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【読書感想文】凪良ゆう『わたしの美しい庭』

いた、いた。理想の家族がここにいた。
血縁でもない三人。
まるで縁のなさそうな人間同士が一緒に暮らす。
気づくと近くにいる。
そこに円い光の輪のような家族の温もりを
私は確かに感じた。

統理と百音
二人で作り上げてきた関係に
他人が口を挟む余地はない
余計なお世話だ
統理が別れた妻を忘れられずにいたとしても
それがなんだ
百音は元気だ。そして可愛い。それで十分だ。

統理と路有
路有のセクシュアリティが友達に露見した時の
統理の台詞に痺れた。
「良心の呵責はおまえらの荷物だよ。人を傷つけるなら
それくらいは自分で持て」

自分の荷物は自分で持とう。
家族でも、家族だからこそ、子供に親に兄弟姉妹に
それを背負わせてはいけない。
鞄の中身はその人だけのものだ
他人には取るに足らないものでも
大事でもそうじゃなくても。

血縁でもそうじゃなくても
誰かと関わることは、多くの寛容と忍耐を要する。
そこで生まれるのが愛情や憎悪だ
愛と憎しみは表裏一体だからどちらか一方ということは
ないんじゃないかな。

憎んでいるようでも、何故か断ち切れない。
愛してると言った後で、心の中に冷たい風が吹く。

だから人生はめんどくさいものなのだ。
そしてちょびっとあったかい。

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