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#31『晴れ男 雨女』

僕は晴れ男だ。
雨雲に嫌われてしまった。

今日も鬱陶しいまでの快晴だ。
刺々しい日差しが僕を串刺しにしていく。
暑い。
本当に暑い。
キンキンに冷えた室内に収納されたい。
このままでは腐ってしまう。
今朝、しまい忘れた玉ねぎの声が聴こえた。

僕は、晴れ男だ。
出かける際には、9割の確率で快晴だ。
体育祭や文化祭前日には、神のように崇められた。
そんな力、僕には勿論ないんだけど。

僕はおそらく雨雲に嫌われているのだろう。
僕を避けるように晴れていくから。
数分前まで降り続いていた雨が、僕が家を出る時には止んでしまう。
そんなことがしばしばある。
太陽に好かれているのだから、雨雲に嫌われたっていいじゃないか。
そう言うと思う。
それでも、嫌われるという事実は、真っ白いキャンバスに落ちた一滴の黒い絵の具のように気になってしまうのだ。
僕が何かしただろうかと、そのたった一滴に、僕は囚われてしまう。

今日も忌々しいまでの豪雨だ。
刺々しい雨粒が傘を打ち鳴らす。
冷たい。
本当に冷たい。
カラカラに乾いた浴槽に収納されたい。
このままではカビてしまう。
今朝、取り込み忘れた洗濯物の声が聴こえた。

私は雨女だ。
出かける時は、9割の確率で雨が降る。
マラソン大会や長距離走の授業がある前日には、神様みたいに崇められた。
そんな力、私にはないんだけどね。

私は太陽に嫌われてしまったんだろう。
数分前まで燦燦と輝いていたのに、私が家を出る時には、分厚い灰色のカーテンをシャッと閉ざしてしまう。
そんなことがしばしばある。
雨に好かれているなら、太陽に嫌われたっていいじゃないかと思うかな。
それでも、嫌われているという事実は、真っ黒のキャンバスに落ちた一滴の白い絵の具のように気になってしまう。
私は何かしてしまったのではないかと、そのたった一滴に、私は囚われてしまう。

全てに好かれるなんて、それは無理な話さ。
曇ってしまった姿見から、そんな声が聴こえた。

僕は晴れ男だ。
雨雲に嫌われてしまった。
私は雨女だ。
太陽に嫌われてしまった。

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