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【書き起こし】『メランコリック』×田中征爾監督

活弁シネマ倶楽部です。
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満席続出!!緻密なストーリーテリングで魅せる『メランコリック』田中征爾監督が語る!!活弁シネマ倶楽部#43

(森直人)始まりました、活弁シネマ倶楽部。この番組のMCを務めます、映画評論家の森直人です。どうぞよろしくお願い致します。今回のゲストをご紹介したいと思います。話題の新鋭監督、田中征爾監督です。ようこそおいで下さいました。実は、今日がはじめましてで。ちょっと早い段階で見せて頂いて、すごい面白い作品で劇場パンフレットなどにも書かせていただきまして。

(田中征爾)素敵な文章を。

(森直人)ありがとうございます。今日は直接良いお話を聞けるということで楽しみにしてまいりましょう。なんでも聞いても大丈夫ですか?

(田中征爾)なんでも大丈夫です。

(森直人)では、恒例のということで...田中監督のプロフィールを簡単にですが、ご紹介させていただきます。1987年8月21日福岡県生まれ32歳の誕生日を迎えられたばかり、日本大学芸術科学演劇学科脚本コースですね。劇作コースを2年で中退されて、映画を学ぶためにカリフォルニア州の大学に、オレンジ・コースト・カレッジに入学。帰国後は舞台の演出及び脚本執筆をしつつ映像作品を制作。現在はベンチャーのIT企業にお勤めをされています。今日は平日ですけど大丈夫ですか?

(田中征爾)仕事を終わらしてきておりまして、会社の中でも映画のことは皆さん応援していただいて、「今から取材行ってきます」みたいな感じで。

(森直人)ベンチャーなので、服装も自由な感じなんですか?

(田中征爾)そうですね。

(森直人)これが普段。そして昨年ですね、2018年初長編監督作品『メランコリック』が東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門監督賞受賞。そして今年5月、イタリアのウディネファーイースト映画祭で新人監督作品賞、ホワイト・マルビリー賞を受賞され、さらに書き加えなきゃいけないんですけど、ドイツのニッポン・コネクション、ニューヨークのJAPAN CUTSで観客賞受賞。すごいですね。どこで上映されても、軒並み観客が沸くっていう状態になるっていうことですよね、国問わず。イタリアの時もすごかったと。

(田中征爾)演出がすごいですよね。

(森直人)演出。どんな感じだったんですか?

(田中征爾)まず初日の一番最初のオープニングセレモニーでワンチームずつゲストが呼ばれるんですけど、暗い中、そこにスポットが一組ずつパンパン、音楽ボーンと。お客様も。

(森直人)手厚い感じで。

(田中征爾)本当にお祭りですよね。

(森直人)元々ピンク映画の特集だったりとか、日本映画の面白いことをやっている変わった映画祭ですけど、最近、ますます面白くなってきて。それで、『メランコリック』が8月3日から劇場公開、絶賛公開中というわけですけど、海外回ってきつつ日本で公開されて、お客さんの反応とかはいかがですか?

(田中征爾)正直、海外で上映していただいてうかがう感想って「面白かった」という感想しか耳に入ってこないんですけど、日本で公開されてからの感想は賛否どっちも入ってくるので、どっちかというと日本で公開されてからの感想の方が新鮮でした。

(森直人)おもしろいですよね、やっぱり。映画祭で評価されるとなると、基本ポジティブな意見ですから。劇場公開ってそういう意味では本当にどっちも出るよというような、作品を投げ放つ感じ。そこはニュートラルに受け取られるタイプなんですか?

(田中征爾)最初はもっとうまくなんなきゃみたいな、それは未だにありますけど、演出だったり、脚本というところの技術を上げなきゃなという風に思いました。今は割とポジティブの意見の方がかなり多くなってきたので、逆にネガティブな意見が減ってきたというか割合、比率が減ってきたので、別に傷付くとかじゃなくて。単純にもっとうまくなりたいなという気持ちだけを持ち続けるみたいな。

(森直人)その冷静さは素晴らしい。インタビューも色んな所を回りつつ、劇場公開もあったということで、沢山受けれたと思うんですけど、どういったことを一番聞かれますか?

(田中征爾)一番聞かれる質問トップツーが明確にあります。まずは、この作品の成り立ちですね。自主映画ということで、どういう風にこの企画が始まったのかというところです。

(森直人)経緯は?みたいな。確かに聞きたくなる。

(田中征爾)もう一個は、『メランコリック』というタイトルの意図。

(森直人)たしかに、意外と分からないかも。タイトルはどの段階で出てきたんですか?

(田中征爾)この長編を作るにあたって、短編版を1個、パイロット版で作っているんですけど、その短編の脚本が出来上がった後ですかね、多分。この三人で。One Gooseで。

(森直人)One Gooseでという同い年トリオで、87年生まれトリオで作っている映画なんですけど、(タイトルは)出てきた、フッと。

(田中征爾)3人のLINEグループで喋って出てきたタイトルです。

(森直人)あ、LINEの中で。誰が出したか分かりますか?

(田中征爾)多分、僕ですね。

(森直人)その時どう答えているんですか?このタイトル、なぜ『メランコリック』なんですか?って聞かれた時。

(田中征爾)実は明確に理由があって、メランコリックは「憂鬱な」という意味じゃないですか。だけど、メランコリックという言葉の音自体は可愛いというか、キュートさがあるというか。本質は憂鬱だけど、そこから生まれる音とかモーメントは可愛げがあるというのが、この映画の雰囲気と僕の人生観を言い表しているような感じがして。最終的には死ぬけど、本当に可愛げがないほど憂鬱だったら、英語だと「depressing」になるんじゃないですか。ちょっとまだ可愛げがあるということで、この映画の、やっていることはもの凄い悲惨なことですけど、ちょっと笑えたり、可愛げのあるシーンがあったりとかっていうのが、この言葉と雰囲気が合っているかなと。

(森直人)ちょうど位相がピタッと、メランコリックという言葉を当てはめれば、作品のカラーと合うなみたいな。なるほど、面白いですね。たしかに、キャッチコピーみたいですよね、メランコリックというのが。タイトルなんですけど、この作品のコピーとして秀逸な気がします。それで、この作品は面白いんですよ。間違いなく面白いんですけど。僕もパンフにもレビューを書かせて頂いたんですけど、どういう面白さなのかを解いていくというか、説明するのが難しい。そこがまた魅力だと思うんですけど、捉えがたい面白さ、そこがまた面白い。ここで今日お聞きしたかったのが、『メランコリック』がいかにして作られたか、形になっていったかなんですけど。さっきおっしゃったように、「作品の成り立ちは?」と聞きたくなるんですけど、それはパンフレットでも田中監督が詳しく書かれているし、何遍も語られているから飽き飽き(笑)

(田中征爾)全然、むしろ最近は...ウディネの時は本当に初めてぐらいあんなにインタビューを受けたので、今は「皆、知りたいんだな」ということで、むしろ積極的に伝えなきゃいけない内容なんだと思っているので。

(森直人)不機嫌にならない?(笑)じゃあ、お聞きしたいんですけど、主演の皆川暢二さんがプロデューサーも兼ねて、彼が言い出しっぺで、One Gooseというトリオが出来上がった。この作品の為に、ということでいいんですか?結果的には。

(田中征爾)そうです。

(森直人)バンドメンバー的に紹介して欲しんですけど、その3人を。

(田中征爾)皆川暢二くん、実物は物凄くハンサムなんですけど。彼が2017年の頭位にいきなりFacebookに「映画を作ります」と言い出したんですけど。僕はその時、「頑張って欲しいな」と思っていたんですけど、でも、すぐに連絡が来て、「実は監督と脚本をやってほしい」みたいな。彼と僕は7,8年前ぐらいに、共通の知り合いの演出家・劇作家さんがいて、その人の現場に、半分見学半分演出助手みたいな感じで両方呼ばれたんです。

(森直人)それは舞台?

