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値上げを成功させるためには何をすべきか?

久しぶりの投稿です。かつけーこと勝田慶です。
9月1日に正式に中小企業診断士になりました。
それに合わせて今後の発信コンセプトを見直ししました。

忙しい中小企業経営者やビジネスパーソンの方向けに、読む・聞くだけで明日からの経営に役立つ(かもしれない)小話を発信していく予定です。

というわけで今回はここ最近の企業の課題であると思われる「値上げ」について、自身の営業経験を踏まえてどのように進めるのがよいか書いていきます。

ポイント①自社製品・サービスの付加価値を正しく理解する

値上げを顧客に要請するためには、まず自社の提供する製品・サービスが顧客にどの様な価値をもたらすかを顧客目線で理解する必要があります。
競合製品や代替製品がある中で、なぜ自社製品を選ぶ必要があるのかを客観的に理解し、顧客に説明することで、値上げをするなら他社に、という心移りを抑止することにつながるでしょう。

自社製品・サービスの強み(とすべき点)って何だろう、という方、実は多いのではないでしょうか。
他社にはない技術や品質、取扱製品のラインナップの多さ・深さ、顧客の困りごとにワンストップで対応できる対応力・商品知識、コスト競争力(安売りすることではなく)など、何が強みかを改めて理解して自分の言葉にすることで、自信をもって値上げを申し入れることができるのではないでしょうか。

ポイント②値上げの背景を理解し、見える化する

自社の強みを理解しても、なぜ値上げをしなければならないかを納得してもらえなければ顧客を説得できないのではないかと思います。

現在でいえば原料コストの高騰、為替影響、人件費、物流コストの増加等がコストをひっ迫しているのが主要因、というケースが多いのではないでしょうか。
これらの要因について、過去からの推移を数値・グラフで見える化し(昨年同時期から●●%上昇した等)、これらの上昇がなぜ起きているのか、今後どうなると想定しているかまで説明できるように理解することで、顧客が値上げ断固拒否の姿勢から話を聞いてもらえるようになるでしょう。

また、値上げができないと何が起きるかについても説明するとよいと考えます。
相手を脅すような言い方は逆効果となる可能性がありますが、値上げができないことで社内での立場が弱くなり、供給自体ができなくなる可能性がある、不採算事業となることで事業撤退のリスクがある、など現在からの地続きで起きうるリスクを本音ベースで説明することも有効と考えます。

ポイント③交渉相手と「その先」を思いやる

ここまで自社側の事情や状況について顧客に理解してもらうための動きでしたが、当然交渉相手の立場についても考える必要があります。
交渉相手が購買の意思決定権がない場合もある場合も、その人一人の判断で値上げを受けるかどうか決めるということはないと思います。
上司や社内幹部、または公共事業や民間大規模事業の場合には事業主体への説明が求められるということが想定されます。(自分の場合どうかと置き換えてみればイメージしやすいのではないでしょうか。)

交渉相手がこちらのお願いしている値上げを承認してもらうためにどの様な情報が必要か(例えばポイント②で挙げたような情報)を聞き、一緒に値上げ受諾に向けたストーリーを考えましょう、というスタンスで会話できれば、こちらの強力な援軍に代わってくれる可能性があります。

また、自社内で値上げの目標ラインと最低(それ以下であれば撤退やむなし)ラインを明確にしておき、その範囲内でバッファーを持たせながら交渉することも重要です。
最後の一押しで(バッファーの範囲内で)もう一段値上げ幅を縮小することで、交渉相手に頑張ってくれた、という印象を与え、次回以降の交渉に向けたよい関係を築くことができると思います。

まとめ

ポイントをまとめると以下の通りです。
①自社製品・サービスの付加価値を正しく理解する
②値上げの背景を理解し、見える化する
③交渉相手と「その先」を思いやる

これらのポイントに加え、最も大事なことは「価格交渉を『自分ごと』にする」ことではないかと思います。
上司が値上げせよと言っているから、他社も値上げしているから、といった形で受け身・他者起点の考え方で交渉に臨んでも言葉に説得力が出ないはずです。
自分がそうすべきと心から考えているから、というマインドで値上げを申し入れすることが、相手に響く交渉となるための条件ではないでしょうか。

引き続き円安、原料高等続き値上げが必要な状況は続くと思われますので、参考になれば幸いです。

それではまた。

かつけー/勝田慶

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