「Who you are」から学ぶ、意図せず企業文化を壊す経営者の「沈黙」とは
こんにちは!加藤章太朗(@katoshow)です。
先日「アンドリーセン・ホロウィッツ」の創始者であるベン・ホロウィッツが書いた「Who you are」を読みました。
本書では、武士道やチンギスハン、ギャングのリーダーなど強い文化を構築してきた歴史上の人物の行動をヒントに、強い企業文化の構築のポイントが書かれています。
今回は「Who you are」の内容と自身の経験を踏まえ、意図せず企業文化を壊す経営者の「沈黙」について書きます。
「沈黙」が企業文化を壊す
「経営者が意図せず企業文化を壊す」とすれば、バリュー(行動指針)に反する行動を取る、といったことをイメージするかと思います。
また、バリューを高いレベルで体現しない、といったケースもあるかもしれません。
しかし、経営者であれば自分で決めたバリューなどあるべき文化に反する行動を取ることはなかなかないですし、多くの場合、高いレベルでバリューを体現しているのではないでしょうか。
それでも、世の中には強い文化を構築できている企業とそうでない企業が存在します。その差を生み出すものは何でしょうか。
「Who you are」には以下のようなことが書いてあり、とても納得しました。
※「Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる Kindle版」No. 179、No.232より引用
意訳すると「バリューに反する行動への沈黙」が企業文化をひどく傷つけると理解できるかと思います。
バリューに反する行動に気づいた時に「沈黙」するか、それともフィードバックをして行動を立て直すか、この選択の積み重ねで強い企業文化が構築されるかどうかが決まっていきます。
フィードバックをし続けることは容易ではないです。例え経営者がフィードバックをできていたとしても、人は誰もが嫌われたくないので、マネージャーまでもが徹底してできている会社は少ないかと思います。
それゆえに強い企業文化を作れる会社は数少ないのだと思います。
「沈黙」で企業文化が崩壊するサイクル
さて、ここまでの話と弊社での実体験を元に、企業文化が壊れるサイクルを図にしました。
MVP制度などを作り、文化に合致した行動に対し、賞賛を行う企業は多いかと思います。
しかし、いくらMVP制度などでプラス側の活動を称賛しても、文化から外れた行動に対し「沈黙」をしてしまうと、異文化ができ、あるべき文化の構築を妨げることが往々にしてあります。
あるべきサイクルは以下です。
文化から外れた行動に対し、徹底してフィードバックサイクルを回さなければ、あるべき文化が強固になっていきません。
「沈黙」が起こりやすいタイミング
私も経験があるのですが、文化から外れる行動への「沈黙」は以下のタイミングで起こりやすいです。
1.バリュー(行動指針)を刷新したタイミング
バリューを刷新したタイミングでは「昔良しとされていたが、新しいバリューからは外れる行動」が組織内に残ることが普通です。
変化に対して反応するスピードには個人差があります。
そのため、通常バリューを刷新した後は、組織内にあるべき文化と異文化(昔の文化)が混在することになるかと思います。
セオリーでは「経営者が先頭を切って体現する」「新しいバリューについて口酸っぱく言い続ける」等があると思います。
しかし、バリューから外れた行動に対し徹底してフィードバックサイクルを回すべき、ということは盲点になります。
メンバーの不満を恐れ、バリューから外れた行動に対しフィードバックをせず「沈黙」が起こることも多いと思います。
2.人数が増えるタイミング
スタートアップなどでよく30人の壁、50人の壁、100人の壁などと言われることがあります。
人が増えれば、それだけ様々な価値観が増えます。それ自体は悪いことではないですが、企業文化に対する解釈も無限に増えていきます。
人が増えている時こそ、企業文化から外れた行動に対して適切にフィードバックをしなければならないのですが、フィードバックは疲れるし、辛いです。基本的に人はやりたくない。
何度もフィードバックをしているうちに「いちいち嫌がられるし、もう面倒くさいな」と思い見過ごしてしまうマネージャーが出てくるのも自然です。
3.経営層やマネージャーが変更したタイミング
これも似た話にはなりますが、役割を変更したタイミングで信頼関係が構築できていないと、フィードバックはし辛くなり「沈黙」する方が楽になります。
信頼関係をスピーディに構築し、フィードバックをすれば良いのですが、スキルが高いマネージャーや経営層でなければなかなか難しいことかと思います。
フィードバックの頻度を増やし、当たり前にしよう
すでに強固な文化が構築されている状態であれば、いくら人数が増えても、文化が崩壊するサイクルにはなりづらいと思います。その状態だと、経営者やマネージャーだけでなく組織全体からのフィードバックサイクルが回るからです。
しかし、そのような企業は稀ですし、時代とともに文化はアップデートしていくべきだと思います。
文化を変えるタイミングでは、必ずバランスが崩れ、崩壊のサイクルになってしまうこともあるかもしれません。
では、どうしたら良いでしょうか。
1つの回答としては、高頻度のフィードバックが行われる状態を創ることが重要だと思います。
例えば弊社では、月に1回ライトなフィードバックを送ることになっております。項目は「続けてほしいこと」「新たに始めてほしいこと」という簡単なものですが、バリューの観点からここでフィードバックを送ることができます。
※マネジメントツールWistantを使ってライトなフィードバックを送ってます。
耳の痛いことも含め、如何にフィードバックの習慣を作れるか、が強いカルチャーを作れるかどうかの分岐点だと感じます。
まだまだ強い文化構築は長い道のりですが、日々地道な努力を続けていきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?