(田中征爾)舞台です、小劇場。そこで出会って、その時はそんなに仲良くなるというわけでは無く。7,8年後に映画を作る時に声を掛けてくれた。

(森直人)じゃあ結構いきなり?そんなに仲良くないのになみたいな。

(田中征爾)それからいろんな舞台で、舞台も狭い世界なので、見に行った時に2階の場所に彼が居たりとか、僕が見に行った舞台に彼が居たりとか。

(森直人)じゃあ多分一緒に仕事やった時に、何か皆川さんが田中さんにピンとくるものがあった。

(田中征爾)彼はそう言っていますね。当時若かったので...演出助手っていう...ほぼ見学なんですけど、その時出られていた役者さんたちは皆、40,50歳以上の小劇場界でキャリアがある方々だったんですけど、「ここどうしようかね?」みたいなことを喋っている時に、僕が意見を言うわけですよ。若かったので(笑)

(森直人)なるほど、大先輩に向かって20歳そこそこの若造が(笑)
(田中征爾)今だったら絶対やらないですけど(笑)その意見を納得して取り入れてくれてたりもして、その感じが印象に残っていたみたいで。

(森直人)目の付け所がいいですよね。こいつは自分を持っているなみたいな感じが見えた。

(田中征爾)その時の印象だけで声を掛けてくれたらしいです。彼は磯崎義和ですけど、普段は黒髪です。この役の為に金髪にしています。

(森直人)宣材写真でそう思いました。役作りっていうことなんですね。

(田中征爾)そうです。彼は、僕が日芸で大学1年の時に知り合って、その時からお互い唯一の親友の親友みたいな。

(森直人)そこはずっと仲良く。磯崎さんは演技コース?

(田中征爾)そうです。

(森直人)今回は、松本晃役っていう助演と、彼がアクションをするアクションパート担当の役であったりもするので、アクション演出と構成は彼がやられたんですよね。この3人が一緒にやっているというのは、傑作の秘密の一つではあると思うんですけど。この二人の面識っていうのは?

(田中征爾)彼ら二人はまた別の、長尾雄一郎さんという映画監督がいて、彼のショートムービーで共演して知り合った。

(森直人)そうなのか。それでグルっと回って、この3人が結成。

(田中征爾)彼が僕と彼に同時に声を掛けてきたって感じです。

(森直人)僕が映画を見た印象の最終的な一つのあれなんですけど、バンドマジックみたいなもんかなと一つ思って、この3人でしか出せない音が鳴っているようなイメージなんです。不思議な映画なんですよね。やっぱり個性が混ざっているからなんだろうな、というのは一つ思って。今日は、田中さんに是非お聞きしたかったのは、脚本コースを取られていたということで、脚本、あるいは物語の作り方について詳しくお聞きしたいなと思っていて、宜しいですか?

(田中征爾)大丈夫です。

(森直人)手の内を晒すような(笑)脚本を書かれるという人に見て欲しいなっていう内容になったらいいんですけど。まず、思ったのが、実は正攻法って気がするわけです。

(田中征爾)おっしゃる通りですね。

(森直人)やっぱりそうですね。オーソドックスなんですけど、えらいユニークに見えるっていうのは、ある種理想的な形だと思うんですけど。パンフレットでも語られていたと思うんですけど、基本はいわゆる三幕構造というものですよね。見ている方に説明しますと、4コマ漫画の起承転結みたいに、長編映画を構成する際のストーリーの黄金律と呼ばれている王道のメソッドっというのがあるわけですよ。それを田中さんは、「発端」「葛藤」「解決」という言い方をされていて。それは色んな言い方があるんですけど、例えば、シド・フィールドの『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』とか、ブレイク・スナイダーの『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』とか、日本でも教則本的な理論書っていうのが、邦訳が出てたりとか、そういうところで読めるところではあるんですけど。エンターテインメントのヒット作は、この法則に則って組み立てられているっていうのがあって、一番土台となる設計の骨組み。ここを、特に自主映画を色々と観てて思うんですけど、割と素通りして脚本を書かれている監督さん、自分で書かれている監督さんが多いと思うんですが、その中で、田中さんはガチっと抑えている。まず、これをちょっとお聞きしたかった。これが独学?

(田中征爾)半分は独学みたいなものです。アメリカの大学でも脚本コース、脚本の授業...

(森直人)あ、オレンジ・コースト・カレッジでも脚本を学ばれていたということですか?

(田中征爾)一応映画専攻で卒業しているんです。映画専攻で卒業するにあたって、この授業は取りなさいねっていうリストがあって、その中に脚本の授業もあって、その脚本の授業の影響がまず一番大きいです。

(森直人)それは日芸の時っていうよりかは、留学した時の方が?

(田中征爾)そうですね。日芸の時の授業って、良い意味でも悪い意味でも全部の授業、先生の主張なんです。アメリカの授業はどちらかというと体系的に教えてくれるので。

(森直人)それ実はすごく聞きたかったところなんですけど、なるほど。

(田中征爾)僕が、理屈で考えて行く方が性に合っているので。体系的に、「こういうルールがあるんだよ!」と教えてもらった方がテンションが上がったので。面白い。だから、それを学んでからは、色んな映画の、過去の映画の法則を全部書き出してみるとかが楽しくしょうがなくて。

(森直人)そこで独学が始まって。面白いですね。写譜じゃないけど、音楽をコピーするみたいに、「これはこういう構造になっている」って起こしていったんだ、譜面的なものに。

(田中征爾)それが楽しかったですね

(森直人)どういう映画を起こしたりしたか覚えています?印象的だったのは?これは面白い構成になっているな、みたいな。

(田中征爾)『英国王のスピーチ』は、あまりにまんま過ぎて。なのに、ああやって格調高い、作品賞まで取る作品になる。何分に何が起こるかという所まで、完璧にルールブック通りにやっているけど面白いっていうところが、素晴らしいなと思いました。

(森直人)これは、本当に重要なお話をされていると思うんです。意外に基本を抑えるっていうところが、どれだけ強いかっていうのは...僕は色々とみるんですけど、おっしゃる通り、オスカー取るような...もしかしたら『グリーンブック』とかもそうだと思うんですけど。

