コピーライターの道具箱 @書くツール

2018年も半分が終わったこともあって、PCに入っているツール類を整理していたら、結構テキストエディタを変えていることに気づいた。昔はWord一択だったのに、独立したら色々試したくなったらしい。

こういった「書くツール」は新しいものがどんどん出てくるし、これからも便利なものがあれば乗り換えていくだろう。でも、この時点で、僕がどのような書くツールを選んできたのか、まとめてみるのもいいかもしれない。

完全に僕の独断と偏見だけど、誰かの参考になれば幸い。乗り換えたらまた追記しよう。

ちなみにここで言及するツールは以下の4つ。

・Microsoft Word
・CotEditor
・stone
・Ulysses

ちょっと長いっす。

Microsoft Word:王道。しかし退屈感は拭えない。

書くツールとしては、僕のこれまでの人生でもっとも長く、高頻度で使っているツールでまず間違いない。何しろ高校のパソコンの授業から、書くと言えばWordだった。大学の卒業論文もWordで書いた。コピーライターとして初めての取材したノートを整理したのもWordだった。

当時は、なぜか「osaka」の「10pt」がもっとも美しいと頑なに信じ、あらゆる資料はこの設定に統一していた。(参考画面は弊社の会社情報から)

当然、今も使っている。クライアントの多くはWordユーザーだから、共有データの拡張子はもっぱら.docだ。

……しかし、もう書く主役ではなくなってしまった。書く心地良さがないのだ。Wordしか知らないウブな頃には分からなかったが、様々なツールを使ううちに知ってしまったのだ。ツールによって書き心地は違うということに。

あと、コピペするたびに「形式を選択してペースト」を選ぶのは苦痛だ。ときどきWeb原稿をペーストしてフォント崩れるけど、忙しいときにやるとイラっとする。

Microsoft Word
良いところ:クライアントと共有できる。校閲ツールの存在。
悪いところ:融通が利かない。書く心地良さは少ない。コピペが苦痛。


CotEditor 最速、手軽、無料。

Wordよりも、もっと気軽に使えるツールはないかと探して、最初に着いたテキストエディタ。何がいいって、めちゃくちゃ起動が早い。メモに最適。書きたいと思ったらすぐに開いて書き出せる。それなりに細かい設定も可能で、紙系で箱組みのコピーを書く際にも助かる。

ただ、こちらも書いている心地よさ、というのはあまり感じない。見え方の問題なのだろうか。短縮コマンドでボールド(太字)もできないから、全体にメリハリをつけにくく、長文には向かない。

とはいえ、起動速いし、メモには何も問題ない。しかも無料だ。これからも使い続けるツールのひとつだと思う。

CotEditor
良いところ:起動が早い。機能がシンプルでメモに最適。
悪いところ:長文には向かない。書く気持ち良さはあまり感じない。


stone 美しい。とにかく、美しい。

日本を代表するグラフィックデザイナーの一人、原研哉氏が率いる日本デザインセンターが出すテキストエディタ。コピーライターの多くは、この説明だけで、思わずダウンロードボタンを押すに違いない。僕もその一人だった。

紙を主戦場とするグラフィックデザイナーと、Webがメインのデザイナーの大きな違いのひとつは、文字組みに対する執着だと思う。入稿後修正が不可能な紙のデザイナーは、一文字単位の字詰めに徹底的にこだわる人が多い。いわんや日本デザインセンターが出すエディタだ。

ね。

デフォルト表示で、十分に美しい。余計な情報が一切ない。行間や文字詰めの細かな設定も自由自在。書く心地よさを味わうには、ひとつ抜きん出た存在だと思う。

難点を挙げるとしたら、太字や下線が引けないなどメリハリがつけにくいところか。プロダクトとしての洗練した分、それを損なう表現は極力排除されている。あと、複数の原稿を同時進行していると落ちることがあって、そこは今後改善されると思うけれど、やはり他のツールと比べると安定性は落ちる。

購入は買いきりで3,000円。ぜんぜん買える。ここぞ、という原稿に使うツールだ。

stone
良いところ:とにかく美しい。書く心地よさも抜群。
悪いところ:装飾はできない。安定性が高くない。


Ulysses 現時点で、個人的最高のテキストエディタ

はっきりいって、僕はこのサービスを伝えたいがためにこの記事を書いている。Ulysses。ユリシーズと読む。ちょうどstoneの落ちまくる時期があって、こりゃ別のツールを探さなきゃ、というタイミングでこのツールが検索にヒットした。

物は試しと使い出すと、このツールの設計思想がおそろしくフィットしたわけで。今は、ほぼすべての原稿をこれで書き、管理している。この「管理」という点が、他のツールとは一線を画すところだ。

この画面の左側をみるとわかるのだけれど、原稿の階層管理ができるのだ。それも階層制限はないらしく、

こんなこともできる。これの何が素晴らしいかというと、すべての案件の原稿を集約することができるのだ。

これまで、原稿はすべてクライアントごとDropboxで管理されていた。

Dropbox > クライアント名 > 案件名 > 原稿フォルダ > 各原稿.doc

という具合に。

これはこれで便利なのだけれども、過去案件の原稿確認や別クライアントの原稿を参考にする際には、各フォルダを辿っていく必要があった。それが、一切必要なくなったのだ。すべての原稿はUlyssesの中にある。そうルールを作るだけで、原稿探しは劇的に早くなった。保存も早い。ワンクリックだ。

修正が入れるたびに、もう新しいフォルダを作る必要はない。シートを増やすだけ。いちいちフォルダを開かずとも、内容はシート上下移動だけですべてを確認できる。さらに書き心地を高める機能も充実している。

たとえば、このタイプライターモード。これは一行ごとに集中して書き進めることができる。思い切り書きたい日には重宝する。文字間・行間も自由自在だ。

僕にとって、Ulyssesは、現時点における最高の書くツールである。強いて欠点を挙げるとしたら、このツールに依存するがあまり、サービスが終了したときのショックが大きすぎること。マメな保存、大事。あと有料。月々550円。安い。まったく問題ない。

Ulysses
良いところ:強力な原稿管理機能。書き心地も満足。
悪いところ:依存しすぎる。もし不具合が起きたらやばい。


余談:Bearもいいよ
Ulyssesに近い管理機能がある。でも、書き比べたときに、Ulyssesに軍配が上がってしまったので、いつしか使わなくなってしまった。ガッツリ書きまくる人ではなく、気軽なメモやブログ書くのがメインならBearの方が合うかも。


以上です。

想定よりずいぶん長くなってしまった。最後まで読んでくれた人ありがとう。それにしても、ツールはどんどん便利になっていくね。また新しいツールを試したら追記します。

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