読書感想文「オペレーションZ」

ハゲタカシリーズからファンになった真山仁の作品。

相変わらず、とてもよかった。一体どういう取材力、整理力、構成力、文章表現力を持っているのか。読んでいて文章や構成に引っかかるところがないし(職業柄人並み以上に敏感)、適度に頭使わされるし、何より感性を揺さぶられるから熱くなる。

日本が経済破綻(デフォルト)するという、フィクションだが、国家予算の収支を見ているとあながち全くの絵空事ではない。

歳入<歳出という当たり前にヤバい構図が続いていることは周知の事実で、毎年30兆超の国債、つまり借金が積もり続けている。

国債のため、いわば未来からの借金という形になるのだけども、その表現のせいか、生活するうえでこれを実感することはまずない。
歳出を減らす(社会保障費、地方交付税を減らす)、歳入を増やす(税収を増やす)ことが必要だが、いずれもそれを決定する政治家にとってはタブー的な事象である。

彼らは次の選挙で勝たなくてはならない。勝たないと失職してしまい、自分が生きていけなくなる。まさにジレンマである。

また、それはすなわち有権者である我々にとっても嬉しくないことで、必要だけども嬉しくないからやりたくない。簡単に言ってしまえばそういう構図になっているのであろう。

自身の保身を顧みずに国家のために必要な政策を、有権者の理解を得て実行する、そんな政治家像を、そしてその実行を担う官僚たちを本書では描いている。

改めて、政治家と官僚というのは不思議な関係性だなと思った。

日本の頭脳は官僚であるのに、指針となる政策を担うのは政治家。政治家は選挙でえらばれるため、その前提で政策をつくる。ある意味民意に沿った政策策定の仕組みなんだろうけど、選挙に勝つためにいいこと言わなきゃいけない。

官僚が政策を作ったらどうなるのであろう。

いや作ってはいるのでけど、世論に載せて、採決するのは政治家だから、政策の決定権も官僚がもったらどうなるのだろう。
もっと良い世の中になるのかな。

国会議員が頭がいいとはとても思えない。もちろん本当に凄い人もいるけど。指示さえあればタレントだろうがスポーツ選手だろうが頭がよくなくても議席は得られる。ある意味民主主義なんだけど、素直によいとは思えない。

今まで考えてこないことを考えられた。

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