(田中征爾)完全にそうですよね、

(森直人)『グリーンブック』は正直、あんまり好きじゃないんですけど(笑)あの辺まで行く映画っていうのは、結構そうですよね。そこをされているのが、すごいなって思いました。『英国王のスピーチ』もそうなんですね。

(田中征爾)笑えるぐらい、そのままですね。

(森直人)むしろ、ずらすのが難しいってことになるのかな?そこまで黄金律っていうのがはっきりしていると。

(田中征爾)そうですね...どうなんでしょうね。意識してズラすことはそんなに難しくはないんですけど。ただ、意識してズラしたものが、きちんと面白いという意味で、正解になるかどうかはまた別の話。

(森直人)それでいうと、上手いこといっやっているよな。またインタビューを参考にさせてもらってるんですけど、主人公の和彦という名前のキャラクターが...いいか、見たらわかるもんね。殺害現場に関わってしまう、つまり、巻き込まれ態勢に入ってしまうというところを、114分の尺なんだけども、ほぼ30分目に置いているというように語られていたんですけど、これは脚本段階で設計されていたことなんですか?

(田中征爾)脚本段階というか、プロット段階で設計をしていました。何分でこういう形に持っていくというのは。

(森直人)それって、例えば演出、編集っていう作業を経ないと完成形にならないんですけど、脚本の段階でそこの曲がり角というか、三幕の最初の「発端」から移る部分のターンチェンジのところは確実にバシッと決めていたっていうことですか?

(田中征爾)そうですね。30分前後という形になりますけど、編集とか役者さんの演技とかで多少前後はしちゃうんで、大体このくらいには持ってこようと。

(森直人)だから、そういうことやってたわけですよね、自分で起こすというのは。面白いな。普通に見ていたら、今何分とか考えないじゃないですか。

(田中征爾)僕はもう必ず、映画館でも家で観る時も、時計を見ながら観るのが趣味ですね。

(森直人)面白いな。常に構造を考えて、今変わったみたいな、チェックチェックみたいな。それで、黄金律に乗っ取ってはいるんですけど、それでもすごく変わった物語、オリジナルティのあるものになっていく。これはなぜか?というところで、色々と秘密があると思うんですけど、その着想と転がし方についてお聞きしたいんですけど。最初に短編を作ったんですよね?さっきもおっしゃられていたように。それって銭湯が舞台ではなかったと聞いたんですけど、基本は同じなんですか?

(田中征爾)そうですね。殺害現場の掃除をバイトでやることになる主人公、というところは同じです。

(森直人)そこはどこから出てきたんですか?

(田中征爾)一番最初に、彼ら二人が共演したのも長尾監督のアクションショートムービーだったんです。だからアクション要素をやりたい、アクション映画をむしろやりたい。

(森直人)磯崎さんもいるし、みたいな?

(田中征爾)そうです、そうです。一回考えてみたんですけど、アクション映画で、しかもインティーズだから、自主映画だから、オリジナルティは出さなきゃいけないという時に、アクション映画で脚本でストーリーでオリジナルティを出すのは、めちゃくちゃ難しいなと思ったんです。だから、アクション映画にはしないでおこうと考えた時に、アクション映画にたまに出てくる殺害現場の掃除屋みたいな人たちいるじゃないですか。最近だと『ジョン・ウィック』とか。あの人たちは本当はお仕事大変なんだみたいなことを描くと面白いじゃないかと。プラス、その時に『ブレイキング・バッド』にハマっていたから。

(森直人)これね。『ブレイキング・バッド』のことを語られていて、これ気付きたかった(笑)なるほど。ブライアン・クランストンが和彦だわ!っていう。元々天才科学者だったけど、人生詰んできて、高校教師をやっていて家族を抱えて、バイトもしているんだけど麻薬ビジネスに...

(田中征爾)そうですね。嫁が病気になっちゃって余命が少ないということで。

(森直人)金のために、麻薬ビジネスという裏社会でどんどん大物になっていく。これを聞くと、『メランコリック』がテレビシリーズになったら和彦がどうなるのかっていうのを暗示している気にもなるんだけど。でも、『ブレイキング・バッド』、なるほどねっていう。それで肉付けしていって、形にしていって。和彦の設定が東大卒のニートの三十路男なんですよ。で、さっき知ったんですけど、うちのスタッフの菊地さんが三十路男なんで、別にニートじゃなくて社会人なんだけど東大出ているというね。それで共感したみたいな。東大卒のニートっていう、この設定はどこからですか?

(田中征爾)ここはナチュラルに思いついたところで、『ブレイキング・バッド』もああいう麻薬ビジネスに手を染めていくので、半分家族の為と言いつつ自尊心を満たすためというところが大きいじゃないですか。こっちも主人公が危ない仕事をやるっていう時に、やっぱり自尊心というのが大きな動機になりうるだろう。実は半分僕の、半分どころじゃないですね、完全に僕自身の投影だったりもするんですよね。僕は東大じゃないんですけど、高校が進学校で、今はうだつのあがらない生活というか...家族もいたりもするからそんなこと言うと怒られちゃうんですけど(笑)別に脚本家として売れているというわけじゃない。

(森直人)書く時、『メランコリック』できてないと時だからね。

(田中征爾)そうです。やっぱりそういう主人公像が、僕が一番書きやすかったところじゃないですかね。

(森直人)エリートコースに乗るはずだった人が、『ブレイキング・バッド』もそうか、そこから外れちゃった。さぁどうする?という風な感じの人物像が、田中さんご自身も感情を持って書ける。プレス用の資料だったと思うんですけど、ウディ・アレンがお好きだと語られていて、言われれば、マンハッタンじゃなくて日本の下町にいるウディ・アレンをいじっていくとこうなるのかな?みたいなことも思ったんですけど。そういうイメージもあったりもする?

(田中征爾)眼鏡をかけているのはやっぱりウディ・アレンの影響です。

(森直人)そうだよね。じゃあこれって、皆川さんと共有して作っていったようなキャラクターでもあるんですか?

(田中征爾)ウディ・アレンが好きっていうのは、彼は知っていますけど、ただ、この人物の喋り方とか動きとかは、完全台本から彼が想像して作ったものです

(森直人)そうなんだ。うまくシンクロした感じですよね。この眼鏡とかも。

(田中征爾)そうですね。髪型とか動きとか喋り方とか表情とか、まず外見から作って、内面を埋めていったという風にこの間言ってました。撮影の時知らなかったです(笑)

(森直人)意外にそこを詰めていかないで、それぞれお任せのものを持ち寄るような感じで?

(田中征爾)そうですね。あと、リハーサルやる時間がなかったので、本番でその時に「あぁ、いいね」みたいな。

(森直人)東京国際にギリギリだったでしょ、撮影、編集が。ギリッギリでバッと送ってっていう。そういう意味では、むしろ詰めないまま入ったのが良い方にいったっていうところもあるかもしれない。

(田中征爾)撮影にあたっては、キャスティングで力のある役者さんに協力頂いていたので、なんにもしなくても。

(森直人)脚本でやれることをやったら、後は現場に入れば大丈夫みたいな感じ。でも、その脚本作りっていのが、面白いなと思う所が、3人で作るということを前提にした脚本であるっていうことですよね。それぞれの持ち味を田中さんが引き受けて、活きるように出そうというところが。それが根底にあるから、本当の設計図、有機的な設計図になっていくという。面白いですよね。磯崎さんは、磯崎さんを念頭においてキャラクターを作っていった?

