見出し画像

どんな人を選びたいかで、投票システムが変わる

 僕の毎度の主張は、人間は100人ぐらいの集団が基本単位として設計されているから、それを踏まえて社会制度を築くべきだ、ということです。さて、別の視点から、人間集団が100人だという結論が出ていて。二つあるんですけど。一つは、人類存続のために、どれくらいの人数が必要かということ。

 存続のために必要なのは2人じゃないの、アダムとイブじゃないのと思うかもしれませんが、それだと遺伝の多様性が失われて、人類は遠からず絶滅します。じゃあ、存続のためにどの程度の人数が必要かというと、100人程度。どっかの学者さんが計算して、98人だそうですが。例えば、宇宙船に人類存続のために乗っけて、どこかの惑星に移住するときに、最低限、何人必要かと計算したら98人だったそうで。

 似たようなモデルで、火星に植民する時に、どのくらいの人数がいたら自立的なコミュニティが出来上がるかというと、これまたどこぞの学者さんが計算して、110人だそうで。そのぐらいの人数になると、分業が進んで、持続可能な暮らしが出来る。生き延びるだけなら1人でも出来るでしょうが、人間的な暮らしとなると、110人ぐらいが必要だということです。

 遺伝的な多様性を確保すること。また、分業という観点からも、100という数字が出てきます。面白い。そもそも1人の人間が把握できる人数が100ぐらいですので、やっぱり、100というのは人間生活の基本単位だな、と、思いを新たにしたわけですが。ただ、僕も情報取得にバイアスがかかりますから。どうしても、自分に都合の良い情報は脳に残りますからね。というのは、差っ引いて想像していただきたいですが。


 さて、僕が最近、考えていることは、100人を基本単位とするのは良いんだけど(確信があるんだけど)、その先、人間集団を1000、1万、と増やしていくにあたり、どのような政治システムを組み上げれば良いのだろうか、ということ。僕は、100人集団から2〜3人の「政治家」を出して、その人たちがメタな視点、100人の「仲間」のためではなく、1000人とか1万人という「知らない人」も含めた視点での最適解を考えていくべきだ、という思いですが。問題は、どうやってその「政治家」を選べば良いかということです。

(この人は、100人のリーダーでは無い。リーダーとは別に、メタ視点に立った政治家が必要だということ)

 平たく言えば「良い人」を選びたいわけですが、じゃあ、どうやったら「良い人」を選べるのだろうか。話し合いでやるのか。でも、そうしたら声のでかい人が通りそうだし、意見を言いにくい。投票をするのか。でも、それだと人気投票になり、本当の「良い人」を選べなくなりそう。と考えた時に、良い人を選ぶのじゃなくて、この人は嫌だという、逆投票を取り入れた方が良い結果が出るんじゃないか、なんてことも思ったんです。

 例えば、選挙で10人の候補者から3人を選ぶとする。この時、投票方法によって、かなり結果が変わってくると思います。一番単純なのは1人1票で、一番得票数が多かった人が選ばれるというもの。これをちょっと複雑にすると、最低得票率を決めておいて、そこに達さない限り投票をし直していく。となると、足切りのように候補者が減っていくので、結果は多少、変わります。

 もうちょっと複雑にして、10人から3人を選ぶときに、1人3票を投じる。これまた、結果は変わるでしょう。もっと言えば、1人が10票を持っていて、それを自由に分配できるとか。5人に2票ずつ入れてもいいし、1人に10票入れてもいい。そして、先ほど言った逆投票というのは、こいつは嫌だという人にマイナス票を投じられる。その点数配分によっても、選ばれる人は変わっていくと思います。

 投票というのは、何か正しい方法があるわけじゃ無いんです。1人1票というのも、無数にある方法の一つ。で、あくまで印象ですが、1人1票という投票制度だと、魅力的な人、有名な人は票を集める。でも一方で、そういう人が悪い人(まぁ、悪の定義は面倒臭いのでスルーします)なこともある。その確率も高くなる、ハイリスク・ハイリターンだと思うんです。例えば、落とす人を決めるという「マイナス票」を投じるとなれば、おそらく、同じ人が(1人1票で当選する人と同じ人が)落ちます。光が強けりゃ影も濃い、ってことです。

 となると、そもそも「どういう人を選ぶか」という目的があった上で、「選び方」を決めるべき。推進力のあるCEOみたいな人を選ぶのか。それとも、決して間違いを犯さない人を選ぶのか。この2つで、選び方は違ってくるんです。こういう投票システムを研究している人はいないんですかね。どのような投票システムだと、どのような属性の人が選ばれるのか、という。ということで、そもそも、どういう人に導いてもらいたいかという目的があった上で、何かしらの「選び方」を決めるべきだ、ということです。

 僕は、これから必要なのは、とりあえず地球全体を持続可能にすることなので、ブレーキをきちんとかけられる人だと思っています。そういう人が世界を率いるべき。となると、現行の民主主義の投票システム、1人1票というのは、それには適していないと思います。じゃあ何が良いのかというのは、どなたか研究して実験してくれたら良いと思いますが。また、投票する範囲にもよりますからね。100人から選ぶのか、1万人から選ぶのかは、全然違う。そこを掘り下げていくべきだと思います。

 まとめますと、まず、どんな人を選びたいか。その選びたい属性を選ぶためには、どのようなシステムが良いか。それを選挙でやるなら、記名にするのか、無記名にするのか。投票権利者は、誰になるのか。何票、投じられるのか。マイナス投票できるのか。投票の母体となる集団のサイズは、どのくらいか。という知見を重ねた上で、さまざまな「選び方」をブラッシュアップすることが必要だと思います。はい。またあした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?