小学校理科を指導要領から考える【毎週水曜日更新】

はじめに


 親子向けの理科実験教室を行っている著者が学校で習う理科教育について考えていく記事です。4回目ですが、毎度思考が纏まっているとは言えないですが楽しく理科に触れる方法の一端を探しています。
前回「風とゴムの力の働き→https://note.com/katsushikakap/n/n6a0f0221d8ea


1.「光と音の性質」の概要

光と音の性質について、光を当てたときの明るさや暖かさ、音を出したときの震え方に着目して、光の強さや音の大きさを変えたときの違いを比較しながら調べる活動を通じて、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のことを理解するとともに、観察、実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)日光は直進し、集めたり反射させたりできること。
(イ)物に日光を当てると、物の明るさや暖かさが変わること。
(ウ)物から音が出たり伝わったりするとき、物は震えていること。
   また、音の大きさが変わるとき物の震え方が変わること。
イ 光を当てたときの明るさや暖かさの様子、音を出したときの震え方の
  様子について追究する中で、差異点や共通点を基に、光と音の性質につい  ての問題を見いだし、表現すること。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編

 「光と音の性質」名前通りのシンプルさですが、この単元で習う光が「日光」だという事が非常に強調されています。なので、日光をどう使うかがアイデアですね。

2.「光の性質」について考える

(ア)平面鏡に日光を当てたときの、平面鏡の向きと光の様子に着目して、それらを比較しながら、光の進み方を調べる。これらの活動を通じて、差異点や共通点を基に、光の性質についての問題を見いだし、表現するとともに、日光は直進すること、反射させることができること、反射した日光を重ねることができることを捉えるようにする。日光が直進することについては、身の回りで見られる日光の様子などから捉えることも考える。また、虫眼鏡を使い、日光を集めることができることを捉えるようにする。
(イ)何枚かの平面鏡を使い、光を当てたときの物の明るさや暖かさに着目して、光の強さを変えたときの現象の違いを比較しながら、物の明るさや暖かさの違いを調べる。これらの活動を通じて、差異点や共通点を基に、光の性質についての問題を見いだし、表現するとともに、物に日光を当てると、物の明るさや暖かさが変わることを捉えるようにする。また、虫眼鏡では、日光が集まったところを小さくすると明るさが増し、黒い紙などが焦げることがあることも捉えるようにする。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編

 平面鏡を使うしかないですね。なので、光の進み方の部分は平面鏡を使いましょう。グループワークとして、協力して光を反射させながら、ゴールを目指すのも楽しそうです。窓から全てのグループの鏡を中継してからゴールに行くや、壁を挟んだ二つのグループから一ヶ所のゴールを目指すなど、使い方で広がりが持てそうです。光の進み方や光を集めるの大雑把な学習ができる方法だと思います。
 問題は虫眼鏡で火を付けるとなると色々言われそうな事です。しかし、「焦げる」温度までだったらやっても良い雰囲気を指導要領から感じます。
焦げるけど、燃えない温度…「炙り出し」できそうじゃない?

3.炙り出しで日光の熱を感じる

 目的は「虫眼鏡では、日光が集まったところを小さくすると明るさが増し、黒い紙などが焦げることがあることも捉えるようにする。」です。指導要領に沿った実験と言って差し支えないでしょう。
必要な物は、虫眼鏡、紙(できたら藁半紙)、レモン汁、筆の4点です。
照らす必要のある部分が増えると時間がかかってしまうので、筆で書く箇所を限定するか、折り紙程のサイズの紙にするかだと思います。
 実のところ、まだ検証実験が十分にできていないので、危ういラインですが光と熱を結びつけることができると考えています。

4.「音の性質」について考える

(ウ)身の回りにある物を使って音を出したときの物の震え方に着目して、音の大きさを変えたときの現象の違いを比較しながら、音の大きさと物の震え方との関係を調べる。これらの活動を通して、差異点や共通点を基に、音の性質についての問題を見いだし、表現するとともに、物から音が出たり伝わったりするときは物が震えていることや、音が大きいときは震え方が大きく、音が小さいときは震え方が小さいといった、音の大きさが震え方に関係していることを捉えるようにする。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編

 音の学習については、決まっています。スピーカー一択です。

5.スピーカーで音の性質を学ぶ

 スピーカーはウーファーやユニットと呼ばれる部分が露出している物が良いです。おしゃれでスタイリッシュなスピーカーでもよいですが、魅力半減です。
必要な物は、スピーカー、水、容器の3点です。
スピーカーの前に水を入れた容器を置く。以上です。 
 ウーファーが露出しているスピーカーだと、スピーカーを見るだけでも振動と音が関係していることに気づける子もいると思います。それこそ、映画館やライブ等の経験値から理解している子もいるかもしれません。
上記にプラスして、スピーカーから出た音の振動を視覚的に捉える為に、水を持ち入ります。スピーカーから出力された音の振動で水面が揺れるていることに気づくことができれば、「音は振動なんだ」と「音」と「振動」が別々で理解していた場合は「音=振動」とまとめることができるようになると考えます。
 音は日常生活中に溢れている物だからこそ、見知っている物をいつもと違う観点から知ろうとしてみるよい題材かもしれません。

6.「光と音の性質」のまとめ


 光も音も様々な形で利用されているからこそ、教材としてどのように見せるかが重要だと感じました。今回の単元は、決められている部分が多かったので、如何に準備を減らし、子ども達に経験させることができるかを主軸に置きました。
 説明だけでも指導要領の内容はクリアできますが、理科に興味を持ち自分で考えて、教科書には無いステップに進む為の助走になる題材だと思います。

7.おわりに

 まとめで大方書いてしまったので、書くことがありません。
「知ってるけどやったことない」「経験はあるけど、分かってはいない」みたいな事がたくさんある世の中ですが、それらを知ろうとする好奇心の一助になっていきたいものです。

毎週水曜日更新予定、次回は3月6日更新!「指導要領第3学年 磁石の性質」を考えていきたいと思います。

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