(田中征爾)そうですね。彼はもう、学生時代に一緒に劇団をやったりとか、帰国してからは僕の映像作品を出てもらったりとか、彼が技術のある役者だというのも分かっていたし、むしろ彼が世に出る手助けをしたいとずっと思っていたので。ここまで人気が出るとは思っていなかったです。

(森直人)人気出ますよ。松本は良いキャラクターで、何が良いかっていうと、どんどん印象が良くなっていくんですよ。最初は履歴書もろくに書けないのかみたいな感じで出てくるじゃないですか、どんどん上がっていくんですよ。それは彼へのプレゼントじゃないですか?

(田中征爾)いやいや(笑)キャラクターの人気が出るかどうかとか、あんまり考えてなかったです。

(森直人)本当に良いキャラクターですよね。段々タフな部分っていうのが見えてきて、でも純情であるってところも見えてきて。さらにしつこくお聞きしてもよろしいですか?『メランコリック』をあえてジャンル分けするなら、作劇のボディっていうのは巻き込まれサスペンスだと思うんです。ただ、サスペンスがすごく繊細で多層的に作られていると思うんです。サスペンスっていうのは、どういうことかって言うと、本質的には、「見えている世界と違う」ということだと思っていて。つまり、『メランコリック』もまさにそうなんですけど、一見なんの変哲もない日常が、我々の周りにも広がっている日常が映画の中に広がっている。でも、それをめくっていくと、その裏に思いもよらない世界が広がっていく、あるいはその予感が続く。その表と裏の反転の見せ方がすごい面白いなと思っているんですけど、それは相当意識されてやっていることですよね?

(田中征爾)実は、僕の中ではサスペンスではなくて。僕の中では、和彦というキャラクターを主人公としたただの人間ドラマなんですよ。感想を見て、『たしかにな』と思ったのが、『プラダを着た悪魔』を見ているんだと。

(森直人)あ、仕事モノとして。

(田中征爾)そうです。たまたま選んだ仕事がこういうことだったっていう。

(森直人)なるほど、通過儀礼的な。それとも読めるな、確かに。

(田中征爾)なので、彼の成長を描くにあたって、彼の家族、仕事、恋人という周りを描くことで中心にいる彼を炙り出していくという手法を僕は取ったと思っているので。

(森直人)これは聞かないとわからないです。なるほどね。

(田中征爾)だから、全部見せている仮面が違うわけです。それをドラマが進むにあたってどう交差させていくかっていうところが多分人間ドラマの本質だと思うんですけど。僕が大好きな映画『グッド・ウィル・ハンティング』なんですけど、あれも友達に見せている顔とロビン・ウィリアムズに見せている顔と。

(森直人)あれも掃除の話(笑)

(田中征爾)実はだから、本当は一番最初の階段の所で掃除をしているシーンがあるんですけど、東大の廊下とかでやって『グッド・ウィル・ハンティング』にしたかったんですよ。

(森直人)聞いたらなるほどな!と思うんです。『グッド・ウィル・ハンティング』もハーバードで、マット・デイモンとベン・アフレックが...マット・デイモンの方だな。あれがハーバードで、天才数学者なんだけども...みたいな設定があるんですよね

(田中征爾)だから、本当は、『グッド・ウィル・ハンティング』みたいな感じで名門大学の廊下を掃除させたかったんですけど、ちょっと撮影許可が得られなくって。

(森直人)すごい分かります。面白いですね。

(田中征爾)たまたま選んじゃった仕事がこれだったていう。

(森直人)やっぱり研究家だな。研究結果がこの脚本に詰まっている感じがしてきました。今のお話を聞いて思ったんですけど、仕事モノ、仕事モノの通過儀礼モノっていう捉え方、言われたら僕もしてて。パンフレットにも書かせてもらったんですけど、一番好きなシーンが結構早めに出てて...彼が死体処理の仕事をするわけですけども、初めてギャラを貰うんです。こんな仕事なんだけど、すごく爽やかな感じの「あぁ、仕事した」っていう満足げな。全体としては完全にヤバい方に転がって行っているんだけど、、全体の運命としては不穏なんだけど、その瞬間すっごい爽やかな顔をする。これは面白いなと思いました。でも、仕事ってそういうところありますよね。どんな仕事でも自力で金を稼いだ時の、特に彼はしてなかったから。あれは実感がこもっているんですか?

(田中征爾)どうなんでしょう...もちろんああいう体験をしたことは自分の人生であるとは思いますけど、実感から引っ張ってきたというよりは、彼の「東大卒」っていう...いわゆる彼をずっと追いかけている亡霊にやっと対峙する力を得たっていうシチュエーションを考えて、自然と出てきたシーンですね。

(森直人)ある種、彼の自意識がバンッと降りた瞬間、仕事をして報酬を貰うという流れで。さっき言った発端、葛藤、解決。もうちょっと言うと、「発端」の種まきというのが、お母さんが家のお風呂の湯を抜いちゃって、銭湯・松の湯に行かざるを得ない。そこで同級生のヒロイン・ユリと再会するという流れがあり。「葛藤」っていうのが、主人公を取り巻く世界が決定的に変わっていくというか、彼が態度決定しなきゃいけないというふうになる。「解決」は行動というか、結末に向けて主人公とその仲間たちが行動していく。おっしゃる通り、本当に基本に忠実なんだけど、その3ブロックの過程の中に小さな反転がいっぱい込められている。これは僕の印象なんだけど、反転するかと思いきやしないっていうのもある。その取捨選択はやっぱり面白いなと思ったんですね。例えば、パンフのインタビューでアップリンクの浅井隆社長が質問されていましたけど、銭湯の死体処理の仲間がある種疑似家族的になっていくという、これは小さな反転がいっぱいあるラインじゃないですか。でも、和彦とそのご両親って不思議な感じで安定しているんですよ。ユリというヒロインもそうなのかもしれないんですけど、裏が無い人が混ざっているんですよ。ここも我々観客の...自分の先入観みたいなのがひっくり返されていうか、全体として味わったことのない感情曲線を描くようなところがある。それをちょっとお聞きしたかった。それはどうやって決めていったのか?こいつはこうなっていく、こいつは変わらないとか。

(田中征爾)家族に関して、裏が無かった、ありそうなくらい平和すぎるぐらい平和な感じ。で、実は本当に何も裏がないというのは最初から決めていたんです。恋人役のユリが裏があるかどうかっていうのは最後まで悩みました。

(森直人)あぁ、面白いね。そこはやっていく中で、「これは反転させた方が良いかな、でもやめておこうかな」みたいな判断が働いていく。

(田中征爾)そうですね、彼女をどういうふうにこのストーリーに関わらせていくかが、この映画のジャンルを決めると思っているんですけど。彼女がもしこの事件に巻き込まれるってなったら、マイケル・マンの『コラテラル』と全く同じ構図になるんです。

(森直人)なるほどね。じゃあ『コラテラル』も写譜したやつ?

