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「Who you are」から学ぶ、意図せず企業文化を壊す経営者の「沈黙」とは

こんにちは!加藤章太朗(@katoshow)です。

先日「アンドリーセン・ホロウィッツ」の創始者であるベン・ホロウィッツが書いた「Who you are」を読みました。

本書では、武士道やチンギスハン、ギャングのリーダーなど強い文化を構築してきた歴史上の人物の行動をヒントに、強い企業文化の構築のポイントが書かれています。

今回は「Who you are」の内容と自身の経験を踏まえ、意図せず企業文化を壊す経営者の「沈黙」について書きます。

「沈黙」が企業文化を壊す

「経営者が意図せず企業文化を壊す」とすれば、バリュー(行動指針)に反する行動を取る、といったことをイメージするかと思います。

また、バリューを高いレベルで体現しない、といったケースもあるかもしれません。

しかし、経営者であれば自分で決めたバリューなどあるべき文化に反する行動を取ることはなかなかないですし、多くの場合、高いレベルでバリューを体現しているのではないでしょうか。

それでも、世の中には強い文化を構築できている企業とそうでない企業が存在します。その差を生み出すものは何でしょうか。

「Who you are」には以下のようなことが書いてあり、とても納得しました。

とても優秀だと思っていた中間管理職がいた。ここでは、ソーストンとしておこう。

彼はマーケティングの専門家で素晴らしく話がうまかった(マーケティングには必須のスキルだ)。だが、世間話をまた聞きしてはじめて知ったのだが、このソーストンは話が上手いどころではなく、とんでもないウソつきだったのだ。ショックだった。

まもなくソーストンはクビにしたものの、これは彼だけの問題ではなかった。問題の根はもっと深いところにあったのだ。

問題は、ソーストンがまぎれもない大ウソつきだということに私が何年も気づかなかったということだ。その何年ものあいだに彼は昇進を重ねた。そのせいで、ラウドクラウドではウソをついても許されるという文化ができ上がってしまった。社員は目の前の手本を見て学んだのだ。

もちろん「ウソをついてもいい」と許したわけでは決してない。でも、社員にはそんなことは関係ない。ソーストンが昇進したことで、ウソをついても大丈夫と見られたのだ。
「基準以下の行いを放置しておくと、それが新しい基準になる」と軍隊では言われる。企業文化も同じだ。文化に沿わない行いを見聞きしても対処しなければ、それが自分たちの新しい文化になる。

※「Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる Kindle版」No. 179、No.232より引用

意訳すると「バリューに反する行動への沈黙」が企業文化をひどく傷つけると理解できるかと思います。

バリューに反する行動に気づいた時に「沈黙」するか、それともフィードバックをして行動を立て直すか、この選択の積み重ねで強い企業文化が構築されるかどうかが決まっていきます。

フィードバックをし続けることは容易ではないです。例え経営者がフィードバックをできていたとしても、人は誰もが嫌われたくないので、マネージャーまでもが徹底してできている会社は少ないかと思います。

それゆえに強い企業文化を作れる会社は数少ないのだと思います。

「沈黙」で企業文化が崩壊するサイクル

さて、ここまでの話と弊社での実体験を元に、企業文化が壊れるサイクルを図にしました。

黙認による文化の破壊_-_Google_スライド

①文化から外れた行動に対し、経営者が沈黙する。
②従業員は経営者が見過ごしているのを見て「この会社ではこういう行動(異文化)が許されるんだ」という認識を持ち、少しずつ異文化が生まれる。
③異文化が生まれたことにより、文化から外れた行動に対しマネージャーがフィードバックしづらくなる。
④文化から外れた行動に対し、マネージャーが黙認する。
⑤異文化が強くなる。
(繰り返し)

MVP制度などを作り、文化に合致した行動に対し、賞賛を行う企業は多いかと思います。

しかし、いくらMVP制度などでプラス側の活動を称賛しても、文化から外れた行動に対し「沈黙」をしてしまうと、異文化ができ、あるべき文化の構築を妨げることが往々にしてあります。

