デザインブランドをつくるためのビジョンアートワークショップ - ゆめみのデザインブランドをつくる
三ヶ月ほど前になりますが、2023年2月25日にゆめみのデザイナーたちでデザインブランドをつくるためのワークショップを行いました。
このnoteでは、ゆめみがなぜデザインブランドをつくるのか、それをどのように進め、何をつくりあげたのかについて、ワークショップを中心にして書いてみます。
ゆめみのデザインブランドをつくるということ
ここ数年デザインカンファレンスでトップスポンサーとしての協賛や登壇を重ねて、デザイン領域での認知度を高めているゆめみではありますが、「ゆめみのデザイン」とは何かを語る言葉を持っていませんでした。
これまでデザインブランドという視点でのゆめみ内での対話も足りていなかったように思います。
そのため昨年はOutside-inでのデザインブランドの構築を試みたのですが、そのときには関わったメンバーも若干の違和感を覚えつつも進めていたこともあり、今年に入ってからあらためてデザイングループのメンバーと一緒に対話しながらつくっていくInside-outでの構築を進めることになりました。
そして、その構築プロセスにおいて、「ゆめみのデザイン」とは何かを直接的に考えるのではなく、「自分(たち)にとってのデザイン」という自分主語/視点でデザインを考えるところから始めることにしました。
目的
デザインブランドの素材としての「言葉」と「イメージ」を手に入れる
ただし、いきなり言葉にするのではなくて、まずはイメージ(絵)を描く。言葉にしていくのはそれから。これは参加するメンバー個々の内側にあるものを表出化させるために言葉にすることを一旦保留することにしたのです。
そのため、このワークショップでは、以下のように進めることにしました。
参加者が頭で考えるのではなく手を動かす
手を動かしながら話す
個々の絵をみんなの絵にしていく
みんなで描く
学習目標と行動目標
学習目標
自分(I)の/自分たち(We)を知る
行動目標
ビジョンアートを描く、描かれたビジョンアートを自分の言葉で言語化する
ワークショップの学習目標と行動目標はこのように設定した上で、ワークショップのプログラムを設計しました。
プログラム
実際に手を動かして絵を描くことが必要と考え、対面で5時間の時間を確保するため、週末にギャラリーっぽい場所を借りて実施しました。
そのために全国から集まってくれたメンバーに感謝!!!
なお、週末開催であったため、参加できるメンバーが限られてしまったので、以下のように記録と共有を行うことにしました。
らしさとらしさの重なり
今回のワークショップを進めるために、まずワークショップの冒頭で参加者のみんなの前提を揃えるためにメンバーのアキラモトムラにゆめみのデザインブランドをどのように考えていくのかのスライドを準備し、話してもらいました。
「私は、何者なのか?」という自分視点から考え、そしてそれについて他者の解釈を重ねていくことで、私らしさのアップデートにつなげる。
ゆめみのデザインブランドは私/相手のらしさを重なりをつくっていくところに生まれるという仮説から、この内容としています。
この前提を持って、後述するワークに取り組んでいきます。
Iを描いて、Iを語る
私(I)を描いて、私(I)を語る。
このワークから始める理由として、メンバーみんなのこれまでのデザインに関わってきた、デザイナーとしての歴史やこれからについてどんなものあるのか、それを見つめてほしい。そしてそれを語ってほしい。
そこに我々が大切にするデザインがあるからと思うから。
だからこそ、最初のワークは
「自分がデザインに関わる、またはデザイナーとしてやりたいこと」を直感的に画用紙に描く
としました。
みんな、会場の思い思いの場所にちらばって、黙々と描いていました。
そして、それぞれ描きあげた自分のビジョンアートを「話し手」「聞き手」「描き手」の3人一組になって他者に語る、対話する。
「3ピースダイアローグ」をベースにしています。
ポイントとしては、たんに語るのではなく、聞き手は解釈をぶつける。
「○○○」って「○○○」ってことですか?
その解釈をぶつけられることによって話し手は揺さぶられ、さらなる言葉を語ることができるようになることを狙いました。
さらに、もう一人はさらにその場で話されていることを聞きつつ、自分の解釈で話し手のビジョンアートを描いていく。
前述の「らしさとらしさの重なり」をこのワークでつくっていきます。
このワークが終わったときにはみんな、「自分で描いたビジョンアート」「他の人に描いてもらったビジョンアート」の二枚を手に入れました。
ギャラリーウォーク - みんなの絵を眺める
絵を描くワークを主体にする時に取り入れたかったのがこのギャラリーウォークです。
みんなが手に入れた絵をみんなで一緒に眺める(鑑賞する)機会をつくりたいと思って、ギャラリーっぽい場所を借りました。
みんながどんな絵を描いたのか、どんな絵を描いてもらったのか、絵を眺めながら、どんなふうに見えたのかをふせんに書き出して言葉を重ねるようにしました。
私(I)から私たち(We)につなげるための準備として、この機会が必要と考えたのです。
Weを描いて、自分の言葉にする
私(I)から私たち(We)へ。
ギャラリーウォークを経て、みんなのビジョンアートを眺めて、いろんなイメージがあることを捉えた上で複数人で一緒に描いていきます。
2つのグループに別れて、世界、街、森、物語といったメタファーを用いながら、私たち(We)を描いていきます。
頭で考えるのではなく、手を動かしてみる。そこで描かれるものがいまの自分たちに在るものを描くことができるのではないか。相談するでもなく、そこに現れるものを繋げていく、紡いでいく。
そんなプロセスから生まれたものが確かにありました。
リフレクション「自分の言葉にする」
今回のワークショップの最後に、ここまでのワーク全体をふり返り、最後に言葉にする。
最後だけは言語化する。ここでのポイントは「自分の言葉にする」ことでした。自分の言葉を持って語る。それこそがデザインブランドを構築する、その後それぞれがデザインブランドを語る時に必要な体験であるとも考えています。
この3つの項目を書き出して、全員に共有することをワークショップの締めくくりとしました。
そして、これから
このワークショップで手にいれたものをもとにして、言語化のプロセス、ビジュアライズを経て、デザインブランドのWebを公開する。
そこがゆめみのデザインブランドのスタートになります。
ブランドはつくって終わりではなく、続いていくものであり、伝えていくものであるからこそ、みんなでつくっていくプロセスがとても大事であることをあらためて実感できた機会でした。
日々の業務の中ではなかなか自分たちのデザインやブランドに向き合う機会が得られないのですが、今回のワークショップを機会点として、時折このような向き合う機会をつくっていければとも思いました。