「引越し手伝って」といわれて「いいよ」と答えたら行き先は「島」でした。
「 今度さあ、引っ越すことになったんだけど引越し手伝ってくれない? 」
高校からの友人(以下、O)から頼まれて、気軽に「いいよ」と返事をした。
どこ引っ越すの? と聞いたら、「佐久島」とのこと。
島!?
Oが引っ越すという佐久島は、名前は聞いたことがあるけれど、私は一度も行ったことがない。
調べてみると、人口200人に満たないほどの小さな島。
なぜ、そこに引っ越すの!? と聞くと
「 なにもないところで生活してみたかった。」
そこで、なんの仕事をするの? と聞くと
「 まだ考えていない。飲食か民宿か、これから考える。」
普通、こんな返答をもらったら、友人として、大丈夫か? もっと考えてからのほうがいいんじゃないのか? とついつい余計なお世話をしてしまいそうになるのだけれど・・。
Oのことを知っている私としては、「いいねえ」済んだ。
その理由は、Oはこれまで約10年間、たった1人で飲食店を切り盛りしてきた経験があるから。
調理、買い出し、接客、集客などなど、すべて1人でやってきたO。飲食店がいかに不安定な商売であるかについてはみなさんのご想像通り。
コロナ禍はまったくお客さんが来ない日もあったらしい。
きっとハードでタフな10年間だったと思うけれど、それを1人で乗り越えてきたOなら、まあ、どこに行ってもやっていけるだろうな、という安心感がある。
もちろん、O自身も自信があるのだから行くのであって、(しかも奥さんもいるのだから)憧れのスローライフな田舎ぐらしをしたい、という安易な理由で引越しをするのとは違う。
「 行ってみてうまくいかなかったら、また考えるわ。」とO。
やってみて、うまくいかなかったら、そのとき考える。
当たり前のことなんだけれど、この感覚がわかるのは、お互いに起業しているもの同士だからなんだろうな、と思う。
もちろん、会社員がこの考え方ができない、と言っているわけではないのだけれど、傾向としては、起業経験がある人のほうが、この考えを自然に生き方に取り入れている気がする。
私はOとは正反対の性格で、私は几帳面で慎重。性格も内向的。Oはその逆。あまりに性格が違うので、噛み合わいことが多かったのだが、社会人となり、お互いに起業してから、不思議と噛み合うところが増えてきた。
最近、顔を付き合わせるようになってから、Oのほうから「お前も10年やってるからわかると思うけどやっぱり起業している経験があるやつは、どうなっても生きていく自信があるよな」と話してきた。
どうなっても生きていく自信、といわれてしまうと、その自信がまだ私にあるのか分からないけど、確かに、いまもし本業のセラピスト業で食べて行けなくなったとしても、他の仕事で食べいける自信はある。
会社員の頃はまったく違った。実際、勤めていた会社が閉業するというときに、私はお先まっくらになり、どうやってこれから生きていけばいいんだ? と真剣に考えてしまったぐらい。
会社員という働き方しか選択肢がなかった当時の自分にとって、いまの自分は驚くほどサバイバル能力が身についたと思う。
1人で傷だらけになりながら、道を切り開いてきた10年間は会社員の頃にはきっと味わうことのできなかったタフさを身につけることができた。
会社が潰れるというだけで人生が真っ暗になってしまっていた時の自分は、どれだけ視力が落ちていたんだか。
どうなっても生きていける、気がつけばこの自信が人生にどれだけ勇気と豊かさと広がりを与えてくれたことか。
この自信を少しでも多くの人に届けたいという思いで、いつもこのnoteを綴っております。
追伸:突然、佐久島にいくと行って、何をするとも決めてもいないOについてきてくれた奥さんが一番タフなのかもしれない。
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