採用選考で不正を疑われたあの日。
私は、新卒で入社した企業の採用選考で、不正(カンニング)を疑われていたらしい。(入社後に聞かされた)
当時、どの企業も選考は原則オフラインのみ。さすがにESとかはオンライン提出とかはあったけれど、まだ郵送とかの受付もしていた時代。
私が受けた企業は、応募者に対して、説明会+筆記試験がセットになった、説明選考会を実施していた。
私を含めて15名くらいの学生が同じく参加しており、隣の席には京都大学の院生が座っていた。
彼はその企業で長いことインターン(1dayとかではなく、がっつり業務を経験するようなもの)をしていたらしく、社員さんとも既知の仲。
対する私は、地方の小さな大学(当時は設立から数年しか経っておらず、世間からもほとんど認知されていなかった)の学生で、当然その企業の社員のことなどほとんど知らない。(1名だけ知人を介した飲み会で少しだけお話した方がいたけれど)
説明会がおわり、筆記試験が始まる。
試験はいわゆるSPI的な内容のもので、言語と非言語の2科目。
就活生時代の私はSPIが得意で、いま思えば本当にくだらないこだわりだったのだけれど、筆記試験の会場で、他のどの学生よりも早く回答を済ませ、退出可能時間になったら、誰よりも先に提出して会場を出るという、小さな小さな自己満足を喜びとしているような、残念なイキり方をする学生だった。
その企業での筆記試験も、恐らく会場の誰よりも早く解き終わっていたと思うけれど、途中退出が認められず、試験時間を大幅に残してただただボーっとして過ごしていた。(見直しが嫌いで、1回解いてそのまま提出という舐めた学生だった)
問題を全て解き終わってしまうと、あまりにヒマで、顔を上げるたびに試験官の社員さんと目があって、かなり気まずかったのを覚えている。
その試験官だった社員さん曰く、あんまりにも出来なくて諦めちゃったのかな、と思っていたらしい。
そんな筆記試験が終わり、学生たちが帰路につき、社内で採点が終わるころに採用に関わった社員さんたちは、騒然としていた。
誰も聞いたこともないような地方大出身の私の点数がえらく高かったらしい。
「京大院生の○○君の解答用紙を盗み見たんじゃない?」
「でもやけに早く手を止めてたよ?」
「分からないところだけ見て、あとは勘で適当に終わらせたとか?」
採点した社員が、点数だけではなく、1問ずつ私の回答と京大院生の回答を照らし合わせて比較した結果、言語問題は京大院生の方が正答率が高く、非言語問題は私の正答率が高く、正誤の特徴が異なっていることがわかり、私の不正容疑は晴れた・・・らしい。
****
最終的に、インターン経験者の京大院生君は別の企業に就職し、不正疑惑をかけられた私の方がその企業に入社することになった。
学歴評価というほどのことでもないけれど、やっぱりバイアスってあるよね。でも、そんなバイアスと、実際の進路選択が違っていたというのも中々興味深い点だと思う。
やっぱり、就職って運とか縁とかタイミングとか、なんというかこう見えない何かによって繋がることってあるなぁと思う。
そんな思いでを、ふっと思い出した金曜日の夜。