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あれからまもなく10年㉒ 〜命について(1)〜

私が命と向き合うようになったのは、母が亡くなってからでした。
母は、リンパ腫から悪性リンパ腫になり苦しみもがいて亡くなりました。

「母さんが再入院した。今すぐ帰ってきて!」
弟から連絡があり、私は当時住んでいた横浜から新幹線に飛び乗り福島に帰省しました。

息を切らしながら母の病室を訪れると、穏やかな表情をした母がゆっくりと体を起こしました。

「今すぐ帰ってきて!と言われたから慌ててきたけど、元気そうで良かった!」

私は母に声をかけました。
しかし私はその日から24時間、母に付き添うことになったのでした。

なぜなら弟から「母の命の期限があと一週間」と言われたからです。

母と二人きりで過ごすのは記憶にある限り人生初でした。
それが母の最期を看取る時間だったのは後悔しかありません。

「私の白目、黄色くない?」
母が私に問いかけました。

「どうして?」私が尋ねると、「白目が黄色になるとみんな亡くなったから・・・」と応えました。

母の病室は6人部屋でした。
母曰く、同室で仲良くしていた患者さんは、白目が黄色くなると次々と亡くなっていったそうです・・・

私は母の白目を見ました。
すると、驚くほどに黄色だったのです。

しかし私は咄嗟にウソをつきました。
「うーん、そんなに黄色ではないよ」と・・・

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