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私にとってのブログ

ブログは私にとっては大事な暇つぶしの一つです。決して悪い意味ではなく、リタイアして仕事と呼べるものをしなくなった今、暇つぶしがないと食って寝るしかありません。

自分のリタイアが見えてきたころ、すでにリタイアしている先輩方にリタイア後の生活について教えを請うたりしていました。いろいろなアドバイスをいただきました。

趣味を作ればよい、外に出るべきだ、畑仕事がよい、町内会の集まりにでたらどうか、などいろいろなアドバイスをもらいました。

なるほどと思いつつも、どれも自分にはできないことだとも思っていました。私には趣味と言えるものがないし、あまり人とまじわりたくない性格です。畑仕事の経験はありますがやる気がおきません。

そんなことで、特別な対策をたてずにリタイア生活に入ってしまいました。

なので、やっていることは、仕事をのぞけばこれまでの延長がほとんどです。その一つがブログです。

若いころ、会社のコンピュータシステムに少し携わっていたものの、なんの知識もなく、分からないまま業者の人にやってもらっていました。それでも何とかなっていましたが、やはりきちんと勉強したいという気持ちはありました。

結局、きちんと勉強しないまま今にいたりましたが、当時、コンピュータを理解する足しになるかもしれないと思ってやり始めたのが自分のホームページ作りでした。

ビッグローブの会員になって、ホームページサービスを利用して、自分のやっている仕事に関係する記事を書きはじめました。仕事は経理だったので、経理の解説記事にしました。書くことはいくらでもあるのでどんどんページを増やして一時はアクセスが多くなりましたが、本職の税理士さんや会計士さんのホームページやブログが山ほど出てきて、仕事が忙しくなって更新が滞っているうちに私のブログは山のなかに埋もれていきました。

最初の頃は、当時IBMがホームページビルダーというソフトをだしていて、今もあるようですが、それを使っていました。ところが、ちょっと手直しすると形が崩れることが多くてストレスをためていました。

そうしたとき、詳しい人から、ソフトでなく自分でコードを書いたほうが思うように作れるというアドバイスをもらいました。そして、「とほほのWWW入門」という入門サイトがいいよと紹介されました。そのサイトは、とても親切にHTMLを説明していたので、読んで試しているうちにすっかりはまってしまって、ホームページ作りが楽しくなりました。CSSもこのサイトで学びました。

その後さらに仕事が忙しくなってホームページ作りを中断しましたが、10年後、残業が少ない部署に移動したことをきっかけに、ホームページ作りを復活しました。今度は、レンタルサーバーを借りてワードプレスでやるようになりました。

ブログをやってもあまり得になることはありません。金にならず、世間に役に立つものでなく、あえて有効性をさがせば、自分の頭の体操、ボケ防止になるようだというまったくの自分の利益です。

夏目漱石の「吾輩は猫である」の一節に、猫の主人である珍野苦沙弥氏が日記を書いている場面があります。猫はそれをみてこう思います。「主人のように裏表のある人間は日記でも書いて世間に出されない自己の面目を暗室内に発揮する必要があるかも知れないが、我等猫属に至ると行住坐臥、行屎走尿ことごとく真正の日記であるから、別段そんな面倒な手数をして、己の真面目を保存するには及ばぬと思う。」

日記の効用は、「世間に出されない自己の面目を暗室内に発揮する」ことだというのです。まさに匿名でするブログのことではないでしょうか。私の場合、「世間に出されない自己の面目」というほどのものはないつもりですが、ブログの効用も煎じ詰めればそんなところだと思っています。

兼好法師は、「つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ」と書きました。とめもないことを、あてもなく書きつけてたということらしいです。この場合、わかってほしい特定の相手があるわけでなく、何を訴えようとする特定の目的があるわけでなく、ただ書くということがすばらしいと言っているように思えます。

兼好法師の文は後世に残ってしまいましたが、私が死ねば、Xサーバーへの支払いがとまり、まもなくすると閉鎖されてしまうでしょう。それで良いしそうでなければならないと思っています。いつまでも残るほうが気色悪いと思います。

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