新卒カードを使わない選択を考えてみる

昨日に引き続き、今日も別室のエアコン洗浄を行っていました。
昨日1回やってみて、作業の手順が頭に入っていたのか、
ざっくり2時間半くらいで終えることが出来ました。
#成長した自分、偉いぞ。


さて、掃除をしながら、
新卒にとっての就職のことを考えていました。
今日のテーマは「新卒カードを使わない選択」について。


新卒カードの意味

以前に「新卒カード」の意味について考えてみたことがある。
私が思う、新卒カードを使うメリットは、2点。

・同時期に多くの学生が就職活動をするので、
 情報交換できる仲間がたくさんいる。

・既に社会で働く"オトナ"から
 有益な情報をもらいやすい。
 (話の後半は武勇伝なので話半分に聞く)

※詳細はこちら「新卒カードって何だろう?

さて、ここしばらく考えていたことなのだけれど、
学校を卒業して、すぐに仕事に就くメリットは何だろうか。
なぜ、みんな同じ時期に就職活動して、働き始める必要があるのだろうか


新卒の一括採用について、
企業側のメリットはいくつかある。

ある程度の採用に規模を持たせることで、
採用コストや教育コストを抑えて、社内の戦力増強を図ることが出来る。
また、受け入れ側のマネジメントスキルの向上にもつながる。


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企業側のメリットの話はさておき、
今日考えたいのは、
学生にとっての、卒業と同時に就職する意味や価値について。


私のキャリアの振り返り

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いきなり余談から入ってしまいますが、
私の学生時代のこととこれまでのキャリアを簡単に振り返ってみる。

ざっくりとしたこれまでのキャリアの流れはこんな感じ。
四年制地方大学 → 小規模ベンチャー 
→ ワーキングホリデー → 短期契約社員 → アメリカ系大手 
→ フリーランス(現在)


大学3年生の秋ごろに、ゼミの担当教授が
進路について個人面談を実施していた。

その際に私はこんなことを教授に進路希望を聞かれて、
こんな風に答えました。

「大学卒業したらプーになります。適当に海外をフラフラして、
 お金が無くなったら半年か1年くらいアルバイトして、
 また海外行って、40歳くらいまでは、そんな生活をします。
 たぶん20年くらいそんなことをやれば、
 その経験で何か仕事を得られるんじゃないですかね」

そうすると教授は叱るでもなく、呆れるでもなく、ただこう言いました。

「katoshinちゃん、とりあえず1回は働きなさい。
 朝の丸の内で、たくさんのビジネスパーソンと一緒に
 東京駅からはき出される経験をしておきなさい」

なぜかは分かりませんが、この言葉が妙に腹落ちして、
この日から、私は就活に向けて動き始めました。

たぶん、海外放浪はいったん就職してからでも遅くはないと思ったのと、
新卒で働くという経験は、1回しか出来ないことに、
希少性みたいなものを感じたのかもしれません。

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教授の言った通り、卒業してすぐに働いたことが良かったのか、
或いは、その言葉を無視して、
フリーな生き方を追求していた方が良かったのか、
今となっては分かりませんが、
少なくとも、今の私はこれまでの生き方に後悔はありません。



学生が卒業後すぐに就職するメリット

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閑話休題。
さて、学生が卒業後すぐに就職することのメリットは何でしょうか?

就職活動におけるメリットは、
前述の「新卒カード」の投稿の中で記載しているので割愛させて頂き、
今回は、就職すること自体にフォーカスしたいと思います。


新卒で就職して働くことで得られるものは何でしょうか?
私が思いついたのはこんな感じ。

・安定した収入が得られる

・自立できる

・新卒研修が受けられる

・社会での知識や専門的なスキルを身に付ける機会が得やすい

・自分のビジネス市場での価値が量りやすくなる

・ビジネスの背景や仕組みを知る機会を得やすい

・社会での一般的な信用が得られる(賃貸契約とかクレジットカードとか)

