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シードラウンドを終えて…【特別対談・後編】THE SEED 廣澤太紀氏

前回に続き、THE SEEDの廣澤氏との対談の様子をお届けします!

後編では、FUELHASHへの投資決定を振り返り、廣澤氏の投資決定のポイント、クリプト領域への投資への考え方も詳しく聞かせていただきました!

THE SEED General Partner 廣澤 太紀氏

2018年9月 独立し、シードファンド「THE SEED」を設立。
20代の若手起業家へ創業出資。
無人カフェロボット「ルートC」、農業技術のSaaSサービス「AGRIS」やVR/AR事業など、現在10数社へ創業投資。

FUELHASHへの投資の決め手

紺野:廣澤さんには最初はTwitterのDMでご連絡させていただき、オンラインMTGで「初めまして」でしたが、その場で出資をコミットくださいましたよね。その理由をお聞かせいただけますか?

廣澤:基本的に、自分の仕事は何なのか?を考えると、「この人の構想に対して、応援しようという覚悟を決められるかどうか」という仕事な気がしています。
最初に紺野さんとお話した時、足元で何をやるか具体的で、そこに対して解像度が高い理由がバックグラウンドからわかり、その延長のアップサイドが成し遂げる未来が想像できていました。
次のプロジェクトの進捗、止まっているところ・理由もクリアで、短期でのやりきりが大丈夫な人であることはもちろん、そこに留まらず、中長期でどういうプレイヤーになるかも考えられているなと思いました。
クリプト関連の事業は、サービスのエコシステムの一つとして投資してみたいと思っていました。それを紺野さんがされるのであれば、信頼できるので出資したいと思えたんです。

紺野:実は、クリプトに張れる日本のVCは少数で、gumiHeadline AsiaB Dash Venturesくらいですよね。いくつかあたったVCさんには断られていて、シードでは難しいのかなと諦めていたので、すごく嬉しかったです。

廣澤:実は、昨年の春頃に、國光宏尚さんから「これからはクリプト、VR、AIの3つだ」と言われ、ご本人のインタビュー記事をシェアしていただいたりなどして影響を受け、僕自身も投資したいと思っていたときにお話をいただいたことも大きな要因です。

即断即決のポイント

紺野:これまで多くの起業家さんとお話され、出資を断ってこられたこともあると思いますが、出資はどういった判断軸で決められているのでしょうか?いつも即断即決をされているんですか?

廣澤:基本的には即断していますね。ほとんどが初回ミーティングで「投資させてください」とお話します。逆に初回ミーティングで投資しないと判断した場合は、「(話をするべきは)うちではない」とお伝えすることがほとんどです。

投資するにあたって見るポイントとして、創業ステージではプロダクトがないので、応援する覚悟を自分が決められるかどうかが大きな点で、変化率の高そうな経営者の方かどうかはポイントの一つだと感じています。
資金調達に時間をかけても仕方がなく、即断し即払い込みくらいまで運んだ方が、結果的に事業に集中する時間が長くなりますよね。即断することが創業ラウンドで投資する投資家の一つの価値だという気がしていることもあり、限りなく即断できるように意識しています。

初めての「クリプト」領域への投資

紺野:クリプト関連企業への投資はFUELHASHが初めてでしたか?

廣澤:はい。2021年8月当時、FUELHASHへの投資が完全に初めての投資でした。
現在、投資させていただいているWeb3.0やクリプト関連の会社さんはいくつかあります。ゲーミングギルドをやろうとしている会社や、NFTの発行プラットフォームを開発中の会社、VR上のコンテンツを作っている会社などです。

紺野:クリプトにピボットしていくようなイメージでしょうか?

廣澤:そうですね。ピボットしたり、そういう表現に寄せていったりという感じです。

紺野:たしかに、VRとクリプトって元々は全然違うものの雰囲気でしたが、Web3.0やNFT、メタバースが出てきて一気に縮まりましたよね。

廣澤:オンライン・バーチャル空間への滞在時間が明らかに長くなっています。例えば、かつてはリアルな遊戯王カードの方が価値が高かったけれど、今後、バーチャル空間上のアバターや土地などの価値が相対的に昔より上がっていくこともあると思うし、そういうものとVR /ARの空間は関連するだろうと思っています。

どう投資をしていくか考えたときに、着地としては、その領域で未来を描いている起業家の方に投資をさせてもらっています。

正直、クリプトのバリューチェーンやエコシステムなど、一つ一つの技術的な話についてはわからない中で、どういうものに対する投資機会があり、どういうものに投資すべきかもわかりません。
クリプトに関しては未だに全体像が見えず、よくわからない点と、法務・税務面で洗い出されていない課題に対して懸念はありましたが、可能性や期待値があったので投資はしたいと思っていました。

マイニングによる大量の電力消費は、SDGsやESGの文脈に反する側面がありますよね。その点は脱炭素が主流になっていく中で懸念に思っていましたが、紺野さんから、その課題に対して「いかにグリーンエネルギーでマイニングしていくか」というお話がありました。現状、そこに対してどれだけ改善できているかわからない部分はあると思いつつ、そこに対しソリューションを持とうとしていることは魅力に感じました。

紺野:ビットコインのマイニングの消費電力は国家レベルで、世界で27番目、ノルウェーと同じくらいに及びます。ビットコインのイノベーションは素晴らしいものですが、それだけの電力を消費しているので、できる限りグリーンエネルギーでやるべきだと思っています。

社会貢献に繋がる事業展開を

個人的に、今一番面白いと思っているのはKlimaDAOで、カーボンサーティフィケートがトークン化されたものです。カーボンサーティフィケートをボンドする代わりに、ディスカウントを受けながらトークンをもらえるんです。
現在は1,000万t以上の炭素を削減できるものがボンディングされています。

例えば、大企業が火力発電による電力調達をしているとしたら、発電時に炭素を排出しますが、カーボンオフセットのためにカーボンサーティフィケートを買います。

このメカニズムは準備通貨型DAOのようなもので、KlimaDAOはCO2削減に向けたものですが、このコンセプト自体が面白いし、他にも同じように社会貢献ができるDAOが作れそうだなと思っています。どうやってマネタイズするかなど議論の必要はありますが、スキーム自体はコピペできるので、あとはいかにして社会貢献できるものにしていくかを考えています。

廣澤:個人的にもとても興味があります。是非また色々と詳しく聞かせてください。

紺野:ついつい語りすぎてしまいましたが、「再生可能エネルギーを活用したマイニング」にとどまらず、社会問題に立ち向かい、貢献できる事業を展開していきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします!本日はありがとうございました。

廣澤:ありがとうございました!

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