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ただそれだけのことである#2【お金篇】

お金のこと

 人間の悩みの多くを占める「お金のこと」。そのことについて考えてみようと思う。

 お金のこと。お金で悩むのは、お金があればできることも、お金がなければできなくなってしまうからである。
 現代は貨幣制度を元に、資本主義社会で、お金を持っている者が有利だ。
 お金があればものが買えるし、「もの」でないものも買える。

 例えば「安心」だ。
 医療にもお金がかかる。手術するにもお金がかかる。お金がないことで、治らない病気も、救えない命もある。

 お金は命よりも重いのだ。

 お金でセキュリティを強化することもできるし、いいものを食べることで健康被害へのリスクを下げることもできる。
 変な話、お金で異性も買える。(それに価値を見いだせるかどうかは本人次第だが)

 あるいは「しあわせ」というものもお金で買えるのかもしれない。
 買えるというよりは、十分条件であって、ある意味必要条件なのだ。
 話せばきりがない。たぶん言わなくてもわかるだろう。 

お買い物

 ふと、コンビニでお買い物をしているときに気がついた。その時はわたしは千円持っていた。
 この千円があれば、タバコとコーヒーとあとなんらかのお菓子が買える、と思った。

 だけどそのときのわたしは禁煙をしていたのだ。だとすると、タバコは買わない。するとどうだろう。タバコの代わりに、お菓子をたくさん買えるし、アイスだってビールだってあるいはお弁当だって買える。

そうか、そういうことだったんだ、とわたしは気がついた。

 お買い物とは、等価交換なのだ。

 お金という道具を使って、千円とモノとを「交換」しているのだ。
 ただそれだけのことなのだ。
 そして、交換すると、つまりお買い物をすると、お金は持ってかれる。すわわち、「なくなる」

 ああそうかとまたしても思った。
 わたしにお金がないのは、いままでわたしが得てきたお金をなんらかのモノやサービスに「交換」してきたからだ。だからないのだ。
 仮にもし何も交換しなかったらわたしはお金持ちである。
 たくさんお金を持っていたのである。

 これを読んでいる人は、「当たり前だろばかやろう」と思うかもしれない。

 そのとおりだ。

 わたしは当たり前のことを言っているにすぎないし、当たり前のことに気が付いただけだ。
 だけどそれは「経済とはなんなのか」という話にもつながるのでバカにはできない。

 わたしは結局コンビニで何も買わないで家に帰った。

 千円札を見ながら。「だけどこれはただの『紙』だ」とも思った。

お金の本質について

 お金。ただの紙切れだが、人々はこれをありがたがる。
 なぜならその紙には「価値」があるからだ。
 正確には「価値に足り得る信用がある」ということだ。

 経済の話になってしまうので省こう。経済のことを知りたい方は経済の本を読めばいい。これはあくまでわたしの所見を書いたエッセイなのだ。

 だけど金(きん。ゴールド)については語っておこう。
 金の価値というものはなかなかおもしろい。
 金本位制という制度があったほど金をありがたがる人間が多い。

 わたしはそれを不思議に思う。
 だって、わたしにとっては金なんてなんの価値もないからだ。

 わたしにとってというよりは、状況によっては、金の価値なんてものも幻想であることがわかる。

 たとえば砂漠の真ん中で彷徨っていて、食うものも飲むものもない状況で、欲しいものはなんだろう。
 そこで金塊なんかもらってもしょうがないのだ。
 それよりもマクドナルドのハンバーガーとコーラのほうがありがたい。
 極論をいってしまえば、人間にとって価値のあるものなんて食べ物くらいのものである。
 金に価値があるのは、あくまで「金には価値がありますよ」という前提が人間社会で存在するから価値があるのだ。

 当たり前の話だが、動物には金なんて全く価値がない。
 だが、金に価値をおいている社会ではそれが「交換券」になる。
 金が百万円に交換することになるし、百万円あれば、まあ1年分の食料と交換することができる。

 ああ、なんだかんだ経済の話をしてしまった。

 そして、一般的にお金をどうやってわれわれは得ているのかというと、それは労働との等価交換である。
 労働との等価交換。

 すごく単純に言った。お金を得るためにたとえば投資をしてリターンを得るとか、そういう複雑なことは含まない。単純労働賃金について語る。

 そう、われわれは労働という時間をお金に変えているのだ。

 そして、時間とは、人生なのだ。

 我々は人生を切り売りして、お金と交換しているのである。

 いったい自分の人生ってなんなんだろうとも思った。

 だがなんでそんなことをしているのかというと生命線である食料を得るためにお金が必要だから、人生を売っているのだ。
 人生を売ってお金と交換し、生かされているのがわたしたちである。