(田中征爾)そうですね。『コラテラル』も「巻き込まれ」って意味ですから、タイトルが。

(森直人)そうそうそう。トム・クルーズの殺し屋が、ジェイミー・フォックスのタクシー運転手が巻き込まれていくっていうね。

(田中征爾)一番最初にヒロインの女性とジェイミー・フォックスが連絡先交換をして、最終的にトム・クルーズの最終的なターゲットが彼女だったっていうのが。これもユリを、どういうふうに関わらせるか。一番簡単な方法が人質になるとか、松本のターゲットがユリだったとか、和彦をこの銭湯で働かせる意図みたいなもの、彼女が別の裏の目的を持っていたとか、色んな可能性を当たり前ですけど検討するわけですよ。どれを選んだとしても陳腐になるなと思ったんですよね。どれを選んでも、一番簡単な選択肢を選んじゃったように見えて。

(森直人)これは良い話をしていると思う。本当に良く思うことで、「なんでそこ行くのかな?」ていうのが多いでしょ。「見たことあるよ!」みたいな。それを避けてるってことだもんね。

(田中征爾)そうです。そこに行くんだったら、もっと予算をかけた映画にしなきゃいけなくて。

(森直人)たしかに、行く気持ちよさもありますもんね。そっちに行って、完璧にそっちに行ってくれた時のカタルシスもあるんだけども、この映画でやるには、それでは負けるっていう感覚なんですね。

(田中征爾)そうです。なので、最後まで彼女は本当に良い子で、彼女もこの役を演じる時に考えたことは、「私はこの作品の光であろう、太陽であろう」と考えたんです。それでいいかなと思って。

(森直人)それって多分なんですけど...観ている人の意見もでません?「意外」みたいな、ヒロイン像が。

(田中征爾)言われたことはあります。「絶対、あの子は裏があると思っていた!」と言われたことはあります。

(森直人)そこに突っ込むっていうのは上級者って気がするんですよね。

(田中征爾)そうですね、今までの映画のパターンを知っている人。

(森直人)映画の数を観ていると、むしろそっちを読んじゃうみたいなところがあるんですけど、面白いですよね。演出についてお聞きしてもいいですか?出来上がった映画は脚本通りじゃないですか、かなり。

(田中征爾)ほぼ脚本通りで、アドリブもあんまりないんですけど、スケジュールの都合上、撮影を諦めたカットとかシーンはありますね。

(森直人)かなりタイトに作られたんですか?

(田中征爾)そうですね、僕が普通に働いているので、撮影自体は金曜の夜から日曜日の昼までの土日で、10日間で撮ったんですよ。土日、土日、土日で。平日は全部撮影なして。この銭湯も営業しているところなので、11時に閉店してから僕らがバババッと入って。

(森直人)殺し屋じゃん(笑)

(田中征爾)(笑)この映画と同じようなスケジュールで撮ってて、朝の10時くらいまで。

(森直人)『ケンとカズ』でも使われた銭湯なんですね。

(田中征爾)らしいです。

(森直人)積極的に協力的なところでないと...

(田中征爾)めちゃくちゃ協力的でしたよ。

(森直人)でないと中々使わせていただけない。

(田中征爾)見つけたのは、たまたまですけど。

(森直人)そこに殺し屋の様にチームで通って(笑)諦めた部分っていうのは、これだけカッチリとやられる方、パズルのようにカッチリ作られる田中脳の中では、どういうふうに処理していったんですか?撮れなかったものは。

(田中征爾)正直処理できてないです。

(森直人)そこは単純にまだ「うーん...」ってところなんだ。

(田中征爾)ものすごいあります。よく言うんですけど、編集をしている時に改めて思うんです。撮影の時は、スケジュールの都合上諦めないといけないと、どこかを。「このシーンは無くても成立するか」っていうその時の判断が間違っていたなって編集の時に思うんですよね。

(森直人)本人は、そこがまだできていないっていう気持ちがあるんですか?

(田中征爾)そうです。編集が終わった時点では、僕はどんどん減点していくので、「ここはこう撮るべきだった」とか「ここはなんでこう撮らなかったんだろう」とか減点ばっかりしていくので、編集が終わった時点でこの作品に対する僕の評価はほぼゼロ点なんです。

(森直人)こんなに褒められてるのは「えぇ?」て思っちゃう?(笑)

(田中征爾)いえいえ、嬉しいですけど。作品が出来上がってBlu-rayに焼いて、三人で見たんですよ。あ、彼の奥さんと一緒に4人で。この二人は自分が出ているから、全くもって客観視ができなくて。

(森直人)俳優さんに良くある。最初の試写とかでは。

(田中征爾)僕も見ながら「あぁ...」って思いながらどんよりしている。彼の奥さんは、「面白い」って言ってくれてたんですよ。

(森直人)唯一冷静な。

(田中征爾)ただ、彼女の意見も...この中で「面白くない」とも言えないし、「ありがとう」みたいな感じだったんですけど。何回か彼が観ていくうちに、「客観的に観てこれは面白いよ」って言ってくれてたんですよ。でも、それもにわかには信じられないじゃないですか。それはそう言ってくれるでしょっていう。

(森直人)なるほど、疑心暗鬼のまま。

(田中征爾)東京国際映画祭で、実際の普通のお客さんに「面白い」と言ってもらえてから初めて、「あ、これは面白いのかもな」という。

(森直人)選ばれている時点で、谷田部さんとか...東京国際のボスみたいな谷田部さんとかが乗り気になったわけだから、そこで評価っていう手もあるじゃないですか。

(田中征爾)そうですね。その時は、「あ、面白いのか?」くらいの。

(森直人)スプラッシュ部門の審査員って入江悠監督ですよね。入江さんも「面白い」とおっしゃられていて...っていうふうにどんどん積み重なっていって、後から気持ちが追い付いてきた感じですかね。

(田中征爾)そうですね。

(森直人)これは良い事か悪い事かわからないですけど、僕の印象ですけど...多分そこが可愛げになっている気がするんです。メランコリックの響きじゃないけど。

(田中征爾)僕もそう思います(笑)

(森直人)一周回ってそう思うようになったって感じ?

(田中征爾)というか、映像の監督、演出っていうところに関しては、僕は物凄いコンプレックスを持っているんですよ。

(森直人)脚本の、ストーリーテラーではあるけども...

