場よりも高い金利で借りている場合、その金融機関が他社よりも御社の財務内容を、まだまだ改善の余地があると判断している可能性があります。

相場よりも低い金利であれば逆に財務内容良しとの判断です。

金融機関は御社の決算書をデータベースに登録し、各種の財務分析指標を計算し、さらに勘定科目内訳書などを読み込んで実態把握を行い、最終的に松竹梅のようにランク付けをしています。

これを「格付け」と言います。

金利のレートは格付けによって決まることが多く、他社よりもランクの高い、つまり財務内容の良い企業は倒産リスクが低いために低い金利でOK、他社よりも財務内容が悪い企業は倒産リスクが高いため高い金利を取っておこうという判断です。

ここ数年は、銀行もなかなかお金を借りてくれる企業が多くなかったことから、金利を極力下げて融資セールスをしていたこともあり、必ずしも格付けで金利が決まる訳でもありませんでしたが、皆さまの企業がその銀行でどのようなランク付けをされているかの確認のために自社の金利と相場を比較検討することは、今後の資金調達余力の確認のためにも非常に重要な作業と思います

格付けが高ければ、金利が安くなるのももちろんですが、まだまだ融資を受けられる可能性があります。

平均相場と自社の金利から何が読み取れるか?その2

平均相場と比べて自社の金利が高い場合、御社の財務内容が他社よりも改善余地ありと思われているケースと、単純に社長が銀行員との金利交渉を割けているケースがあります

ウチのような中小零細企業が銀行に金利を下げて欲しいなど言ったら、銀行員にへそを曲げられ、融資が受けられなくなっては困る」というご心配からくるものかもしれません。

そのように思われる原因の一つに、一つの金融機関としか融資取引をされていないため「この金融機関に断られたら他に相談先が無い」というプレッシャーが挙げられます。

この解決方法としては、2つ以上の金融機関と融資取引をする「複数行取引」がお勧めです。

金融機関は、例え地域密着と言われる信用金庫・信用組合といえども、ビジネスとして皆さまとお付き合いしています。

特に金融機関の各支店は収益を確保するための営業最前線ですので、自社の収益を高めるためにも「金利はできるだけ高く」という発想でいます。

そこに他の金融機関の金利や、そもそもの金利相場をご存じない社長がいれば、言い方は悪いかもしれませんが、高めの金利を吹っかけるのは営業マンとして当然です。

金利を高めにふっかけられないコツは、「金利の相場くらいは知ってるよ」というアピールと、「おたくがダメなら他に相談するよ」と言えるかどうかに尽きると思います。

金利収入は金融機関にとって一番の収益源ですので、「とにかく下げた金利で提案を持ってきて」と金利を叩き過ぎますと、金融機関の支店の上司から「儲からないところにはもう行くな!」などの指示も飛びますから、金利を叩き過ぎるのも銀行取引を悪化させますが、かと言って高い金利を払いすぎることで銀行と対等な取引が出来ずに銀行員から甘く見られ続けるのも問題です。

「でも、今まで金利について交渉したことないのに、どう交渉したら良いのか?」という社長様には、「今度、金融機関の方と交渉される際に、机の端にこの貸出約定金利のペーパーをそっと置いておいてみてください」とお勧めしています。

金融機関の方は交渉の際も部屋のあちこちに目を光らせていますので、必ず目に入るはすです。

「社長、これ、どうしたんですか?」と聞かれましたら、「いや~、会計事務所さんに教えていただきまして・・・。こちらを基に、財務内容改善のアドバイスをいただけないでしょうか」と前向きな会話をしていただければと思います。


YouTube「中小企業の財務チャンネル」




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?