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亮音のワーホリ日記 in フランス~ルーアンからパリへ~

フランスに到着して1カ月、優しいホストファミリーに1カ月延長でホームステイの承諾をもらい、仕事も決まってさていざパリへ! と期待を膨らませていただのだが……

パリでの住宅探しには難航した。
ラッキーだったのは面接をしてくれた女性が1カ月日本に帰るため、その間だけ部屋を貸してくれたことだった。12月のひと月の間はきれいな部屋で立地も良く、フランスでは珍しいバスタブ付きの部屋で優雅に暮らすことが出来た。

その間に物件探しをするが、パリは家賃が高いのだ(東京かそれ以上!?)けれど、そんな中でも、ネット情報によるといくつか破格に安い物件があった。ネットで内覧の依頼をして、見に行くのだけれど、悲惨な光景ばかりが目に飛び込んで来た。

ベッドの横にパーテーションで仕切られただけのシャワー、むき出しのトイレが並んでいて、料理スペースもなく、あるのは電気ポットと電子レンジだけ。日本ではありえない、いや、フランス人にも驚かれるような物件ばかりの内乱に時間を費やしてしまった。
どうやって部屋を探せばよいのか、頭を悩ませる日々が続いていた。

やっと日本人向けの紹介サイトで見つけたのは、フランス人カップルとのシェアハウスだった。
一度訪問すると、対応も良く、しかもフランスで日本語の先生をやっているという。日本語の先生と言いつつも、あまり日本語は話せない様子だったことや、猫を2匹飼っていることを当日まで黙っていたことなど、いくつか不自然なところはあったけれど、感じよく対応してくれ、スグにそこに住むことを決めた。その日も料理をごちそうしてくれ、上機嫌で帰宅した。
私は食べ物を出されると弱いのだ……。

が、しかし! このシェアの2ヶ月間は、人生の中で最悪な2ヶ月間となってしまった。どれも細かいことばかりだったのだけれど、積み重なって廃人のようになってしまった。
たばこを吸うことを黙られていたこと、私のスペースは寝る場所以外与えられなかったこと(荷物を置くのにかなり苦労した)、私のスペースには勝手に出入りされること(貴重品は肌身離さず、荷物にもカギを!)、キッチンもシャワースペースも狭すぎて振り返る度に体がぶつかる、猫が逃げ出したのを私のせいにされる、トイレが臭いと文句を言われる、最後には金をきちんと払っているのに、女性に金を払え! と、言われ続ける……。今思えば家賃は約半分こっちが負担しているのに、カップルの方が断然スペースが多かった。

そして、さらに! 職場でも、同僚から嫌がらせを受けていた。けれど、しばらくその嫌がらせに気が付かず、何かうまくいかないと思い続けて悩んでいた。そのうえ、家に帰っても落ち着かない日々はまさに地獄だった。

1カ月ほどで私は体の不調が出始めた。風邪でもないのに、体の節々が痛くなり始め、心身ともに疲れ果て、すぐにでもルーアンに帰りたくなった。そもそもワーホリに行きたくなるほどアクティブで、心身ともに弱くはない方だった。それだけに逃げ出すみたいで嫌だったから、かなり我慢していたのだけれど……
もう限界だった。そもそもホリデーメインなのに、何故嫌なことばかり耐えなければいけないのか。
この時点でフランスに到着してから約5か月だった。

出発前から最後には南仏に行きたいと思っていた。それだけが唯一の希望だった。日本でフランス語を教えてくれた先生の故郷であるニースにだけは最後に絶対行くと決めていた。

ニースがダメなら早めに帰国してもいいじゃないか。

そう思うと、気持ちがスッと楽になった。
ニースでもう一度住まいと仕事を探すのかと思うと気持ちがズシリと重くなったが、今のパリ生活を終わらせることを思うと、むしろそれの方が楽しみな気もしていた。
契約上、もう2カ月は仕事を辞められなかった。もう1カ月はシェアで我慢し、もう1カ月はラッキーなことに、1カ月だけ借りられる物件を見つけた。短期であることが貸主にとっても好条件だったらしく意気投合、即決した。

パリの中でもマレ地区と呼ばれるおしゃれな地域で、ここなら一生パリに住んでも良いと思うぐらい、地域も部屋も素敵だった。
久しぶりの一人暮らしに羽を広げられることが嬉しすぎて、幸せ過ぎて、でもそれが辛いというか、信じられなくて、結局一人部屋で涙を流す日も幾夜か経験した。今思うともっと楽しめばよかったと思うけれど、こうすることで私は強くなれたようにも思ったりしている。

いよいよパリを離れる頃にはフランス到着直後にお世話になったブラジル人の友人にも挨拶をして、ルーアンにも帰った。皆に応援されて南仏へ向かう頃には、もうすっかりパリへの未練はなくなっていた。
(今でもパリは好きだけれど、生活は大変だったという印象が強すぎる)

やっと憧れの南仏へ! ニースへ!
亮音のワーホリも残り半年。
果たしてニースでは楽しく過ごすことが出来るのだろうか。それとも早く帰国することになるのだろうか……

つづく。

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