記事一覧

私的ベスト短編小説9選

 短編小説は読書を始めたいという人にはうってつけだと思う。何よりもすぐに読めるし、途中で挫折することもない。それ以上に短編ならではの味がある。優れた短編が読者に…

葛城
8か月前
95

Aさんの思い出

「忘れ得ぬ人」みたいな言葉がある。それは大概とても仲が良かった人とかお世話になった人とかに使うのだが、僕にとっては少し異なっていて、その言葉を聞いて思い出すのは…

葛城
10か月前
4

私的ベスト短編小説9選

 短編小説は読書を始めたいという人にはうってつけだと思う。何よりもすぐに読めるし、途中で挫折することもない。それ以上に短編ならではの味がある。優れた短編が読者にもたらす感動は、長編大作がもつそれに勝るとも劣らない。  そこで今回はお勧めの短編小説リストを作ってみた。なお筆者の好みゆえに外国文学が多めである。ちなみに9という数字に意味はなく、ただ単に九番目まで書いて疲れてしまったからに過ぎない。  なおここで取り上げた作品は全て文庫本での入手が可能である。 1 フランク・

Aさんの思い出

「忘れ得ぬ人」みたいな言葉がある。それは大概とても仲が良かった人とかお世話になった人とかに使うのだが、僕にとっては少し異なっていて、その言葉を聞いて思い出すのは高校1年生のとき同じクラスだったある女子生徒のことだ。 その人を仮にAさんと呼ぶことにする。物静かだが、話してみると気さくで、気配りができる人だった。つまりそれは、僕に対して何らかの感情があるとかいう訳ではなくて、ただ単純に彼女は善良な人間だったのだと思う。彼女とは隣の席になったことがあるくらいで、特に深い関わりがあ