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【PoWコイン解説】Super Zero Protocol(SERO)について

こんにちは!FUELHASHのインターン生AKIです。今回も、PoWコイン解説シリーズです。匿名性コインである、Super Zero Protocol(SERO)について解説したいと思います!

そもそもPoWコインとは

まず、PoWコインとは、PoW(Proof of Work)と呼ばれる仕組みによって支えられている仮想通貨です。

PoWは、膨大な計算作業を通じてブロックチェーンに取引記録を連続的に記録していきます。そのため、改ざんを起こすにはその時点以降の計算を全て負担しないといけませんが、現実的ではありません。

そのため、セキュリティの強度が非常に高いです。

また、マイニングと呼ばれる、計算を手伝った人に報酬が渡る仕組みも特徴の一つです。

下の記事でも、解説しているのでこちらもチェックしてみてください!

◎Super Zero Protocol(SERO)について

Super Zero Protocol(SERO)は、取引情報及びスマートコントラクトに対応する匿名性コインとして、2018年9月にAlphaNetネットワークがリリースされました。2019年7月にMainNetをローンチして、現在はPoWとPoSを併用したコンセンサスアルゴリズムでサービスが提供されています。

特徴① ゼロ知識証明

SEROは情報の暗号化にゼロ知識証明を用います。実は同じ匿名性コインで有名なZcashもゼロ知識証明を採用しており、"Zk-SNARK"というライブラリーを実装しています。しかしながら、秘匿化に時間がかかるのが難点でした。

そこで、SEROは"Super-ZK"というモデルを独自に開発することで、ゼロ知識証明の安全性と"Zk-SNARK"の20倍以上のスピードを両立しました。

https://www.youtube.com/watch?v=Sv_3-8c1Zmcより抜粋

ここで、ゼロ知識証明について簡単に説明します。

ゼロ知識証明は、「何かが本物(本当)であること」をその何かについて情報を明かさずに証明する方法のことです。

例えば、有名な例として洞窟の問題があります。

ある洞窟は入り口と出口が同じ一本道であり、途中には合言葉で開く扉があるとする。合言葉を知っている証明者(P)とその合言葉が本物であるか確かめたい検証者(V)は、以下の証明で合言葉が本物かを確認できる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ゼロ知識証明より抜粋

Pが洞窟に先に入り、AかBのどちらかの道を選び、奥まで進んだところで待機する。その後にVが分かれ道に立ち、AかBのどちらかの道を選び、その道からPに出てきてもらう。これを複数回繰り返すと、Pが知っている合言葉が本物かどうか確かめることができる。

①Pの合言葉が本物の場合
 この試行は何も難しくなく、成功率は100%である。

②Pの合言葉が本物でない場合
 Pは入った道からしか出てこれないので、Vのリクエストに応えられる確率は50%である。この試行を複数回繰り返すと、どこかでリクエストに応えられなくなる。例えば20回繰り返すと、成功率は約0.0001%であり実質不可能である。

これをインターネットに応用すると、公開鍵暗号(暗号を復号するための秘密鍵を持っていることの証明)、やユーザー認証(自身が本物であることの証明)が行えます。

暗号資産は、ブロックチェーンの台帳情報は誰でも閲覧可能である一方で、暗号化してしまったら、その正当性は確認できない。そのため、トランザクション情報(送金者、受金者、その量など)は秘匿化すると同時に、それが正しいことを示すゼロ知識証明をつけることで、プライバシーと透明性が両立することが可能になる。

以下の記事でより詳しく解説されているので、興味がある方はご覧ください。

特徴② UTXO+ACCOUNTモデル

二つ目の特徴として、UTXOモデルとACCOUNTモデルのハイブリッドを採用していることです。チェーン上のブロックはアカウントの資産の流入と流出を記録しています。その流出情報の異なる記録方法により、別々のモデルが発展してきました。これらのいいとこどりをしたのがSEROです。

SERO WHITE PAPER 2.0より抜粋

UTXOモデルの利点として、
・それぞれの取引が独立であるため、多数の取引を同時に行えること。
・ヒストリーに基づいた記録方法であるため、秘匿化された取引のように証明が必要な時に強い。

ACCOUNTモデルの利点としては、
・独立したアカウントで直接資産の加減が可能であり、一つの取引記録にまとめられるため、記録の容量がUTXOモデルに比べて非常に小さい
・ACCOUNTモデルは、アカウントの状態をインプットとアウトプットの結果としているため、チューリングマシンの実装が容易であり、スマートコントラクトに適している。

