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一掃除ニ信心

東京にいる時、土曜の午前は掃除の時間です。

一応、お坊さんですので、東京でも毎日、掃除はしていますが、土曜日は大掃除まではいかない「中掃除」くらいの日だと決めています。

朝起きて、窓を全開にして、毎朝のルーティン
そして朝食、その後、雨でなければ軽く散歩。

それから、掃除の開始です。

まずは風呂場、洗面台、台所の流し、トイレ。

基本的に洗剤は使いません。

スポンジと雑巾と素手。

磨いて、拭いて、磨いて、拭いて•••。

これだけでピカピカになります。

次は、部屋の壁。

壁をよく絞った雑巾で拭いていきます。

そうすると、棚や冷蔵庫の上、物と物の隙間等にホコリが積もっていることに気づきます。

数日間でこんなにホコリが積もるのか?
と思うくらいホコリが積もっています。

そういうホコリを見つけては拭き、見つけては拭きをしながら、壁全体を拭いていきます。

それから、床を雑巾で拭いて
最後に掃除機をかけて終了です。

東京の住まいは1LDKのマンションですので
だいたい3時間くらいで終了します。

伊豆のお寺、大子のお寺と比べると•••変な話ですが、物足りなさを感じてしまいます。

しみじみ、自分も変わったなあと思います。

お坊さんになりたての頃、

坊主の仕事は掃除なのか?

と思うくらい、掃除ばかりしていました(させられていました)。

毎日、起きて、坐って、掃除して掃除して掃除して掃除して、•••食べて、寝る。

そんな感じの日々でした。

伊豆の寺は、広くて、一日中掃除をしても、全体をキレイにすることはできません。

一日で自分が汚す以上にキレイにする

これが基本です(禅寺では「来たときよりも美しく」が合言葉です)。

これを繰り返すと、少しずつ、少しずつ、全体がキレイになってきます。

全体が一通りキレイになって、やっとスタートラインに立てます。

そこから、毎日、毎日、場所を変えながら、掃除を継続することで、キレイな状態を保つことができます。

一掃除ニ信心

一番は掃除、信心は二番•••
まずは、掃除をすることで、場を清めるのはもちろん、心のチリやホコリを払い、本来の美しさを取り戻すことが、仏道成就には大事なんだ
•••と一般的には解釈されます。

ただ、この言葉にはこんな理屈っぽい解釈は、似合わないように思います。

掃除をすればキレイになります

掃除をすればその間は無心になれます

掃除をすればスッキリします

掃除をすればおなかがすきます

掃除をすればごはんが美味しくなります

掃除をすれば免疫力があがります

掃除をすれば生きていることを実感します

掃除をすれば幸せな気分になります

一掃除ニ信心

まずは何も考えずに掃除をしてみましょうよ!やれば絶対にわかりますから

•••これがこの言葉に対する自分の解釈です。

坊主の仕事は掃除です

今では、胸を張って、そう言える気がします。

宗慧

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