ホツマツタヱに記される古代東北地方「ヒタカミ」とは?(その壱)
「古代東北地方=未開の地」はホント???
この記事からいくつかの記事に分け、ヒタカミについて書いていきます。
ヒタカミとは古代東北地方一帯の呼び名のこと。
クニトコタチの八人の皇子の1人、タのミコトが向かった場所ですね。
「古代東北地方」と聞くと、どこか「蝦夷(えみし)=未開の地・野蛮人」というイメージってありません?
「ああ、そんなイメージあるかも」
と思った方もいるのではないかと。
僕は学校の授業でそう習ったからなのか(歴史嫌いだったのでよく覚えてませんが 笑)、ずーーーっとそんなイメージあったんですよね。坂上田村麻呂が東北へ蝦夷を征伐しに行ったというのは何故かアタマに残っていて。
「蝦夷(えみし)」という言葉(文字)は、日本書紀の景行天皇の条(くだり)で、また「愛彌詩(えみし)」という言葉(文字)では神武天皇の条(くだり)で登場します。
漢字は違っても意味するところは同じで、中央政府(大和政権)から見て、関東、東北、北海道に住む人々、中央政府に従わない者たちのこと。
もちろんこれは中央政府(大和政権)から見た視点なので「従わない者=悪い奴」という図式は安易過ぎる見方だと僕は思います。
ただ、中央政府(大和政権)VS蝦夷(えみし)という図式があったのは確かですね。
でも、、、です。
「じゃあ、中央政府(大和政権)VS蝦夷(えみし)の争いの前はどうだったの?」
「・・・???」
その答えのヒントがホツマツタヱにあります。
「蝦夷という言葉が出てくる以前のヒタカミ(古代東北地方)」がホツマツタヱではとても重要な場所だったと記されているからです。
この記事を読むことで、あなたの中にある「古代東北地方=未開の地、野蛮人」という一方的なイメージが変わるかもしれません。
「これが真実」と堅苦しく受け止める必要はなく、「こういう見方もあるのね」と気軽に受け取ってもらえたらと思います。
「タカミムスビ」はヒタカミを統べる役職名だった?
クニトコタチの八人の皇子であるタのミコトが向かったヒタカミ(古代東北地方)。
実はタのミコトには別の名があります。
「タカミムスビ」
「キノトコタチ」
「ハコクニ」
う~ん、たくさんありますね(笑)
「タカミムスビという名は聞いたことある」
と思った方はいるかもしれません。
そう、古事記で高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、日本書紀では高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)として登場します。
実はホツマツタヱではタカミムスビは「役職名」なんですね。
「ヒタカミを統(す)べる」
つまり、ヒタカミを統治する役職のこと。
代々継承していくので1人じゃありません。
だからタのミコトは初代タカミムスビということになりますね。
古代には3つの「ツボ」と呼ばれる場所がありました。
・ケタツボ
・ハラミツボ
・オキツボ
「ツボ」とは祭り事を行う中心地のこと。
このうちケタツボがヒタカミにあたり、タカミムスビの宮は仙台にある多賀城ではないかと考えられています。
去年の8月に多賀城跡へ行ってきたときの写真です(※多賀城に関してはまた別の記事で)。
タのミコトには別の名がたくさんありましたよね。
なぜこんなにたくさんの名があるのか?
ホツマツタヱにどのように書かれているのかをご紹介しますね。
現代語訳をいときょう先生のやさしいホツマツタヱより引用させていただきます。
トコヨ神(クニトコタチ)が、木の実を東に植えて子を儲け、ハコクニの神(タの命)と名付け、ヒタカミ(東北)の政庁においてミナカヌシを祭り、橘を植えたので、クニトコタチ様の子、初代タカミムスビを皆がキ(東)のトコタチ様と讃えたのです。
引用:やさしいホツマツタヱ/いときょう著(ホツマ出版株式会社) P89-P90
※補足
・ミナカヌシ・・・最初の人類。神上がりされた後、宇宙の創造神であるアメミヲヤと同一となった。
・橘(たちばな)・・・「トの教え」のシンボルを表しています。
・「トの教え」・・・無私の精神で民のために政治を行うというアマカミ(指導者)の心構えのこと。
・東西南北・・・キツサネ(東はキ)。
では、まとめますね。
ハコクニ・・・父クニトコタチがタのミコトをハコクニの神と名付けた。
キノトコタチ・・・ヒタカミの政庁でミナカヌシを祀り、「トの教え」のシンボルの橘を植えたというのは、ヒタカミが国として認められたという証。クニトコタチの都は近江。そこよりキ(東)にあるヒタカミで、クニトコタチを継ぐ者として皆が認めたのでキ(東)のクニトコタチ⇒キノトコタチと讃えられた。
タのミコトが父クニトコタチからも周囲の皆からも認められた素晴らしいクニサツチ(指導者)だったということですね。
そして、ヒタカミはその後も代を重ねながら繁栄を続けます。
繁栄するヒタカミ、衰退する中央政府
でも逆にヲウミ(近江)を中心とする中央政府はというと、、、
時代が下るごとに衰退していってしまうのです。
そして決定的な出来事が起こります。
6代目アマカミであるオモタル・カシコネのときに世継ぎがいなくなってしまったのです。
でも、その危機的状況を救ったのが5代目タカミムスビとして登場するトヨケカミだったのです。
皆さんがよく知っている名では、豊受大神(とようけのおおかみ)、伊勢神宮の外宮でお祀りされている神様ですね。
僕がホツマツタヱを通して感じるトヨケカミは、
「クニトコタチのような国全体を統べる知恵や精神性を兼ね備えた賢者のような存在」
という印象があります。
一体トヨケカミはどのように中央政府の危機を救ったのでしょう?
続きは次の記事で書いていきますね。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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