・社会の多数派の流れに乗れる

・5年後、10年後というような中長期でのキャリアプランを考えやすくなる

安定的な収入を得られるというのは大きい。
生々しい話だけれど、現実問題として、
ただ生きていくだけでもお金はかかる。

好きなことを好きなだけやろうと思うと、
それ相応にお金は必要になる。

お金さえあれば、幸せになれるわけではないけれど、
幸せになるためには、ある程度のお金は必要というのは、
使い古されたフレーズだけれど、やはり大事なことだと思う。

安定的な収入があり、将来もある程度見込めることで、
計画的な貯蓄や資産運用、資産形成もしやすくなる。


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では、安定した収入を得ることが、
新卒で就職することの価値なのだろうか。

知識やスキルを身に付けやすいという点も、価値がある。
卓越したスキルや豊富な知識というのは、後々収入に還元できる。
そして何より、人生においての目標が出来た時に、
実現するための礎になる。

何かを学ぶこと、教育機会を得ることには、
コストがかかることが多い。

しかし、企業に就職してしまえば、
無償どころか、給与をもらって学び、身に付け、実践する機会が得られる。
特に、ビジネス経験の少ない若者にとって、
この「学びを得て、知識や専門スキル」を身に付けられることは、
大きなプラス材料と言えそうだ。


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さらに、企業に属して働けば、
たくさんの「先輩」を近くに見ることが出来る。

これはキャリアターゲットともいえるもので、
その会社で「5年、10年と働いたらどんな感じになるのか」を
イメージする材料になる。

重要なのは、そのキャリアターゲットと同じように生きることではなく、
その姿が、自分の理想とするものと合致するかどうかの指標に出来ることだ。

先輩たちの姿が、自分の理想通りであれば、
そのまま、その道を追従していけばいいし、
理想と大きくかけ離れているものであれば、別の道を探せばいい。

「社会」という正解もゴールもあってないような正解で、
先々の指標や目印があることは、意外と自分の助けになる。


就職以外の選択肢

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では、就職以外にはどんな選択肢があるだろうか。

たぶんこんな感じだろうか。
・進学する(留学する)
・起業する
・その他

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進学するということは、
より高度な、或いは深い知識を得ることになる。
就職とは違った形で、自分の専門性を身に付ける。

その知識や専門性の分野によっては、
ビジネス市場で幅広く活用できるものもあるだろうし、
ニッチなものもある。

そして、数年間の後に、
再び「就職する」「進学する(研究を続ける)」「起業する」「その他」の
選択を迫られることになる。

高卒、専門卒、四大卒の学生と違うところは、
世間も自分自身も「専門性がある(べき)人」という
レッテルを貼るところだろうか。

実際に高い専門性を見に付ける人もいるだろうし、
モラトリアムを延長している人もいる。

けれど、大学院(修士、博士)とは、
専門分野を深く(絞り込んで)研究する場所であることを考えれば、
当然と言えば、当然だろう。


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起業をするという選択肢はどうだろうか。

アメリカでは優秀な学生は就職せずに起業するというし、
日本でも若くして起業する人も増えてきた。

起業にかかる費用も合同会社であれば10万円もかからずに出来る。
スモールビジネスを展開しやすいプラットフォームや
インフラも年々拡充されていることを踏まえると、
「実現したいこと」が明確で、
それが個人の方が実現しやすいのであれば、
これは非常に手っ取り早い。


しかし起業にもリスクはある。
(というか、どんな選択肢にもリスクはある)

ビジネス規模にもよるが、借入などを行った場合は、
ビジネスが上手く回らなかった場合に、債務者となる。
これは当たり前の話だが、他にもある。


起業を経て、改めて一般企業に就職しようとした場合に、
既卒(中途採用)扱いとなる。

この時に、大手企業であれば、
「一般企業で働いた経験がないこと」を多少なりリスクと評価する。

これは採用側の完全なバイアスだが、こんな心理が働く。
「一般的なビジネスマナーが身に付いていないんじゃないか」
「大きな組織に馴染めない(離職リスクが高い)のではないか」
「自分のルールで動きたがる(変化を望みすぎる)のではないか」

