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娘がアメリカの名門ボーディングスクールに進学した話(8) Ten Schoolsというボーディングスクールのアイビーリーグ

Ten Schools とはアメリカ北東部にある特に伝統と歴史があるいわゆる名門ボーディングスクール10校の集まりです。。その伝統、難易度、学生の質から高校のアイビーリーグとも言われており、アメリカの私立中等教育における最高峰といっても良いでしょう。入試基準においてもいずれの学校も似ており、学業と課外活動にバランスの取れた Well-rounded な学生を選ぶ傾向があります。また白人上流階級の進学先とされていて教会系、保守的な学校の多い Independent School Leagueよりもよりも伝統的に大学進学のための学業に力を入れている学校、ややリベラルな学校が多いのが特徴です。

Ten schools Admission Organization という組織を共同で運営し、アメリカ各地で共同学校説明会を開催しており全国から優秀な学生を集めることに注力しています。10スクール内での生徒レベルでの交流も多く学業やスポーツイベントでお互いの学校を訪れる機会も頻繁にあります。各校が地理的に比較的近いこともありお互いに切磋琢磨する仲間であり、ライバルでもある存在です。

近年10スクールは二極分化の流れがあります。学業に秀で多くの寄付金を集めることができるトップ校とそれ以外の学校の差が大きくなってきています。上位校は Hotchkiss School, Phillips Academy, Deerfield Academy, Phillips Exeter Academy, St. Paul’s School, です。これはそれぞれの頭文字をとってHADES または HEADS などとも言われています。(日本で言うMARCHとか関関同立のようなものですね)。上位の特徴は良好な進学成績、豊富な奨学資金です。学生一人当たりの奨学金は上位校はSt.Pauls の8万ドルを筆頭に軒並み6-7万ドル台。下位校になるとその半分以下の場合もあります。資金が豊富である分優秀な生徒を奨学金で獲得できるので学業成績の差がどんどん開いてしまっています。

とはいえ下位校も特徴のあるプログラムや地理的特性を生かして生き残りを図っています。たとえばChoateはアートに力を入れていますし、ニュージャージ州にあるLaurenceville や Hillsはよりローカルに密着したリクルート活動で優秀な生徒を囲いもこうとしています。

10スクールは急激に国際化しています。 日本人を含むアジア系の留学生は全体の10-15%を占めておりなお増加傾向です。 筆者の調査によると現在10スクールズに在籍中の日本人数(留学生、現地生を含む)は29名ですとこれも増加傾向にあります。とはいえ、10スクールの総学生数が7300名弱ですので日本人が占める割合は0.4%。 日本の経済力、また日本人の年間のアメリカへの留学生数が35、000人であることを考えると30人弱というのは非常に少ないと感じます。

それぞれの学校を詳細はアメリカ名門ボーディングスクール詳細ガイドで紹介しますのでここでは各校のカラーや評判について簡単に紹介します。またESLクラスの有無、日本人在校生の有無についても調べてあります。(アルファベット順)

Choate Rosemary Hall チョートローズマリーホール校  www.choate.edu
333 Christian Street
Wallingford, Connecticut 06492
ボーディングスクールとしては大規模な学校で在学生は800人を超える。ニューヨークの新興富裕層の多い学校でややリベラル。とくに芸術系のプログラムに定評がある。アートセンターは訪れる人が目を見張る充実度。授業科目数は240を超え、スポーツプログラム、芸術プログラムとも非常に充実している。また6億円以上の奨学金を提供している。コネチカットの州都ハートフォードに近く地理的には比較的便利。近年は学力というよりもアートの充実差で多幸との差別化を計ろうとしているように感じられる。学力的には10スクール内では中位。名門との評価もあるが学力ではトップ校と差がつき始めている。外国人生と向けのESLのクラスはない。公表していないが日本人生徒は若干名在籍しているとのこと。

