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【年間ベスト】「活弁シネマ倶楽部」スタッフが選ぶ2018年映画ベスト10
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【年間ベスト】「活弁シネマ倶楽部」スタッフが選ぶ2018年映画ベスト10

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「日本映画」と「外国映画」という区分が、ある種の前近代性を孕んでいることを理解していたとしても、2018年は「日本映画」でベスト10を選びたいという欲望を抑えることができなかった。それぐらい2018年は日本映画の躍進を感じ、それを肯定せずにはいられない。
もちろん留保はある。優れた日本映画の登場は、日本映画の未来を明るくするわけではない。酷薄な事実だが、そこを踏まえなければ先には進めない。
不誠実な社会でこそ誠実な藝術が生まれる、というありきたりで陳腐な言説を振り回すことは自制するにしても、2018年の特筆すべき日本映画は、産業としての豊かさに依拠しているわけではなく、もうこれ以上は後ろに下がることはできないという危機感にこそ支えられている。
そしてこちらは個人的な怠慢の問題で、日本映画黄金時代の萌芽は突然生まれたものではない。もっと前に蒔かれたものによって、誰の眼にも明らかな形で顕在化しただけであり、日本映画界で闘ってきた、闘っている、そしてこれからも闘っていくだろう先人たちの弛まぬ闘争があったことを忘れてはいけない。
それを無視して、無邪気に日本映画の再興と戯れたいわけではない、という言い訳がましい一言は添えておくことなしには、彼女ら彼らの闘争と併走することは許されない。

もちろん、すべての映画を見ることはできない。
「何を選んだか」より前にある「何を見たか」、そして「何を見なかったのか」について思いを巡らせると、自分の目で見ることができなかった映画の多さに目眩がしてしまう。そんな当たり前の事実を見据えた上で、「記録」として残しておくこと自体に意味があるように思えて仕方がない。
映画に順位付けをするのは一種の遊びであると同時に、個人の価値観の表明である。中立なんてものは存在しないし、最大公約数的なベストも存在しない。
わたしたちが過去の偉大な作品群を、何の先入観も偏見も無しに見ることができないように、人は都合良く自分の意見なり価値観なりを変容させてしまう。
10年後に同じ映画を順位付けしたら異なるものになっているだろうし、真逆の評価をしているだけかもしれない。でも、だからこそ、2018年当時の記録として残しておく意味があるのだと信じたい。

選者:菊地陽介
日本映画
1.関根光才『生きてるだけで、愛。
2.三宅唱『きみの鳥はうたえる
3.瀬々敬久『菊とギロチン
4.塚本晋也『斬、
5.濱口竜介『寝ても覚めても
6.今泉力哉『愛がなんだ
7.吉田恵輔『愛しのアイリーン
8.井樫彩『真っ赤な星
9.鈴木卓爾『ゾンからのメッセージ
10.内藤瑛亮『ミスミソウ

外国映画
1.ショーン・ベイカー『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
2.リュック・ベッソン『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』
3.ポール・トーマス・アンダーソン『ファントム・スレッド』
4.ジェイソン・ライトマン『タリーと私の秘密の時間』
5.スティーブン・スピルバーグ『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』
6.デヴィッド・ロバート・ミッチェル『アンダー・ザ・シルバーレイク』
7.アリ・アスター『ヘレディタリー 継承』
8.テイラー・シェリダン『ウインド・リバー』
9.ファン・ドンヒョク『天命の城』
10.ジョゼフ・コジンスキー『オンリー・ザ・ブレイブ』


選者:徐昊辰
日本映画
1.濱口竜介『寝ても覚めても
2.三宅唱『きみの鳥はうたえる
3.原一男『ニッポン国VS泉南石綿村
4.塚本晋也『斬、
5.瀬々敬久『菊とギロチン
6.山田尚子『リズと青い鳥
7.佐向大『教誨師
8.是枝裕和『万引き家族
9.松居大悟『アイスと雨音
10.石田祐康『ペンギン・ハイウェイ

外国映画
1.イ・チャンドン『バーニング 劇場版』
2.パヴェウ・パヴリコフスキ『COLD WAR あの歌、2つの心』
3.アルフォンソ・キュアロン『ROMA ローマ』
4.ポール・トーマス・アンダーソン『ファントム・スレッド』
5.アリ・アバシ『Boder』
6.ショーン・ベイカー『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
7.セルゲイ・ドボルツェボイ『Ayka』
8.アリーチェ・ロルバケル『幸福なラザロ』
9.ルーカス・ドン『Girl』
10.ファイト・ヘルマー『ブラ物語』

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「活弁シネマ倶楽部」のスタッフが、ざっくばらんに、好き勝手に映画について語ります。 番組の書き起こしもあります。映像、音声、テキスト、自由に楽しんでください。 番組の視聴はコチラから↓ https://www.youtube.com/c/katubencinema