(田中征爾)そうです。映像演出とかをきちんと勉強したこともないし、映画を見ている時も脚本的な目線でずっと研究していましたけど、映像演出という意味で独学したことがなかったから、僕は映像演出に関してほとんどスキルが無いと自分では思っているので。その自信の無さみたいのがめちゃくちゃ出ていると思うんです。それが「可愛げ」になるのかもしれないですね。

(森直人)でも、そうだと思います。演出...撮り切れなかったところ、もしかしたらわからないですよ...そこに含まれているのかもしれないんですけど、すごくガチガチに作られている部分とやや隙がある部分っていうのが、多分良いバランスで初々しさ、あるいは瑞々しさになっている。あと、この二人の持ち味が、田中イズムだけじゃないところから立ち上がってくる感じがある。その絶妙な緩さっていうのも、多分この映画の魅力の一つだと思いますよね。さっき言ったバンドマジックじゃないけども...3人で鳴らした音の独自性っていう気がするんだよな。演出に関して言うと...そこがコンプレックスっていう言い方は面白いですよね。

(田中征爾)めちゃくちゃコンプレックスですね。

(森直人)未だに?

(田中征爾)未だに。だから、今、すごい本を読んでます。

(森直人)勉強家なんだ。

(田中征爾)楽しいんですよね。

(森直人)勉強好きっていうことですよね。そういう脚本の流れを聞いても。

(田中征爾)そうですね。過去の監督さんがどういう意図でやろうとしていたかとか知ると凄く楽しいです。

(森直人)基本構造とか、過去問をひたすら解くみたいな、そういうノリが好きっていうか。面白いな。この映画で言うと、例えば...磯崎さんのアクションというのも中盤以降いい具合に立ち上がっているじゃないですか、脚本にちゃんと組み込まれた形で。映画を見る限り、香港系と言いますか...ミニマムなアクションを丁寧にやるっていう、大振りではなくて。それが本当に本格的なので、意外な方向から映画全体がガチっと補強されている感じがしたんです。それって演出家として見た時にに、「おぉっ!」っていうのはありましたか?現場を通して。

(田中征爾)彼がアクションできることはずっと知っていたので。この二人でアクションショートムービーも実は一回、この合間に撮っているんですよ。だから、驚きとかというよりも安心感に近い。

(森直人)これぐらいのことはやってくれる奴だみたいな。いいチームですよね。

(田中征爾)仲は良いですよね。後、好みが近い。何を面白いと思うかっていう価値観が合致するっていうのは、多分必須条件なんだろうなとは今回やってみて思いました。

(森直人)それ、面白いですよね。3人とも持っているバックグラウンドというか、ある種の教養的な部分はバラバラでしょ、多分。だけど、判断っていう部分では似ている?これは有り無しとか。

(田中征爾)そうですね、結構似てますね。

(森直人)それは理想ですよね。

(田中征爾)そこズレると多分喧嘩をするので。喧嘩してもどうしようもないから。

(森直人)平行線を辿る。今は、『メランコリック』の為に集まったクルー、チームだったと思うんですけど、今後ってことではどうですか?One Gooseで。

(田中征爾)全然、次回作をやろうという話にはなっていますよ。ただいつになるかはちょっと分からないですけど。

(森直人)一方で、田中さん個人で、チームじゃなく作ったらどういうテイストになるんだろうなっていうことも想像しちゃうんですよね。どうなると思います?例えば、『メランコリック』的なものをこの二人じゃないチームで、酷な質問ですけどね...作るとなると、どういうふうに変わって行く感じなのかな。

(田中征爾)多分...まずアクション要素とかはほぼ無くなると思いますね。

(森直人)アクション映画っていうのは...そういうものは、田中さんの中にはあんまり要素、成分としては濃くないってことですか?

(田中征爾)濃くないです。全然濃くないです。見るのは好きですけど...

(森直人)自分でやろうとは思わない?

(田中征爾)今回みたいに、全体の中にアクション要素をちらっと入れるぐらいだったらまだ良いんですけど、アクション映画ってやっぱ難しいですよね。

(森直人)それこそ脚本以外の部分ってことになりますよね、アクションって。それを今回は磯崎さんが担当していたけども...って感じなんですね。でも、この3人が集まったのが2017年の頭っていうが面白いなって思って、87年生まれってことは、ちょうど30歳になろうとした時に皆、人生を変えようとしたっていうような感じじゃないですか?

(田中征爾)(笑)結果論ですけど。

(森直人)でも、タイミングとしてはなんかすごく良いですよね。30歳を目前として。撮ったことで色々と変わったって感じはあります?

(田中征爾)撮ったっていうのは映画を?

(森直人)映画を撮って、さらには賞を獲ったというのもありますけど。

(田中征爾)そうですね。賞を獲って公開まで来て、結構話題にもしてもらってっていうところになって初めて、状況がというよりも自分の意識は変わりますよね。ずっと売れない脚本家の時って、今もそんなに変わってないですけど、自分に対して創作活動を続ける権利を与えるかどうかって結構分かれ道になってくるじゃないですか。

(森直人)なるほど。この先続けていっていいのか。

(田中征爾)その権利を自分に与えられるのか。そういう意味で権利を与えてくれた作品ではあるなと思います。

(森直人)これで行けるぞ!っていう感じ。

(田中征爾)行けるぞというか、まだチャレンジする権利はある。

(森直人)2回戦ありだなっていう。ウディネの時の感じもお聞きしたいなと思っていて。イタリアのウディネ・ファーイーストっていうのは、東アジアと東南アジアの映画に特化した映画祭で、日本から結構いきましたよね、今年。『翔んで埼玉』とか山下さんの『ハード・コア』とか、10作品ぐらい出品されて。ウディネの観客の反応とかっていかがでしたか?お祭りノリってさっきね。

(田中征爾)そうですね。正直、どこまでちゃんとこの作品を喜んでくれているのかがわからないぐらい盛り上がっています。全作品やってんじゃね?ぐらいの。

(森直人)テンション高すぎて逆にわからんみたいな(笑)

(田中征爾)ただ、直後の会場の中は、スポット当たってスタンディングオベーションしてくれたりする人もいて盛り上がっているんですけど...終わってから翌日とかに、ふらっと女の子とかが来て、「昨日観て楽しかったです」みたいな。映画祭に来ているお客さんの子が。それはやっぱり嬉しいですよね。本当の感想なので。

(森直人)さっきちょっと...番組が始まる前の雑談で「ポスピタリティーがすごかった。」。

(田中征爾)凄かったです、もうウディネは凄いです。世界一だと思います。そんなに行ってないのに(笑)そんなに行ってないのに世界一だろうなと...(笑)

(森直人)それぐらい手厚かった?会場から近いのに車が出た?

(田中征爾)車が来ましたね。「全移動、車を出しましょうか?」って言われて「いいです」みたいな。むしろ街歩きしたいからみたいな感じで。

(森直人)食事は全部?

(田中征爾)そうです。朝のホテルで、昼夜は全部あっちが決めてくれたところに...そこにも車で送ってくれて。食べて。

(森直人)帰りたくなくなりますよね。ウディネは、最初皆川さん一緒に?

