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note小説 三十路のオレ、がん患者   第23回 嗚呼、暇人達よ

端から見て働き盛りの男が何日も平日の昼間にいるのは不自然に見えるだろう。

ネットで在宅ワークなんてあるが、そんな理解を平日ぼけーっと過ごす近所の年寄り連中がわかるわけがない。

会社員時代からそうだが、オレは監視されている事に疎い。

いや監視なんてドラマや映画くらいの話かと思っているくらいだ。


性格なのかもしれないが、周囲の目線を気にしない方だ。

隣近所から見られている事に気がついたのは、夏だ。

オレの部屋にはテレビがないから母の部屋のテレビで朝ドラを見ていた。


ある日、気がついたのだが朝ドラのOPの度に隣の雨戸が開く。
まあ時間的に不自然ではないので気にしてなかった。

隣の家とは、同級生の塚田の家だ。

同級生の家と言っても今はいない。

連れ子同士の再婚のせいか荒れた家だった。

後述する機会があるだろうが、このオヤジが厄介者だ。

この後妻も厄介だ。


朝ドラがきっかけで気がついたのだが、よく考えてみるとオレが動いて物音を出すたびに隣で雨戸や網戸の開け閉めの音がする。
復唱するが、最初は気にしてなかった。

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