Katsurao AIR アーティストインタビュー vol.5 鮫島弓起雄さん
アーティストが葛尾村に滞在してリサーチや制作を行うアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「Katsurao AIR(カツラオエアー)」。2024年6~7月の2か月間、3名のアーティストが葛尾村で暮らし、それぞれの視点から制作に取り組んでいます。7月25日(木)から28日(日)の4日間は、葛尾村立葛尾中学校(休校中校舎)を拠点として、制作過程を公開するオープンスタジオ形式での活動報告会を実施いたします。
本稿では、滞在アーティスト 鮫島弓起雄さんのインタビューをお届けします。
SAMESHIMA Yumikio
鮫島 弓起雄
大学卒業後、教職経験や長期海外旅行のため5年間ほど制作を行わない期間があり、帰国後から本格的に作家活動を開始した。
以来、主に立体作品とインスタレーション作品の制作、発表を続けている。
発表の舞台となる空間の特性やその現場の持つストーリー、周囲の環境などを利用して、物理的にもコンセプトの面でも、その場と深く関わりほかの場所では再現できないような作品を展開している。毎回空間に合わせて使用する素材や制作方法、表現様式も異なることがほとんどである。
また、自身の作品制作以外でも、あらゆるジャンルの表現者が集まる交流会を主催、日本とメキシコのアート交流プロジェクトの立ち上げと運営に携わる、など、アーティスト同士の個人的かつ国際的な繋がりを探る活動も積極的に行っている。
聞き手:Katsurao Collective 阪本健吾、大山里奈、Katsurao AIR 滞在アーティスト 町田紗記
シチュエーション:ちえこさんのフキをみんなで剥きながらおしゃべり
阪本:鮫島さんは、どんな子どもだったんですか?
鮫島:そうですね……とにかく、壁に登ってました。
阪本:ボルダリング……?
鮫島:まぁ、今で言えばボルダリングなのか……(笑)高いところが好きだったんですかね。木に登ったり、あとは、塀の上をずっと歩いてました。
町田:猫みたい。野良猫って、そういう境界線の上みたいなところを歩くじゃないですか。
鮫島:たしかに。そう言われたらそうだなぁ。
阪本:猫だったんですね。
鮫島:猫やってました!(笑)
大山:(笑)。そういえば鮫島さん、このあいだ「傘石」まで行ったときに、「くぐり石」まで行こうとしてましたよね?
鮫島:すごく行きたかったんですよ。
阪本:え~と、「傘石」というのは、葛尾村の野川という行政区の山奥にある、傘みたいに雨風がしのげるぐらいの、でっかい石ですよね。で、そのあとに、「くぐり石」……?はじめて聞きました。
大山:そう、「傘石」とは別の「くぐり石」っていう巨石があって。案内してくれたサチコさんっていう方が、「夜になっちゃってるし、この先はもう藪(やぶ)になってしまっているし、無理だ。最近は誰も行っていないから道もない」って言ってたんだけど……。鮫島さんの目がもう、「行きます!!!」って感じでキラキラ、キラキラしていて。(笑)
阪本:少年……!(笑)
鮫島:そうそう(笑)、探り探り、サチコさんに行く方法がないか粘り強く聞いてみたんですけど、最終的には危ないのでやめておきました。
町田:『葛尾村史』でくぐり石の存在は触れられているけど、文字通りくぐり抜けられるということくらいしか書いていなくて。その日、サチコさんが説明してくださったんですけど、昔の偉い人が落ち延びた時に、その「傘石」で休んで、「くぐり石」をくぐり抜けてどこかに逃れたということみたいです。
阪本:なるほど~。元々、葛尾村は落人が逃げてきてできた地域ですもんね。半分伝説のようなお話なんでしょうけど。
鮫島:これまでの滞在で一番心が動いたのは、そういう、村にある巨石ですね。
阪本:この収録時点では2カ月間の滞在のうち3週間が過ぎたくらいのタイミングですが、残りの期間でやりたいことはありますか?
鮫島:いま、葛尾村をスクーターで廻っているのですが、地図に載っている道を全部通りたくなってきました。
阪本:全部ですか!?それはすごそう……!日々、村内の道という道を走ってリサーチを重ねておられますもんね。
6月16日(日)に葛尾村復興交流館あぜりあで開催された「あぜりあ市」では、リサーチ中に撮影した写真が村内のどの場所にあるのかを当てる「裏かつらおクイズ」を企画していただきました。私は全然わからなかったのですが(笑)、反応はいかがでしたか?
鮫島:めちゃくちゃ難しかったみたいです(笑)。なんとなくこの辺じゃないの、という感じで答えてもらえたものはあったのですが。
阪本:ここで生活している身としては、普段から車移動の人が多いから、意外に細かいところまで見えていないんですよね。お越しになってまだ3週間なのに、もう私よりいろんなところご存知なんだろうなと思います。
鮫島:それが常ですよね。外から来た人が、なんでも新鮮に見れるし、気づくんだと思います。
阪本:猫的な好奇心・探究心はいまの活動にも通じるものがあるのかもしれませんね。これからの活動も楽しみです!
アーティストインレジデンスプログラム「Katsurao AIR」
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鮫島弓起雄さん ホームページ
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