(田中征爾)二人で行きました。プレジデントのサブリナさんという女性がいて、一番偉い人。サブリナさんがフィルメックスに来るために来日してた時に、初めて会ったのはは東京国際のパーティーなんですよ。その時に一回だけちょっと喋っていて、「検討させてください」みたいなことを言ってくれていて。忘れてたんですけど、東京フィルメックスでサブリナが来日してた時に、「今、有楽町で飲んでるからおいで」って言われて、僕と皆川君の二人で行って。「是非、ウディネで」。

(森直人)そういう直接な感じだったんですか。

(田中征爾)そうです。大体メールなんですけど、その時はたまたまサブリナが...多分フィルメックスで他の映画も観て決めたんですかね。有楽町の居酒屋で。

(森直人)すごいですね。そこからイタリアまで飛んでっていう、面白いですね。映画っていうことに関して言うと、日芸も演劇学科だったわけじゃないですか。その時点で映画を志していたわけではないんですか。

(田中征爾)脚本家を志していました。

(森直人)っていうことですよね。それって、結構早い段階から脚本家になろうと?

(田中征爾)中3ですね。

(森直人)明確に。きっかけは?

(田中征爾)三谷さんなんですけど。僕ら世代は多いですよ。僕は家に読む本が無くなって、何か本を買いに行こうと。その時は、たまたまジャケ買いをしてみようと思ったんですよね。表紙が面白くて手に取ったのが三谷さんのエッセイで、『オンリー・ミー 私だけを』ってやつなんですけど。読んでみたらすごく面白くて、作者見たら「脚本家」と書いてあって、「あ、こういう人もいるんだ」と思ってたんですよ。その本を買った日の夜にテレビ付けたら、たまたま『HR』がやっていて、初めて観て面白いなと思って最後にクレジットで三谷さんの名前が出てきた時に、「今日買った本の人だ」と思って。

(森直人)その順番が面白いですよね。逆じゃないの?みたいな(笑)ジャケ買いから始まって。

(田中征爾)その時に「脚本家やってみたいな」と思ったのがきっかけです。

(森直人)中3って言うと、2002年。基本的には、三谷さんの洗礼を受けた世代っていうのは...レンジは広いと思うんですけど、その世代の中に入っていることですよね。普通にテレビの中で、個性的な作劇をやられている人がいるというところで、作家として最初に触れたのが三谷幸喜であると。

(田中征爾)そうですね。ベースにはチャップリンがあるんですけど。

(森直人)それはいつからなんですか?

(田中征爾)3歳とかですね。親が録画を撮り溜めていたんですよね、VHSで。僕らが観るように『ドラえもん』の映画とかと同じようにチャップリンの映画も、VHSも並んでいたんですよ。子供だから、特にチャップリンの無声時代のやつとかって子供的にも観やすいし、だから結構マニアックなやつも観ました。繰り返しで。

(森直人)特にチャップリンで、当時でも今でも良いんですけど、何か残っているやつとかってありますか?特に好きなやつ。

(田中征爾)完全に『街の灯』ですね。『City Lights』。完全に圧倒的に一位です。

(森直人)ちょっと分かりますよ。手触りというか肌触りというか、あったかい感じ。そこも『メランコリック』の変わったところで、ブラックコメディにもなると思うんですけど、ブラック感が実はそんなに無いんですよね。ヒューマンドラマ、ヒューマンコメディの手触りなんですよ。それってチャップリンか。チャップリン、三谷幸喜か。

(田中征爾)正直、あんまりこういうことを言うのもなんですけど...今は三谷さんの影響はほとんど無くて、むしろ、一番最初に脚本家になりたいと思ったきっかけ以外は三谷さんの影響ってほぼ無いんですよ。

(森直人)そうなの?その心は?途中から心離れちゃった?

(田中征爾)心が離れちゃいましたね(笑)

(森直人)尊敬はしてますが、みたいな。

(田中征爾)ただ、ベースがチャップリン...幼少期だからベースにあって、大学に入ってから初めて『ごっつええ感じ』のコントを生まれて初めて見たんですよ。

(森直人)あ、その世代か。YouTubeとかですか?DVDとか?

(田中征爾)DVDですね、レンタルで。寮に住んでたんですけど、先輩が見てて。

(森直人)超リアルタイム世代。

(田中征爾)小学校の時にやってたんですよ。ですけど、親が「見ちゃダメだと」。

(森直人)なるほど。チャップリンは良いけどダウンタウンはダメ(笑)

(田中征爾)大学に入って初めて見た時に衝撃を受けて。

(森直人)「トカゲのおっさん」とかですか?

(田中征爾)これは完全に「トカゲのおっさん」の影響を受けています。

(森直人)なるほどね。今聞いたらピンと来た。

(田中征爾)見え見えの虚栄心とか。後から考えると、大学に入ってから出会って良かったなと思うんです。そこからまた僕の研究が始まるんですよ。なぜこんなに面白いのか?

(森直人)ごっつのコントを研究し始めた。

(田中征爾)物凄い研究しましたね。トークとか。

(森直人)松本さんと浜田さんのトークとか?

(田中征爾)『ガキ使』のトークとかコントとか、なぜ面白いのかっていうのを物凄い考えて。

(森直人)放送作家みたいな道も...もう大学は入ってたわけだもんな。三谷さんも日芸だからみたいなことも思ったんですけど、実は、影響では入り口であってそこから切れてた。

(田中征爾)そうですね。そこから松本人志で、その2年後にウディ・アレンです。

(森直人)面白いですね。でも、全部繋がっていますよ。突飛な印象は無いですよね。チャップリン、三谷幸喜、松本人志、ウディ・アレン。わかるなっていう気がします。ウディ・アレンは最初、何観たんですか?

(田中征爾)一番最初は『アニー・ホール』ですね。

(森直人)王道からバシッと。

(田中征爾)学校の課題で観たんですよ。

(森直人)今やアーカイブされている名作って感じですよね。

(田中征爾)たまに言ってますけど、僕の人生...二十歳ぐらいの時に観たんですけど、僕の人生はウディ・アレン前とウディ・アレン後で分けられるぐらい、それぐらい衝撃を受けたんですよ。

(森直人)「トカゲのおっさん」以上だった?笑

(田中征爾)もちろん大好きですけど、価値観に影響を与えるところまではいかなかった。

(森直人)『アニー・ホール』はどこがそんなに刺さったんですか?

(田中征爾)映画には人の価値観を与える価値があるっていうのを実感したのが、『アニー・ホール』なんですよね。

(森直人)それは、エンターテインメントではあるけれども、何か自分の中の価値転換というものが、そこで起こったってことですか?