Deerfield Academy ディアフィールドアカデミー  www.deerfield.edu
Main Street
Deerfield, Massachusetts 01342
1797年開校。伝統的に進学に力を入れるアカデミー系の学校。リベラルで実力主義。全校生徒600人の中規模のボーディングスクール。ボストンの西2時間に位置する。280エーカーの広大な土地にサイエンスセンター、アートセンターなどのすばらしい施設を保有している。毎年6億円程度の奨学金を授与しており生徒の40%弱が奨学金を受け取っている。学業が非常に優れており10スクール内でも難易度は上位である。進学成績もきわめて良好である。イギリスのイートン校なども参加する世界のトップ私立校のグループG-20のメンバー校でもある。留学生向けのESLクラスははじめの1年に限って提供されている。しかし同時並行で通常の英語の授業も受ける必要がある。日本からの留学生はいないが韓国から18人、中国から14人の留学生が在籍している。


The Hill School  ヒルズスクール  www.thehill.orgseal
717 East High Street
Pottstown, Pennsylvania 19464-5791
1851年開校。フィラデルフィア、ニューヨークなどの新興富裕層の受け皿として機能するややリベラルな校風。ペンシルバニア州フィラデルフィアから一時間弱に位置する。全校生徒500名弱の中規模校。750席の劇場、アートスタジオを併設し音楽教育にも力を入れている。 177億円の基金から毎年約4億円の奨学金を支給しており、全校生徒の役40%が受け取っている。同じくニュージャージー州に位置するLawrenceville academy とライバル関係にある。10スクールズでは学業的には下位校。ESLクラスはない。日本人留学生は2名在籍中。


The Hotchkiss School  ホッチキススクール  www.hotchikiss.orgseal
P.O. Box 800
11 Interlaken Road
Lakeville, Connecticut 06039-0800
全校生徒約550人の中規模校。ニューヨークの新興富裕層のボーディングスクールでややリベラルな校風。 ボストンの西3時間に位置しておりまわりはとても自然豊か。悪く言えば周りに何もない田舎。携帯電話がつながらないほど。。200以上の選択科目がある。平均12人の小規模クラス。550エーカーのキャンパスに充実した図書館、アートセンター、ゴルフコース、音楽施設をもち、非常に恵まれた環境の中で生活できる。学業成績も非常に優秀で10スクールの中でも上位である。近年アジアからの留学生が急増中。 約4億5千万円の奨学金を支給し全校生徒の35%が受給している。ホッチキススクールは10スクールズの中でも難易度がたかく、平均倍率は5倍以上である。これは学生数が少ないことにもよる。裕福な子弟が多くキャンパスには生徒乗馬用の馬小屋まである。世界のトップ私立校のグループG-20のメンバー校でもある。ESLクラスは準備されていない。現在日本人は在籍していないが、今年は日本からの受験生が数件あったようである。


The Lawrenceville School  ローレンスビル スクール www.lawrenceville.orgseal
2500 Main Street
P.O. Box 6008
Lawrenceville, New Jersey 08648
ニューヨークの南約一時間。ニューヨークの新興富裕層のボーディングスクールでややリベラルな校風。プリンストン大学のお膝元に位置する。生徒数800人の中規模校。立地からプリンストン大学への進学率が高い。そのほかGeorgetown大学へも多くの卒業生を送っており、ニューイングランド地方の大学よりもMid Atlantic地域へのFeederスクールとなっている。ESLクラスは準備されていない。日本人留学生は3名在籍している。


The Loomis Chaffee School ルーミスチャフィー スクール  www.loomis.orgseal
4 Batchelder Road
Windsor, Connecticut 06095
全校生徒715人の中規模校。コネチカット州ハートフォード市内に位置しておりボーディングスクールとしては例外的に大都市内にある。しかし対比園美しいキャンパス内にはアートセンターや各種のスポーツ施設などを有している。10スクールズでは下位校。アイビーリーグへの進学は比較的少ない。ESLクラスは準備されていない。日本人在校生は一人。


