ユメのクリスマス
あるところに、二人の、仲良し父娘がおりました。
この物語は、この仲良し父娘のクリスマスに起こったとびっきりの奇跡の物語。
ユメ『ねぇ、パパ、今日はクリスマスだよ。
一緒に家でケーキ食べるんだよ!
それから、ユメおりこうさんにしてるから、大きな大きな、くまちゃんのぬいぐるみー!』
パパ『そうだね、一緒にケーキ食べようね。
パパ、お仕事終わったら、すぐ保育園に迎えにくるからね。』
ユメ『うん!ユメ、おりこさんしてまってる。』
パパ『じゃー、一緒に、ママに行ってきますしようね』
ユメ『はーい!』
ユメちゃんのママは、ユメちゃんが、今よりも少し小さな頃、病気で亡くなりました。ユメちゃんは、ママとの思い出は、とても少ないのです。
ただ一つ、はっきりと残っている記憶がありました。それは、ママとのおまじないです。
ユメ『ママ‐!いつもの、おじまないちてー!』
ママ『おまじないね、ユメちゃんが、今日も、笑顔で元気で、可愛いくいられますように、』
と、ママは、優しくユメちゃんのオデコにチュ、お鼻にチュとしました。
そして、ユメちゃんも、ママのオデコにお鼻にチュっとしました。
パパ『あー、ずるい!ユメちゃんパパにもパパにも、』
ユメ『ヤダー‐‐!!!(超全力)』
パパ『ガーン、じゃーママー!』
ママ『ヤダー‐‐!!!(超超全力)』
パパ『ガガーン』
ユメ、ママ『アハハハハ』
パパ『言う事聞かないと二人とも、食べちゃうぞー!!』
ユメ、ママ『逃げろー、アハハハ』
と、ユメちゃんは、ママとしたおまじないだけははっきりと、覚えているのでした。
パパ『では、宜しくお願いします。ユメちゃん、行ってくるよー』
ユメ『ばーいばーい』
と、パパは、保育園にユメをあずけお仕事にいきました。
ユメちゃんは、いつもよりも、パパのお迎えを、ワクワクドキドキしながらその日をすごしました。
しかし、どうしたことか、お迎えの時間になってもパパは、来ません。
ユメちゃんは、だんだんと眠くなってきました、日も暮れかけたその時、保育園の先生達が、あわただしくなり、ユメちゃんを車にのせ、病院に、つれていきました。
ユメ『ここ、ど〜こ?ねぇ、パパは?』
と、今にも泣き出しそうなユメちゃんを、先生が、一つのお部屋へ連れていきました。
そこには、たくさんの機械にかこまれ、ベッドに、寝かされ目を閉じたままのパパがいました。そばには、汚れボロボロになった大きなくまの、ぬいぐるみが、ありました。
ユメ『ねえ、パパはどうしてお昼寝してるの?もうお外は真っ暗だよ、ねぇ?どうして?』
涙をこらえたユメちゃんが、たずねました。
そして、パパにも、
ユメ『パパ、お〜きて、お昼寝お〜しまい!おうちかえって、ケーキ食べようよ!ねぇパパー。』
と、涙を流しながらパパを必死に起こそうとしましたが、パパの目は閉じられたままです。
パパは、仕事帰り、大きなくまのぬいぐるみを買いケーキを買おうと、ケーキ屋さんに行く途中にある横断歩道で信号無視の車にはねられてしまったのです。
ユメ『パパー。起きてよ起きてよ、やだよー。
サンタさん、もうプレゼントはずっとずっといりません、だから、パパを、おこしてください。パパを、返してください、パパ、パパ、パパー。』
ユメちゃんは、病院中に響く声を出し、必死に必死にお願いしました。看護婦さんや、先生達が止めようとしても、ずっと大きな声で、『パパを返して』と、窓の外に向かい叫び続けました。
