見出し画像

ウクライナ危機にこそ子どもと平和を探究したい

ある日、うちの風呂に世界地図が貼られてました。なんかの付録だったみたいです。5歳の息子が初めてじっくり見る世界地図に興味津々でして。湯船に浸かりながら、いろいろ聞いてきます。

「ロシアって大きいよね」
「そうそう。んでね、このウクライナっていう国が今大変なのよ」
「ウクライナ?どこ?あぁ、この国か」
1月のことだったと思います。ウクライナ情勢はすでにじわじわ悪化していました。

「なんで大変なの?」
「昔はロシアの仲間だったんだけどね。アメリカの仲間になるって言うから、ロシアが怒っちゃったのよ」

アメリカ?どれ?
これ。こっちの大陸のこの大きいの。
ずいぶん遠い国と仲良くなったんだね〜という反応。
「それで?」
「それでロシアが『アメリカの仲間になるんだったら殴るぞ』ってウクライナを怖がらせてるんよ」

そりゃよくない、という反応。
「パパは戦争だけはしちゃいけないと思ってる」
ふーん。
「ウクライナはどうすればいいと思う?」
「戦うしかないよ」
「うーん。そしたらでも戦争になるよ」
「そっか」
うーん。考える息子。

「じゃあロシアに話しかけるしかないね」
「なんて?」

やめなさい!!!!ってね」

そいつはいい案だ。よく思いついたねぇ。タオルで体を拭きながら頭をぐりぐり撫でます。「それでも殴ってきたらどうする?」と、さらに聞きかけて辞めました。大人も答えが出せない。

殴られるかもしれないけど、話しかけ続けることが大切なんだ。それだけは子どもたちに伝え続けたい。

その想いも虚しく、1ヶ月後、ウクライナは殴られてしまいました。

ロシアの軍事侵攻をテレビで見て、涙が止まりません。探究のその先にあるのは、持続可能な世界の実現なんだよな、と自分にいい聞かせ、探究の最上位目標を見つめ直していました。

2月25日、知り合いの学校の先生からメッセージをいただきました。私たちは子どもたちと一緒に探究学習に日々取り組んでいます。探究のその先かぁ。

ひとつ言えることは、今こそ「平和って何?」を探究するときです。「答えの出ない問い」は探究学習の母だからです。子どもたちに「プーチンはやべぇ。ロシアが悪い」と教えて、終わらせてはいけません。その短絡的な思い込みが、次の偏見や差別などの悲劇を生みます。

涙を拭いて、子どもたちと一緒に考えるんです。「核の抑止力って何?」「総動員令って何?」「外交って何?」「帝国主義って何?」「儲かる人がいるなら誰?」問いかけることを辞めちゃいけない。そう自分に言い聞かせてます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?