SEROはこのモデルの切り替えを円滑に行います。秘匿化された取引であればUTXOモデル、スマートコントラクトであればACCOUNTモデルを用いることで、異なる取引に対応することができます。

特徴③ 個人によるプライバシーコイン発行

最後の特徴は、任意の開発者がSEROのプラットフォーム上で、匿名性トークンを発行できることです。つまり、ビジネスごとに独自のプライバシー保護システムを確立することができるため、SEROは、ブロックチェーン上のビジネスへの適用性が高いと言えます。

SERO公式は、利用される想定として以下のケースを挙げています。

①サプライチェーンマネジメント
ブロックチェーンでサプライチェーンを管理することで、取引の確認と追跡が容易になり、集中型の情報システムを簡素されるため、よりコストパフォーマンスが良くなります。

しかし、一般の分散型システムでは、営業機密が漏洩してしまうリスクがあります。SERO では、分散型情報システムと、機密保持を両立することができるとしています。

https://www.lokad.com/supply-chain-management-definitionより抜粋

②オンラインゲーム
現在、オンラインゲーム産業はゲーム会社による中央主権的な仕組みによっています。SEROはスマートコントラクトを用いることで、ゲームユーザーのプライバシー保護がより強固することが可能としています。例えば、ゲーム内市場のアイテムのやり取りや、ゲーム内通貨の取引がスマートコントラクトに基づいて実装することができます。

◎SEROの現状と今後について

チャートで見る

では、そんなSEROは現状どうなっているのでしょうか。価格をチャートで見てみましょう。

下のチャートは直近1年のSERO(対日本円)のものです。

https://coinmarketcap.com/ja/currencies/super-zero-protocol/より抜粋

気になるのは、2021年9月からの大幅な下落2022年3月からの急上昇、そして2022年5月の急落です。

2021年9月の下落は、中国の仮想通貨規制の影響が大きいです。中国政府が本土でのマイニングを禁止したことにより、仮想通貨市場全体が価格を下げました。

後述しますが、SEROは中国でのマイニング量が多かったため、この規制に対して新たな方針を打ち出すほど多大な影響を受けました。

2022年3月からの急上昇の明確な原因は不明ですが、考えられる理由としては、Coindesk Japanの記事によると二つあります。

この記事は、データは不十分であるものの、ウクライナ危機やロシアに対する経済制裁が、ロシアの人々に匿名性仮想通貨を使う必要性を与えた他、世界中の人々に中央集権的な金融機関に依存する危機感を与え、ブロックチェーンのプライバシーを重視させたと伝えています。結果として、SEROと同じ匿名性コインであるMoneroを筆頭に、匿名性の高いトークンの価格が上昇した可能性が高いです。

実際に、Moneroは3-4月近傍で約35%近く値を上げた(実際はそのトレンドは5月末まで続いた)ており、一定の根拠はあるかと思います。他に、同じく匿名性コインであるZcashも変動幅は小さいものの、3月中に値上がりを見せています。

https://coinmarketcap.com/ja/currencies/monero/より抜粋

一方で、同期間においてSEROの盛り上がりはMoneroよりも短期間です。これは考察に過ぎませんが、Moneroが先行して価格を上げた影響で値上がりを見せたものの、認知度の差や投資者数の差からトレンドが続かなかったのではないかないでしょうか。

もう一つの理由として、人気であったDeFiセクターからプライバシーコインへ、投資家が成長を求めて投資先を変更した可能性を指摘しています。こちらも、同記事内で説明されてましたが、確証はありません。

追記:
もう一つの理由として考えられるのが、ゼロ知識証明の技術としての盛り上がりです。2-3月頃にTwitterで話題になっていた所感があります。また、米ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)がゼロ知識証明を用いたエアドロップツールを開発したことでも話題になりました。これがきっかけで関連した通貨が伸びたのかもしれません。

