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夏が集まる。

至る所に穴。
全部、セミが出てきたところ。

日陰を探して公園を歩いた。
よくもまあ、こんな固い土に穴を開けてでてきたもんだ。

大きなハルニレの木は、葉っぱの裏それぞれにセミの抜け殻がくっついていて、まるで実っているみたいだった。

その木だけ、やたらと多かった。

見上げていると、隣の夫が「うわっ」と声を上げた。夫は、私の顔近くの木の幹を指した。

叫んだ。

そのハルニレは、虫にとってすごく豊からしい。

カナブンやらコガネムシやら、大きいのやら小さいのやら。大集合してた。その数、十を超える。

なかなかショッキングだった。

この前実家に帰ったとき、娘が、祖母のとっておいた菓子箱を大事に抱えてた。それはもう空箱のはずだった。

何も知らずに開けたら、セミの抜け殻、6体。

あれも結構ぎょっとしたけど、それを上回る衝撃。

生きてるから動く。
群れて蠢めく甲虫。

近所の大きな公園は、暑くてもそれなりに人が多かった。

じゃぶじゃぶ池には人が集まる。
ハチも水を飲みにやってくる。

暑さにやられる前に帰る。
大きな公園の駐車場には、次から次へと、ファミリーカーが出たり入ったり。

「あ。」声が漏れた。

3台、黒のワゴンが駐車場出口に向かう。
車体が陽の光を反射して光る。

メタリックな背中。
巨大な甲虫を想わせる。

さっきのハルニレ、フラッシュバック。
小さなトラウマ植え付けられてしまった気がする。




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