あるべきサイクルは以下です。

黙認による文化の破壊_-_Google_スライド

文化から外れた行動に対し、徹底してフィードバックサイクルを回さなければ、あるべき文化が強固になっていきません。

「沈黙」が起こりやすいタイミング

私も経験があるのですが、文化から外れる行動への「沈黙」は以下のタイミングで起こりやすいです。

1.バリュー(行動指針)を刷新したタイミング
2.人が増えるタイミング
3.経営層やマネージャーが変更したタイミング

1.バリュー(行動指針)を刷新したタイミング
バリューを刷新したタイミングでは「昔良しとされていたが、新しいバリューからは外れる行動」が組織内に残ることが普通です。

変化に対して反応するスピードには個人差があります。

そのため、通常バリューを刷新した後は、組織内にあるべき文化と異文化(昔の文化)が混在することになるかと思います。

セオリーでは「経営者が先頭を切って体現する」「新しいバリューについて口酸っぱく言い続ける」等があると思います。

しかし、バリューから外れた行動に対し徹底してフィードバックサイクルを回すべき、ということは盲点になります。

メンバーの不満を恐れ、バリューから外れた行動に対しフィードバックをせず「沈黙」が起こることも多いと思います。

2.人数が増えるタイミング
スタートアップなどでよく30人の壁、50人の壁、100人の壁などと言われることがあります。

人が増えれば、それだけ様々な価値観が増えます。それ自体は悪いことではないですが、企業文化に対する解釈も無限に増えていきます。

人が増えている時こそ、企業文化から外れた行動に対して適切にフィードバックをしなければならないのですが、フィードバックは疲れるし、辛いです。基本的に人はやりたくない。

何度もフィードバックをしているうちに「いちいち嫌がられるし、もう面倒くさいな」と思い見過ごしてしまうマネージャーが出てくるのも自然です。

3.経営層やマネージャーが変更したタイミング

これも似た話にはなりますが、役割を変更したタイミングで信頼関係が構築できていないと、フィードバックはし辛くなり「沈黙」する方が楽になります。

信頼関係をスピーディに構築し、フィードバックをすれば良いのですが、スキルが高いマネージャーや経営層でなければなかなか難しいことかと思います。

フィードバックの頻度を増やし、当たり前にしよう

すでに強固な文化が構築されている状態であれば、いくら人数が増えても、文化が崩壊するサイクルにはなりづらいと思います。その状態だと、経営者やマネージャーだけでなく組織全体からのフィードバックサイクルが回るからです。

しかし、そのような企業は稀ですし、時代とともに文化はアップデートしていくべきだと思います。

文化を変えるタイミングでは、必ずバランスが崩れ、崩壊のサイクルになってしまうこともあるかもしれません。

では、どうしたら良いでしょうか。

1つの回答としては、高頻度のフィードバックが行われる状態を創ることが重要だと思います。

例えば弊社では、月に1回ライトなフィードバックを送ることになっております。項目は「続けてほしいこと」「新たに始めてほしいこと」という簡単なものですが、バリューの観点からここでフィードバックを送ることができます。

フィードバック___ピープルマネジメント_-_Wistant

マネジメントツールWistantを使ってライトなフィードバックを送ってます。

耳の痛いことも含め、如何にフィードバックの習慣を作れるか、が強いカルチャーを作れるかどうかの分岐点だと感じます。

まだまだ強い文化構築は長い道のりですが、日々地道な努力を続けていきたいと思います!

今回のnoteはこれで終わりますが、各企業で千差万別の取り組みをされていると思います。

そこで、思いつきですが経営層の方とオンラインで文化の構築について意見交換の機会を創れたらと思っています。

以下のURLからお申し込みをいただけましたら、クローズドで少人数の意見交換会にご招待します。

▼意見交換会の申し込み
https://lp.wistant.com/seminar-2

お気軽にご連絡ください!


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