FUELHAS サイトウより

最後に、2022年5月にステーブルコインの大幅下落に伴う仮想通貨市場の不安や混乱から大きく価格を下げました。その後は落ち着きを取り戻して、価格も上昇基調です。

SEROは、MoneroやZcashがビットコインのプライバシーコインだとすれば、自身はEthereumのプライバシーコインだとしています。そこで、SEROに対する市場の影響力を見るためにも、Ethereumの直近1年のチャート(対日本円)を見てみます。

https://coinmarketcap.com/ja/currencies/ethereum/より抜粋

見比べると、2020年4月ごろの上昇と5月の下落は共通しているものの、全体として類似は多く見られませんでした。

採掘難易度で見る

https://poolbay.io/crypto/383/seroより抜粋
小さくて申し訳ありません。

価格チャートと同様に、2021年9月の中国での規制でマイニングが縮小したため採掘難易度が低下しています。

2021年の10月以来、堅調に推移し難易度はおよそ2倍にまで上昇しています。

この理由については次の項目とも関連しているため、次で解説します。

また、ある程度の人数のマイナーたちが、SEROに期待してマイニングを続けていることが分かります。実際に公式によると30カ国以上で10,000以上のマイニングノードが存在するそうです。

また、SEROのマイニングに興味のある方は、以下の記事を参考にしてみてください!

今後のSEROアップデートについて

SEROは2021年8月にSERO2.0をEasterプロジェクトと題して、そのAlphaNetをテストのために公開しました。

https://twitter.com/SEROdotCASH/status/1427570472569376771より抜粋

AlphaNetのテストが完了した後はBetaNetでのテストが行われ、その後にMainNetがローンチされるため、実装にはまだ時間がかかるでしょう。MainNetの公開後はさまざま特徴が追加される一方で、大きな変化があることが2021年10月に公表されました。それは、

「PoWを段階的に廃止し、PoSによるステーキングに移行」

することです。理由として、2021年9月に中国本土でマイングが禁止されて、SEROネットワークの計算力に大きな変動が生じたため、今後もPoWを続けることによるハッシュレート変動の影響を排除するためだとしています。 

PoSに移行してすると、報酬体系はコインの保有数と保有期間によって決まります。そのため、移行することが決定している場合はPoWを採用しているうちに、早めにマイニングをしてしまった方がいいでしょう。こうした理由のためか、発表以降マイニングの採掘難易度は上昇の一途を辿っています。

ちょっと気になったこと

今回リサーチをする際、公式情報が全く更新されていないことが気になりました。

GitHubのリポジトリは、定期的にアップデートされているものの、公式サイトのBLOGが2020年4月を境にパタンと更新されなくなっていたり、公式Twitterの最新の投稿が2021年11月であったり、情報の発信が適切に行われていません。

他のコインのTwitterをみると、アップデート情報のリリースだけでなく、TelegramやDiscordでのイベントを頻繁に告知する他、リツイートも多いです。

TwitterやFacebookのフォロワー数を見る限り、まだ多くの人に浸透していないアルトコインとして、これは認知度を拡大する上で致命的であると言っていいでしょう。

今後の予想

以上の点を踏まえると現時点では、SEROの将来的な価格上昇の確率はそこまで高くないと考えますが、PoSに参加可能であり興味がある場合は、保有するのも選択肢の一つでしょう。

まず、上昇が見込まれないと考える理由は、匿名性仮想通貨としての認知度が高くないことです。

先述の通り匿名性仮想通貨はSEROの他にも、Dash(DASH)、Monero(XMR)、Zcash(ZEC)などがあります。これらのコインは、すべての機能面でSEROに優れているわけではありませんが、公開された年月が早いため、より認知度を得ています。

https://www.binance.com/en/blog/fiat/what-you-need-to-know-about-privacy-coins-421499824684903655より抜粋

また、既に将来的なPoSに舵を切ったからか、SNSを通じた認知度拡大に対してそこまで積極的ではないことも、マイナス面でしょう。

実際に、世界中の仮想通貨について情報をまとめたcoinmarketcap.comでは、SEROが時価総額ランキング422位(2022年8月5日現在)なのに対して、上記3コインはいずれも順位が100位以内であり、知名度の差は歴然です。

また、価格のチャートで見るで述べたように、匿名性コインとしての評価を受けながらも、その安定性は高くないです。

SERO 2.0に移行し、PoSに切り替わるまでは、まだ時間がかかることが想定されます。

しかし、EthereumのPoS後にEthereumのハッシュレートが分散し、SEROにそのハッシュレートが流入することが見込まれます。Decentrized化が進むという点では今後評価が上がると言えるかもしれません。

まとめ

今回は、SEROの特徴、仮想通貨チャート、そして今後の予想を解説しました!

少しでもためになれば幸いです!

また、その他のPoWコイン解説記事もぜひご覧ください!

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