すると、いきなり、病室が眩い光に覆われ、ユメちゃん以外の、人達がお人形さんのように、動かなくなりました。そしてどこからともなく、シャンシャンシャンと、鈴の音が聞こえてきました。
ふと、ユメちゃんが、パパの方を見ると、
そこには!とても、懐かしく愛おしい後ろ姿の女性がパパのそばに立っていました。
ユメ『マ〜マ?』
ママ『ユ〜メちゃん!』
と、振り返り、両手を広げると、
ユメちゃんは、
ユメ『ママー!』
と、ママに抱きつきました。
ユメ『ママ、ママ
ママー、パパが、パパが』
ママ『大丈夫だよ、ユメちゃん、ほら、おまじない』
と、いつものおまじないをしました。
ママ『ユメちゃんが、今日も、笑顔で元気で、可愛いくいられますように』
と、オデコにお鼻にチュ。
ママ『さぁ、ユメちゃん、今度は、パパにしてあげて、』
ユメ『うん。わかった。パパが、今日も笑顔で元気でユメとずっと一緒にいられますように』
そして、オデコにお鼻にチュしました。すると、パパが眩く温かな光に包まれました。
ママ『ユメちゃんは、おりこうさんね、もう大丈夫よ、さ、ママは行かなきゃね』
ユメ『ヤダー、ヤダヤダヤダヤダー、ユメちゃん、パパとママと三人でずっとずっとずっと一緒なの』
ママ『あらあら、ユメちゃん。ママはね、ずっとユメちゃんとパパのそばにいるのよ。だから、ユメちゃんママにもおまじないして、』
ユメ『ママは、どこいくの?一緒いてくれないの?ママー、寂しいよ』
ママ『ママはね、お空から、ユメちゃんのこと、見てるのよ。だからなんにも寂しくないのよ、ほら、みてごらん、』
と、窓の外をみると、そらいっぱいにお星様がキラキラと、輝いていました。そして、まんまるお月さまのすぐとなりに一番に輝くお星様が、
ママ『あの一番輝いているお星様がママだよ
』
ユメ『ママが一番光ってる。凄いね』
ママ『そうよ、ユメちゃんのママは凄いのよ!えっへん!悲しい時や、寂しい時はおそらを見上げてね、ママがいるから。』
ユメ『えっへん(笑)ママ、大好きよ』
ママ『おりこうさん。ママも大好きよ。さ、おまじないして』
ユメ『ママが、今日も笑顔で元気でずっとずっと一番に光ってますように、えっへん(笑)』
ママ『ユメちゃん、ありがとう。愛してる』
と、ママはたちまちに、光に包まれ、空の一番に輝くお星様へと吸い込まれるように消えていきました。
そして、シャンシャンシャンとすずの音が響きわたり、静かに消えていきました。
ユメ『ママー!!』
と、その時、
パパ『ゆ、め、』
ユメ『パパー!!!』
そして、ユメちゃんが、小学生になったクリスマス。
ユメ『パパ、今日は絶対に、早く帰ってきてね!』
パパ『わかってるよ、ケーキも買ってくるからね。さ、おまじないして、毎年、何故かクリスマスの朝にだけ、してくれる。ほんとは、毎日してほしいのだけどね、』
ユメ『毎日は、嫌だセクハラ〜(笑)』
パパ『ちょ、そんな、言葉まだ、教えてないよー。』
ユメ『エヘへ、はい、おまじない、パパが、今日も笑顔で元気でユメとずっと一緒にいられますように、チュ』
パパ『よし!じゃー今夜は、クリスマスパーティーだ!行ってきまーす。』
ユメ『行ってらっしゃいパパ!』
その日の、クリスマスも二人温かく、笑顔で過ごしました。ちなみに、このおまじない、ユメちゃんが中学生になると、やらなくなりましたとさ(笑)
けれど、パパとのクリスマスパーティーは、ユメちゃんが高校生になっても続きましたとさ。
ユメ『ママ、愛してる。』
お〜しまい。
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