もちろん、ベンチャー企業であれば、
「いいね、その行動力」と、プラス評価になることもある。

企業のカラーだったり、募集職種の必要要件だったりで、
どのような見られ方をするかは異なるが、
起業した後に就職することを考えるのであれば、
頭の片隅の奥の端っこくらいには置いておいてもよい。
#たぶん起業する人は、そんなことを気にしないパワーがある


もちろん、起業は少数の人しか経験しない、
”特殊な"経験であるため、
そこから得られる学びには希少性があり、
それがビジネス市場での価値となることもある。
(新規ビジネスの開拓担当などには親和性や適性を評価しやすくなる)


最近は、週末起業や企業で就業しながらの
副業としての起業という選択肢もあるので、
どの形式が自分に合っているのか、検討の余地がある。


*******
さて、最後に大きくまとめた「その他」について考えてみよう。

「その他」と括ってしまったが、内訳はめちゃくちゃ幅広い。
あえていくつかをピックアップするとこんな感じだろうか。

・好きなことを追い求める

・パートナーと「稼ぐ」と「家事」の分担し、家事を担う

・自宅警備を強化する

・ほどほどバイトして不自由なく生きる

・特に何もしない


どの選択肢であっても、精神的な充実感は得られるだろうし、
同時に「就職しないこと」で被るデメリットみたいなものもある。

例えば、親戚に久しぶりに会ったときに
「今何してるの?」という何気ない挨拶に対し、
話したところで恐らく理解は得られないのに、
いちいち説明するといったコストが発生する。
#就職した次には「まだ結婚しないの?」がやってくる。


まとめ

*******
私は、親が裕福ではない、、、というか
お金のことでよく喧嘩をしていた家庭で育ったので、
働くことと収入を得ることはセットにして考えていた。

その結果、働く場所は「企業」という固定概念を持っていし、
働くことの目的をお金にしていた。

今になって思えば、
「働く」ことで得られるのは、お金だけではない。

知識やスキル、色んな面白い人や凄い人とのネットワーク、
社会とのつながり、自己実現、経験、成長、刺激など、
様々な得られるものがある。

もちろん、上記にあげたようなものは、
就職以外でも得られる。


*******
「人が歩いてこそ道が出来る」という言葉があるが、
誰かが歩き、踏み固められた道の方が歩きやすいし、迷いにくい。

一方で、道なき道を拓くことは、
大変でリスクもあるが、誰も知らない景色に出会ったり、
自分だけの達成感を得られることもある。


何が言いたいかというと、
「就職ありき」で考える必要はないということ。

ただ、既存の多数派の道から外れて、
自分の道を拓いていくことは、それなりに体力とリスクがあるということ。

そして、誰かが通った後には少しずつ道が出来ていくということ。


私はたまたま大学卒業と同時に就職することを選んだけれど、
就職だけが正解ではないし、
人それぞれもっと自由な生き方があってもいいと思う。


*******
学卒 → 就職 は現在の日本における多数派ルート。
この現実は、まだしばらく変わることはないだろう。

しかし「多様性を認める」という動きの高まりは、
性自認や性的思考の話だけではなく、職業観や人生観についても
拡がっていくことは想像に容易い。


そんな世の中だからこそ、
なぜ働くのか、それは企業なのか個人なのか、
そんな理由や動機を一人一人が持っていることが大事になるんだろうな。


*******
さてさて、ずいぶんと脱線してしまったのですが、
掲題の学卒で就職することの是非についての私の答えは、
どっちでもいい」です。

何が正解かなんてだれにも分かりませんし、
短期的には近道でも、中長期的には遠回りということもあります。
逆もまた然り。

ただ、新卒から働く1~2年って、
やっぱり企業にとってみれば投資期間なので、
お金をもらいながら色々経験したり学べるというのは、
ずいぶんお得な
感じがします。


そういう意味では「これがやりたい」っていう強いものが無い人や、
「やりたいことを実現したいが体力が無い」ってい人は、
ビジネスパーソンとしての基礎力を高めて、軍資金をためるという意味で、
就職を経験しておくのも悪くはないかな と思います。
#企業人かどうかはさておき、働くって楽しいって思う人が増えてほしい




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