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身の丈にあった走り方。

左ききの道具店、前進しています。
9月に発売した2022年版の左ききの手帳も順調に動いており、おかげさまで今年も昨年の売上は越えられそうです。まだ4年目なのだから、そうでなくっちゃ困るのですが、本当にありがたい限り。もうすぐ年末ですが、気を抜かず駆け抜けていく所存です。がんばるぞっと。

さて、そんなわけで今年を振り返りつつ、久しぶりのnoteで思うことを書き残しておくことにします。

冒頭に、前進している、と書きましたが、つまり見てくれる人が増えているわけで。ほしい!とか、応援してます!という声援に混じって、中には「いっちょ左ききさんと仕掛けてやろうじゃないか」というお誘いの声もある。

興味を持ってもらうこと自体は嬉しいもので、なるべく応えたいと思うのだけれど、なにぶん最少人数で運営しているのでどうしても実施できる数は限られてしまう。申し訳ないけれども、それが現実なので大部分はゴメンナサイするしかない。

ただ、それはそれとして、お誘いいただく企画には、当然のように僕らとは違う思惑と視点があって興味深い。「左利き」を新鮮な切り口として捉える方もいれば、SNSでの拡散を見込む人もいるし、売り場のカンフル剤だったり、ときに常設にしたいという熱意の方もいる。宿泊プランに導入したいという方には驚かされた。

そういった他者の声を受けて、はじめて自分たちが気づくことも多い。その一つが、自分たちの「身の丈」だ。

さまざまな声の中に、少なからずあるのが「左利きの現状を変えていこう」という提案。一種の、社会的活動を帯びたものがある。10人に1人という左利きの人口比率を踏まえると、主張の多くはその通りだし、正しい。僕らもそうあったらいいよね、と思うことばかりだ。

でも、実際に僕らがそういう活動をすることはない。それは力不足というだけでなく、単純に、僕らは「道具屋」が本分であると信じているからだ。

道具屋の価値は、道具にある。いい道具、役に立つ道具が置いてあることが全てで、その思想ではないのだ。

……のだ、と書いてみたのはいいけれど、一人のコピーライターとして、正しさの強さは知っているつもりだ。世界的な文脈として、どんどん、その正しさが求められる時代であることも分かっているし、その文脈に左ききの道具店が乗れることも、理解している。

でも、それでもね、安易に乗っかっちゃダメなんじゃないかしら、とも思う。

なぜなら、僕らは世界を変えようと思っていない。ぜんぜん、まったく、考えてすらいないもの。左利きの店長が、持ちたくなるもの、使って心地いいものを、「お裾分け」している、ぐらいがちょうどいいんじゃないかな。

そんな自分たちの身の丈を、常に点検しながら、これからも歩んでいこうと思います。さ、もうすぐ年末。いろいろやることあるぞ。


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