 時給千円としよう。
 つまり、千円は一時間という人生の一部だ。

 千円=一時間。

 ふむふむ。

 おや、と思った。

 ただそれだけのことじゃないかと。

 数学と同じである。

 X=Y

 つまり何がいいたいのかというと、お金って、数字なのだ。ということだ。
 みんながありがたがっているお金も、ただの等価交換した数字にすぎないのだ。
 ただ、それだけのことなのである。

借金について

 借金。

 借金というものは、まあできればしたいものではない。
 なぜしたいものではないのかというと、そこには返済義務があり、「利子」がつくからだ。
 言ってしまえば「損」になる。

 お金が人生を切り売りして得たものだとするのなら、利子を払うということはつまり、自分の人生を貸主に与えているようなものだ。

 だか、わたしは思った。

 だからなんだというのだろう。

 ただ、利子がついただけだ。

 それが「損」であれなんであれ、それを払えばいいのである。(踏み倒すという方法もないわけではない)

 例えば、借金が一千万あるとしよう。一千万借りて、利子が十万円つくとする。
 まあ十万円の損ということになるわけだが、わたしはあまり利子に対して損とは思っていなくて、「時間を買った」というような見方をしている。

 例えば車を買うとして、ローンを組めば利子がつく。
 面倒なので一千万の車を買ったことにしよう。一千万の借金だ。
 その利子は「損」なのかというとわたしはそう思わなくて、
 たとえば車を買ったのが二十代だとしよう。
 その車があったから、彼女をドライブに誘えた。楽しい思い出ができた。結婚することができた。
 もしお金がないから車が買えなかった。彼女をドライブに誘えなかった。付き合うこともなかった。結婚できなかった。
 と考えたらどうだろう。

 同じ車を買うとしても、十年かけて三十代に一千万の車を買うのとはまったく「意味」が違ってくる。
 その、二十代で買った車には利子以上の価値があるように思えないだろうか。
 だとしたら、利子というものはべつに「損」でもなんでもない。

 もちろん支払い義務はあるし、それで労働をしなければならない羽目になる。

 だが、わたしはそんなことどうでもよくて、1,000が1,010になっただけだとしか見ない。

 お金はあくまで「数字」なのだ。

 あくまで数字なので、借金した時点で-1,000万ということになる。
 ただそれだけのことだ。
 借金しなければ数字は0だ。
 すると、未来の支払い義務はないし、労働することもない。

 だが、車は買えない。

 ただ、それだけのことなのである。

 お金とは、ただの数字にすぎないし、借金も数字に過ぎない。

 そう考えると、気持ちが楽になる。

忘れてはならないこと

 だけど、身内にかりた借金は話が別になる。

 利子があるないは別として、商売で金の貸し借りをしていないのではなく、身内だからという理由でお金を貸してくれた場合、そこにはさまざまな「お金以上のもの」が発生する。

 それは、「信用」であったり、「期待」であったり、あるいは「恩」であったりする。
 その貸してくれたお金は、その人が汗水垂らして働いた(であろう)人生そのものなのだ。
 その人が人生を切り売りして得た大切なお金を貸してくれたのだ。

 そういう意味では、お金は命より重い。

 ここでは、「お金なんてたかが数字だ」とは言ってはいけない。

 矛盾するようだが、それだけは忘れてはいけないことだと思う。

まとめ

 結局この記事でわたしが何を言いたかったのかというと、人間の悩みの多くを抱えるお金だけど、お金なんてただ数字が動いているだけのことなのだということ。
 一喜一憂するほどお金というものは重要ではない。

 聞いた話だけど、お金が原因で自殺する人はだいたいが数百万程度の借金だそうだ。
 数百万円で自分の命を捨ててしまうなんて馬鹿みたいな話である。
 逆に数千万、数億円借金している人は自殺なんてしないそうだ。

 わたしはこう思うよ。

 なんだか数千万円借金しているって、重い気がするけど、ただ「借金している」という状況に置かれているだけなのであって、それ以上でもそれ以下でもないんじゃないかな。

 借金がなければ健康でいて、百万円借金すると風邪をひいて、一千万借金するとガンになる、というわけでもない。

 ただ、「マイナス」であって、「赤字」であって、「借金している状況である」というだけの話だ。

ただ、それだけのことなのである。

 と、わたしは思うよ。

 おそらくまだまだ勉強不足なのでお金についてはもっと知りたいと思います。

 おわり。


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