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「伝えるデザイン」という言葉から思い浮かべるもの

2022年12月3日(土)、4日(日)に開催される、Designship 2022 Extra Stage「伝えるデザイン」というテーマで登壇することになったので、一緒に登壇する方々との前打ち合わせの前にあらためて「伝えるデザイン」ってなんだろうと考えてみました。
この記事を書いている時点では前打ち合わせはすでに終わっているのですが、それ以前からいまに至るまでに考えたことを言葉にしてみます。

その前打ち合わせはとても楽しく話ができたので、思わずツイートしてしまっていました。

この記事はYUMEMI Design Advent Calendar 2022の3日目でもあります。


「伝播」「共鳴」という言葉が浮かんだ

昨年もDesignship 2021のプレイベント「Open Session」で「アイデンティティのデザイン」についてお話させていただきました。
その後に書いた記事がこちらになります。

この記事内でも扱っている「つづく」という言葉、これが私がデザインを語る時に常に在る言葉であり、デザインは完結するものではなく循環するもの、その営みを実現することがデザインでもあると考えています。
そう考えているからこそ、「伝えるデザイン」を考えた時にまず浮かんできたのが、「伝播」「共鳴」という言葉でした。

「伝播」とは、伝わり広まること、文化が浸透していくことを指しており、「共鳴」は刺激を受けると振幅が増大する、響き合うことを指しています。

これは私がデザインする時に込める願いでもあるのですが、何かをつくったり、何かしらの行動を行った場合に、それだけで終わらずに対象とする人たちに届けたい/つなげたいという気持ちを持っているからこそ、出てきた言葉なのかもしれません。
この2つの言葉をもう少し掘り下げてみたいと思います。

伝える、つなぐ、つむぐ

デザインすることは何かしらの情報を伝える手段でもありますが、それは一方的な情報伝達であるだけではなく、その先、例えばその情報を受け取った人たちにどんな体験をしてほしいのか、どのように変容してほしいのか、をも考えてデザインしていると思います。
そこにはある意味、デザインする人の意思や意図を渡す、バトンを渡すような感覚があるのではないかとも思っています。
バトンを渡すことは託す、つなぐ、そういった意味合いもあります。

最初にデザインする人(これはデザイナーに限らず、意思や意図を持った人)は、その対象となるモノやコトに想いや願いを込めていると思います。誰にどのように届けたいのか、それを考えつつデザインしていきます。
ただ、どんなに考えたとしても、つくる人だけでは完結せず、受け取った人が利用したり、体験したりしてはじめてそのデザインが価値発揮されます。
だからこそ、デザインする人には、つくり出したものがどのように利用されていくのか、どんな影響を与えていくのかを想像することを常に求められるのです。
「デザインは非線形である」と言われますが、デザインのプロセスは一方通行で進んでいくばかりではなく、行ったり来たりする、循環するように終わりがないものだと考えています。デザインという営みが終わりがなく続いていくものだとするならば、それはいろんな人たちと一緒に進めていく必要があるでしょう。そのためには、最初にデザインをする人の想いや願いをつないでいくこと、そのつながりを広げていくことが求められます。そして、そのつながりが途切れてしまった瞬間に本当につくりたかったものから遠ざかっていってしまうかもしれません。途切れないようにしっかりとバトンリレーしていく、それも「伝えるデザイン」かもしれません。

「デザインは非線形である」につながる話は先日CULTIBASEのイベントでお話する機会がありましたので、MIMIGURI小田さんの記事も参考までに置いておきます。

私はいろんな人たちと一緒に進めていく、巻き込んでいく時には「共鳴」がポイントなのではと考えています。
たんに伝えるのではなく、響き合う仕組みをもたせることで、その広がりは何倍にもなっていきます。もちろんその仕組みを作り上げることは難しいのですが、これを意識することが伝えていくプロセスの効果を高めることは間違いありません。

人や組織に影響を与える、関わり方

最近、気になって意識しているのが「関わり方」です。
人や組織への関わり方、その関わり方によってどのように影響し、影響を受けた人や組織がどのように変容していくのか、それを日々確かめています。(心のバイブルである「かかわり方のまなび方」は何度も読み直しています

直接的な関わり方もあれば、間接的な関わり方もあると思います。
直接的な関わり方としては、相手に意思や想いを言葉や絵を用いて伝える、または自組織の組織開発に関わる。間接的な関わり方としては、例えばこの記事を読んだ人に何かしらの影響を与えることがあるかもしれません。自分が関わった何かしらのアウトプット(ビジュアルやテキスト、音声等)に触れた人たちに何かしら影響を与える。これも関わり方の一つです。
ここで言いたいことは、他の人に目に触れるものを世に出せば、それは誰かしらに少なからず影響を与えます。それらに自覚的になることによって、伝えることをデザインすることができます。
関わり方を考えることは伝えることをデザインすることでもあり、どのような影響を与えたいかを考えて行動することもまた伝えることをデザインしています。

組織内においての関わりとしては、制度や仕組みをつくることがあります。
自分の意思や想いをより多くの人に、組織内に伝えたいと考えるのならば、大きな声や強い言葉で伝えるだけではなく、制度や仕組みをつくる際にその意思や想いを織り込んでいくことで、実現することができるかもしれません。その際にポイントとなるのが、前述の共鳴です。
制度や仕組みは、ともすればその枠組の中に閉じ込めてしまう場合もありますが、その逆もあります。意思や想いを増幅するような制度や仕組みをデザインする。私はそれに多角的に取り組んでいます。

自分が伝えたいことは「何なのか」を問い続けてる

試行錯誤しながら多角的に取り組んでいる日々の中で、どうしても目の前の事象に意識が向きがちになってしまうことが多いのですが、時折、立ち止まってふりかえるタイミングを持ち、自分が伝えたいことは「何なのか」を問い直しています。ここで言う「何なのか」は、いま自分の中にどんな意思や想いがあるのか、それを確かめています。
一人で内省することもあれば、周りの人たちと対話することもあったり、その確かめる時にもいろんな人たちの力を借りたり、いろんな手段を用いています。その時その時で変わり続けているので確かめるのが大変なのです。
でも、この自分の伝えたいことが明確になればなるほど、伝えるデザインの力は強くなります。
デザインの中心に意思や想いを置くこと、それによってデザインの力は巡り始めます。それはビジョンやパーパスと呼ばれるものであることもありますが、今回の登壇においては、私自身が伝えたいことは「何なのか」を考えてみました。
それが何なのかは明日の登壇を見てもらえたらと思います。
(登壇後、この部分は書き換えます)

コーヒーを飲みながら書いていることが多いので、サポートいただけたらコーヒー代として使わせていただきます!