スーツのシングルとダブルの違い【スーツの歴史と選び方】
■こんなにも印象が変わる!?シングル・ダブルそれぞれの印象!
シングルとダブルでの違いを簡潔にいうと、ボタンの配列と付いてるボタンの数が違います。
シングルスーツは、前ボタンの配列が1列で2つボタンが主流。
ダブルスーツは、前ボタン配列が2列で6つボタンが主流となります。
この記事ではそれぞれのスーツが与える印象と、なぜそうなったのか?
歴史を遡って説明させて頂きます。
1.シングルブレスドスーツ
シングルブレストは、ジャケットのフロントボタンが縦一列に並んで仕立てられており、ボタンの数によって2つボタンスーツ、3つボタンスーツ、段返り3つボタンスーツなどに分かれています。低身長の方や、短めの丈感をお好まれる方には1つボタンをお勧めすることもあります。
ベーシックな2つボタンのシングルブレストは、他のボタン数のスーツやダブルブレストよりもVゾーンが深いため、欧米人に比べて頭の割合が大きい日本人をスマートに見せることに役立ち、その他ディテールとして、シングルブレストの襟型は一般的にノッチドラペルが多いです。
着用シーンはとくに制限がなく、フォーマル、ビジネス、パーティにも合わせて着こなすことが可能です。
2.ダブルブレストスーツ
ダブルブレストは、ジャケットのフロントボタンが縦二列に並んで仕立てられており、フロントボタンの数によって4つボタンスーツ、6つボタンスーツなどに分かれています。
また、フロントボタンの配列で「オールインライン(平行に並んだボタン)」と「スプレッドアウト(V字型に並んだボタン)」に分かれ、配列によって飾りボタンが用いられるため、4つボタン1つ掛け、4つボタン2つ掛け、6つボタン1つ掛け、6つボタン2つ掛け、6つボタン3つ掛けなど、掛けるボタン数でも種類が分かれています。
その他ディテールとして、ダブルブレストの襟型は一般的にピークドラペルが多くみられます。
シングルブレストと同じく着用シーンに制限はなく、フォーマル、ビジネスにも活用していただけますが、重厚感のあるデザインで華やかな印象に感じられる方が多いため、パーティシーンで活躍の幅を広げています。
ひと昔前は大人の男性が渋く着こなすイメージが強かったダブルスーツですが、近来はあえてお若い方が貫禄を出したいという理由で選ばれる方も増えてきています。
3.シングル、ダブルの歴史に迫る
シングルブレストのスーツは、元々モーニングコートやフロックコートをラウンジなどでカジュアルに着こなす貴族階級の平服として1860年頃に誕生したものです。
軍服→オーバーコート(今で言うコート)→フォーマルウェア→ラウンジスーツ(今で言うスーツ)となります。
20世紀に入る前後にダブルのスーツジャケットが発明されました。
そして1920年頃にはダブルの服が大流行し、様々なアレンジが加えられていったのです。
時代を現代に移しても、流行はさまざまに移り変わってきました。
1960年頃になると、海外では3ボタンが再び流行し始め、バブルの時代にはやや着崩したルーズなスタイルのダブルスーツが流行りました。
現在20代〜30代の方々は、昔の家族写真に注目してみて下さい。かなりの確率でお父さんがゆったりとしたダブルスーツを着ているはずです。
2000年頃に突入するまでは、若者はシングルの2ボタン、ミドルエイジはシングル3ボタンが主流でした。
2007年頃からは有名ブランドの多くがダブルスーツを変形させたようなデザインジャケットを発売したこともあり、ヤング世代もダブルジャケットを着用することが多くなってきました。
4.流行りが逆戻り!?オーバーサイズジャケットの魅力
もともと紳士服であったジャケットスタイルは時代と共に形を変え、フォーマルな場面だけでなくカジュアルな場面でも着用され、人々に親しまれています。
そして近年では1960年頃主流となっていたビッグシルエットのジャケットスタイルを各メゾンがリリースして、モードに影響されるようにしてストリートカルチャーからも大き目な着こなしが増えております。
またパンツシルエットに感してもワイドなものが増えつつあり、程よい抜け感とエアリーな着こなしを楽めてこなれた感を演出出来るのが人気の秘訣です。
体の体形を隠すことによって中性的になり、温和な雰囲気すら身にまとうことが出来ます。
実用面では夏場には通気性が良くなり涼しくなるメリットがあるのです。
カッチリとした印象はオフィススタイルには欠かせない重要なイメージですよね。
それとは対照的に、休日はビックシルエットを着こなしやわらかな印象にするものいいでしょう。
着る服装、シルエット次第で気持ちのオンオフの切り替えるのはとてもいいことです。
5.時代と共にスーツの着こなしを変えてみる
私たちの日常の一部でもあるスーツは、長い歴史と多くの人達の手によって、より機能的にかつスタイリッシュに変化してきました。
『流行』という言葉を使えば簡単に聞こえてしまいがちですが、常に新しいものを取り入れることは常に自分が進化し続けるということです。
LYDIAでは今まで見たことないようなデザインの思想と、お客様のご要望を最大限形にするという理念があります。奥深いスーツの歴史の中のひとつとして、常に進化し続けるオーダースーツ屋でありたいです。
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