(田中征爾)そうですね。『アニー・ホール』の最後のセリフで、観た人しか分かんないと思うんですけど...自分のことを鳥だと思っている兄弟がいる人のエピソードっていうのがモノローグで語られるじゃないですか。それぐらい恋愛とか愛情とか人との関係っていうのはよく分からないものだけど、それでも私たちは卵が必要なんだ!みたいな。凄い抜粋しちゃいましたが。っていうセリフを聞いた時に、こんなにも美しく人生の本質を言える人がいるのかと。実は映画の中で、ずっとそのテーマについて語ってたように見えないんですけど、最後にその一言を聞いた時に、「全部そのことを言ってたわ!」っいう風に思えるんですよ。

(森直人)ウディ・アレンってそういうのめちゃくちゃ上手ですよ。最後にちょっと教訓めいたことを言うんだけども、劇全体を包括している。

(田中征爾)そうなんですよ。その時に僕は「スッゲーな」と思って。

(森直人)良い話だな。僕もウディ・アレン本当大好きなんだけども、アレンも...彼はニューヨーク派なんだけど、基本的なメソッドとしては実は古典的ですよね。だけど、『アニー・ホール』なんて特にそうだけど、実験映画の様にも見える。その塩梅ってなかなか得難いものですよね。今おっしゃった感じっていうのも...最後に言葉があるじゃないですか。

(田中征爾)あれも迷ったんですけどね、入れるかどうか。

(森直人)でも今のお話で、そういうことかと思ったんだけども。ウディ・アレン調だ。全体をふわっと一つの人生観、世界観に包むような含みのある言葉で終わるんですよね、『メランコリック』。あれはウディ・アレン、『アニー・ホール』か。

(田中征爾)『アニー・ホール』と『アメリカン・ビューティー』ですね。

(森直人)サム・メンデス。『アメリカン・ビューティー』も大好き?

(田中征爾)大好きですね。あれも、最後にモノログで終わるんですけど、モノローグで始まってモノローグで終わる。この映画をモノローグで終わるっていうのが...逃げにも取られるなとか。こんなにストレートにテーマを説明するのもなって思って、最後まで悩んでたんですよ。だから、モノローグのナレーションを収録をしたのは編集が終わってからなんです。

(森直人)そうなんだ。一番悩んだところなんだ。

(田中征爾)そうなんです。編集終わってというか、BGM入れる前とかなんですけど。

(森直人)踏み切ったのはなぜですか?

(田中征爾)彼(皆川さん)の映画を作りたいっていうピュアな衝動、想いっていうのが、作品から出ているなと思ったので、ひょっとしたらすごく青臭くなるかもしれないけど、むしろその青臭さを出していこうと思って、ナレーションを入れることにしました。

(森直人)今の発言、素晴らしいんですけど...青臭さまで計算するんじゃねぇよって思いました(笑)でも、そういうことだよな、面白いですね。

(田中征爾)技巧に走るんだったら、ああやってナレーションを入れない方が良いんですけど、むしろ青臭さで売っていこうと思いました。

(森直人)その辺って面白いですよね。田中さんってよりは、その辺に寄っても、言わば論理を抒情に寄るという選択を、皆川さんの持ち味に合わせたことで出しやすくなったっていうのもある。今日、『メランコリック』の謎が解けてません?(笑)

(田中征爾)感想とかで「ああやって最後に説明するな」みたいな人もいますけど...正しいよとは思います。

(森直人)僕は、含みがあるから全くネガティブな感じがない。やっぱりあった方がいいですよ、余韻。彼の話だったんだなってわかりますもん、モノローグっていうことで。色々と群像劇にも見えるけど、和彦の話かっていうのが、実はあれでわかる。っていうのをフィードバックしているんでしょ?研究で(笑)

(田中征爾)そうですね。糧にして。

(森直人)ウディ・アレンショックの以降って、10年ちょいあるんですけど、まだ現れてない感じですか?『アニー・ホール』以上の。

(田中征爾)もうないと思いますよ。

(森直人)やっぱり多感な時ってこともあって。

(田中征爾)ないんじゃないのかな...いや、興奮する映画はいっぱいありますけど。

(森直人)そこで、田中イズムの基礎は固まった?

(田中征爾)そう思いますね。

(森直人)今後ってことについても、今、喋っていただけるところだけで良いので、ちょっとお聞きしたいんですけど...いかかですか?色々オファーとか来てます?そろそろ。

(田中征爾)ちょこちょこ。まだそんな具体的じゃないですけど。

(森直人)今、IT系の会社で働きつつですけども、そのスタンスで当分やっていかれるという感じですか?

(田中征爾)どこかで、脚本ないし映画の仕事に全振りしなきゃいけない時期は来るだろうなとは思っています。

(森直人)そこの覚悟はついているよっていうのは。

(田中征爾)ずっと、それを目指してやってきてたので。

(森直人)先ほどの演出に関しての本音みたいなところ、すごく面白かったんですけども、例えば監督、あるいは演出家、脚本家として今後やっていく上で、二つ聞きたいんですけども...売り込みも兼ねてやってみたいことと、ご自身の課題みたいなものがあるとすれば、それぞれ、どうお考えですか?

(田中征爾)やってみたいことは...普通に次回作をやりたいです、早く。それがOne Gooseでの次回作。それから日韓を舞台にして。

(森直人)日韓!それは頭の中では決まっているって感じなんですか?

(田中征爾)もう、喋ってます。富川国際ファンタスティック映画祭の時も、シナハンがてら一日ソウルを案内してもらったり。

(森直人)もうそこまでいってるんだ。

(田中征爾)結構シュールな空気感でやっちゃった話なんで、普通にもっとシリアスな人間ドラマの方に寄せた作風は一回やってみたいです。後は、昔書き溜めているアイディアとか脚本でやってみたいのがちょこちょこありますけど。

(森直人)色んなタイプな作品を書いているってことですね。

(田中征爾)でも、たいていウディ・アレンくさいなと思います。笑)

(森直人)作家って、色んな題材をこなすタイプ、要するに...自分の主体を変えつつこなしていくタイプと、本当に一つの歌を歌い続けるような、アレンはどっちかって言うとこっちかなって思うんですけど...偉大なるマンネリズムっていう感じがするじゃないですか。どっちかで言うと、まだわかんない感じ?

(田中征爾)どっちかな...わかんないですね...

(森直人)こう言いつつなんですけども、ウディ・アレンもミュージカルをやってみたりとか幅ありますもんね。三谷さんもそうだけど。

(田中征爾)僕の中に、ものすごく伝えたいものとか表現したいものがあるタイプではないので。どっちかと言うと、「ああいうことをちょっとやってみたいな」という感じで、外からアイディアを引っ張ってくるタイプだから、色んなことをやってみたいですね。

(森直人)そこは職人的な感じがあるんですね。

(田中征爾)職人的な方がカッコいいなって思いますし。今後の自分の課題としては、もっと脚本を上手くなりたいなというのもありますし、映像演出的なところとかをちゃんと学びたいというか、やりながらでいいですけど。きちんと意図をもって観客の感情を操れるように演出をできるようになりたいですね。

(森直人)ひたすら自分のスペックを上げていきたいってことですかね。

(田中征爾)そうですね。技術も磨いていきたいなと。

(森直人)期待しております。はい、番組を楽しんで頂けた方は、#活弁シネマ倶楽部、#活弁で投稿お願いします。活弁シネマ倶楽部のTwitterアカウントもありますので、是非フォローください。というわけで、今日は貴重な話をありがとうございました。結構レアな話が聞けたんじゃないかなと思うんですけど。というわけで、大いに期待しております。田中征爾監督でした。どうもありがとうございました。

(田中征爾)ありがとうございました。

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