Phillips Academy (通称アンドーバー校) www.andover.edu

180 Main Street
Andover, Massachussetts 01810-4161
通称アンドーバー校として知られるボーディングスクールの雄。学術に力を入れている「アカデミー系」の代表校。アメリカで二番目に古い伝統を持つ学校である。750億円に上る教育基金をもち14億円強を奨学金として支給、全校生徒の42%が受給している。 また全校生徒1100人とボーディングスクールとしては非常に規模が大きい。ボストンの北約40分に広大なキャンパスを有し、アートセンター、サイエンスセンター、ランゲージセンター、美術館などの設備がある。卒業生のネットワークも非常に充実している。ライバル校のエグゼターとひかくされる場合が多い。エグゼターが理数系に強く、アンドーバーは文科系に強いというイメージがあるが、実際は数学選手権の結果などを見てもほぼ変わりない。 生徒数が多いため小規模な学校を好む生徒には不向き。世界のトップ私立校のグループG-20のメンバー校でもある。 ESLクラスはない。日本からの留学生は現在3名。

Phillips Exeter Academy フィリップスエグゼターアカデミー  www.exeter.eduseal
20 Main Street
Exeter, New Hampshire 03833-2460
アンドーバー校と並ぶボーディングスクールの双璧。学術に力を入れている「アカデミー系」の代表校。ハークネス法という円卓を使った授業形態で知られる。1000人を超える大規模校であるが、クラスあたり12人の少人数での授業である。選択科目数は350を超える。700億円の上る基金を持ち年間8億円以上を奨学金として支給する。全校生徒の役34%が受給している。ボストンの北1時間強に広大なキャンパスをもち、最新のサイエンスセンターなどの充実した学内施設を誇っている。受験生がもっとも通いたい学校ナンバーワンである。映画ビューティフルマインドの主人公の出身校でもあり理数系に強いイメージがある。ライバル工のアンドーバー校とは進学成績などでも良い勝負。両校を併願する受験生がほとんど。 生徒数が多いため小規模な学校を好む生徒には不向き。世界のトップ私立校のグループG-20のメンバー校でもある。ESLコースはない。現在日本人は8人在籍している。


St. Paul’s School  セントポールスクール (通称SPS) www.sps.edseal
Concord, New Hampshire 03301-2591
キリスト教エピスコパル会派の流れを汲む。10スクールズのなかでは唯一宗教教育を行う。特に保守的な上流階級の子息の教育を行っていた代表的な学校である。Ten Schools のなかで唯一Independent School League にも所属している。ニューハンプシャー州の州都コンコードに2000エーカーという広大なキャンパスを持つ。キャンパスの広さ、美しさは10スクール随一。また学業にも非常に優れアンドーバー、エグゼター校に勝るとも劣らない。全校生徒520人の小規模だが奨学金は年間5億円と非常に裕福な学校でもある。10スクールの中でももっとも保守的といわれる学校で生活面での指導も非常に厳しい。卒業生の進学状況も非常に良好であり受験生憧れの学校のひとつ。ESLはない。日本人留学生は在校しているが正確な数字は公表していない。アジア系の留学生は全体の14%である。


The Taft School  タフトスクール  www.taftschool.orgseal
110 Woodbury Road
Watertown, Connecticut 06795
ニューヨーク市の北約1時間30分に位置する。ニューヨークの新興富裕層をとりこんだややリベラルな校風である。全校生徒600人弱の中規模校。キャンパスにはアートセンター、蔵書6万冊の図書館、ゴルフコース、ホッケーリンク、ゴルフコースなど充実した学内施設を誇る。 また選択科目も200以上ある。 年額約5億円の奨学金を支給している。ESLコースは併設されていない。現在日本人留学生は5名在籍している。


*一部の資料はTen school Admission Organization の資料から抜粋しました。

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