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【かつらのお話:刷毛先】

 前回、御家人の鬘が完成しました。 

こんにちは。京都時代劇かつらです。

御家人の鬘は武士の髪型ですが、身分や役柄を如実に現している部分があるとご説明しました。 今回はその部分、【刷毛先】のお話です。 

 【刷毛先】は(はけさき)と読みます。
髷の先端部分の名称です。 画像は銀杏の葉っぱが開いた雰囲気の形、【小銀杏】などと呼ばれる形です。

刷毛先。銀杏の葉の様な小銀杏

 

ほんのり色づいた銀杏の葉


テレビ時代劇では一番よく見る刷毛先の形で、俗にカマボコ型などと視聴者に言われたりします。 


 

中村主水、渡辺小五郎、田中熊五郎、坂本勘助、大河原伝七、増村倫太郎、結城新之助、住之江彦左衛門、狩谷新八郎 、杉山虎之助 、小室玄蔵 、西尾伝三郎、佐嶋忠介、天野甚蔵、小林金弥、酒井祐助、木村忠吾、小柳安五郎、沢田小平次、山田市太郎、竹内孫四郎、山崎国之進、村松忠之進、松永弥四郎、原田一之進、三井忠次郎、笹野新三郎、並木藤兵衛、保科源次郎、菊村数馬、藤田勇之進、永山精之助 、村上源次郎、風間駿介、蕪木兵助、立花喬之助、北風正吾、片瀬堅太郎、仏田八兵衛、松井兵助、吉岡源吾、花田孫右衛門、古川一郎太、磯貝総十郎、青山久蔵、水木新吾、楠菊太郎、柊小十郎、本間孝太郎、松井俊太郎、間半平、柳半九郎 などなど

テレビ時代劇では上記の与力、同心でよく見かけます。 

(厳密には、八丁堀の同心は同心髷と言う全く別物の髪型なので、刷毛先云々と言うより、そもそもこの御家人の鬘自体がおかしいのですが……またこのお話は別の機会に。)  

徳川吉宗、長谷川平蔵

も御家人のかつらなのですが、作品をよく見ていただくと、刷毛先の形が場面によって、替わっているのがお分かりになるかと思います。

 徳川吉宗は貧乏旗本の三男、徳田新之助の時と将軍吉宗の場面で。 長谷川平蔵は、市中見回りの時の浪人姿の時と役宅にいる火盗改長官の立場の時の場面で 。
それぞれ刷毛先の形が替わっています。

  鬢も髱もかっつけて同じ形ですが、役によって刷毛先が変わるのです。

 この半円の小銀杏の刷毛先の時は、部屋住の旗本、家臣、下役人、など役職についていないか、ついていても階級が低め、はたまた浪人などが多いのです。 身分が高くなると、刷毛先は小さく細長くなります。

刳とのバランスも大切な刷毛先

 ですので、将軍吉宗はとても細長く、長谷川平蔵も役宅では長方形の落ち着いた刷毛先になっています。 大名や幕閣の面々、町奉行なども細身の刷毛先になります。 

剣客商売の田沼意次 

鬼平犯科帳の京極備前守 

大岡越前守、

遠山左衛門尉、 

はたまた水戸光圀なども

よくご覧いただくと、画像の刷毛先とは全然違います。

 刷毛先は身分、役職、立場を如実に表しているのです。 

 刷毛先の違いに気がついて、時代劇を見るのもまた一つの楽しみかもしれませんね。

 ところで上記の中村主水以下、たくさんの与力、同心の名前がでてきました。 この面々、どの名前が何の作品で、どの役のどんな人物か。 直ぐに分かってイメージできた方は、相当な時代劇好きだと思います。 

 また次回もお楽しみに。


御家人

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