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袁術陛下
2021年7月15日 21:59
なつかしい匂いがした。馴染みある鋭い匂いが。 暗闇に覆い尽くされていたはずの視界は、まばゆい陽光に包まれていた。そのまぶしさに目を細める。 混乱する思考をかろうじてまとめ、最後の記憶を呼び起こした。 最初に思い浮かんだのは、邪悪を形にしたような龍。そうだ、ニコル・ボーラス。 握り締めた黒き剣へラヴニカに生きる者の希望を全て載せ、あの邪龍に突き立てて――砕け散った。希望もろともに。