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あれからまもなく10年㉔ 〜命について(3)〜
人はいつか必ず亡くなります。
でも、母が亡くなるということは想像すらしたくもないことでした。
母に付き添って6日目。
枕元には心電図モニターが置かれました。
「いつ心臓が止まってもおかしくありません」主治医は言いました。
その夜は、私と父と弟の3人で母を見守っていました。
消灯後、母のベッドの電気スタンドの灯の中、私たちは思い出話を始めました。
すると突然、もう言葉を発することは皆無だった母が大声で歌い出したのです。
「まんまるお月さまー!お月さまー!」
私たちは驚き、何が起きたのかわかりませんでした。
母はその言葉を何度か繰り返した後、「キャーーーッ!!」と二度絶叫後、呼吸が荒くなりました。
私たちはナースコールをすると、主治医が駆け付け、心臓マッサージを始めました。
しかし、心電図モニターの波線は緩やかに直線に近づき、「ピー!」という音とともに母の心臓は止まりました・・・
私の記憶では、葬儀までは涙が出ませんでした。
涙が出たのは、葬儀が終わり、横浜の家に帰ってからでした。
夜になり、風呂場にいくと決まって涙が溢れ、号泣しました。
私は何もやる気が起きず、ついには仕事を辞めました。
私は何のために生きてるのだろう?
これから母のいない世界をどうやって生きたらいいのか?
私は自問自答を繰り返しました・・・
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