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中国で結婚登記してみた。

結婚手続きの為渉外婚姻登記所へ

今からN年前。(この言い方もう最近聞かないよね?)

私は当時の彼女と結婚する(婚姻登記)べく、彼女の実家の婚姻登記を管轄する江西省南昌の民政局に向かった。上海虹橋から高鐵で3時間程で南昌に着き、隔世の感を禁じえなかった、江西はこんなにも近くなったのか……昔は火車かバスしか移動手段がなかったのになぁ…。

基本、中国籍の方が外国籍と結婚する(婚姻登記)するには、各省の省都の民政局の専門の受付に行くのだが、省によって民政局の中にあったり、民政局とは別の名前で存在して、場所も別の所にあったりする。私の妻の場合、後者であった。(何故、そんなことを知っているのかについては後述することとする 笑)

朝一の高鐵で来たが、午前中の受付には間に合わない為、とりあえず南昌西駅から地下鉄に乗り市内へ。最寄り駅で降りてから、腹ごしらえとばかりに南昌名物の米粉(ビーフン)のお店で、炒米粉や粉蒸肉とかこれぞ江西という料理を腹がはちきれる程食べた。時間も丁度良い時間になったので、DIDIで専車を呼んで目的地へと向かった。

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写真の3倍ぐらいの量で出てきて20元でした。多過ぎやろ笑

色んな意味でカオスな「渉外婚姻登記所」

目的の場所がまた位置的に微妙なところにあって(八一大道96号)、バイパスと高架の入り口近くにあってタクシーで行くのにも、歩いて行くのにも難儀した。やっとのことでたどり着いたら、26階とな…エレベーターもぼろいし、ほんとにここにあるのかと心配になってきた。

26階に到着。うおっ……天井低くて電気も付いてない…え?ここ廃墟??あ、看板がちゃんとある、「江西省涉外收养和涉外婚姻登记中心」って、名前長いんだよ(笑)へえ〜結婚登記だけじゃなくて、養子関係の手続きもやってるのね。

結婚登記はどこかと聞くと、あそこだと指をさされ、その方向を見てみると、うわっ…結構な人が並んでる…流石外国籍専用の登記処なので、色々な国籍の方がいらっしゃる…

書類に必要事項を記入し廊下で出番を待っていると、後ろから英語の会話が聞こえてくる。「What the fuck?なんでこんなに時間がかかるんだ!俺はこんな暗くてしけた場所は全くごめんだ!さっさと手続きさせてくれ!FXXXXXXCK!」後ろを振り返ると、ブーデーのアメリカン男性とすらっとした江西女性のカップルが。女性は南昌出身で、彼の中国語教師らしい(笑)アメリカン男性の出身地はどこか忘れたが、とにかく「FXCK」とか「WTF」を連発してて、アメリカ人らしいなあと感心した(笑)

私の前に並んでいたのはシンガポール人だった。いかにもなシンガポール英語を喋っていたが、片言でミンナン語で話しかけたら通じたのでこっちがびっくりした(笑)待ってる間前後の人達と会話してると一時間ほどでやっと自分たちの番が回ってきて、部屋の中に入って椅子に座って待つように指示される。

私達の前で手続きをしていたのは、一人の江西男性。あれ?新婦は??と思って、登記官と彼の会話を聞いていると、その内容に驚愕した。新婦はまだベトナムにいるらしい。Wechatのビデオチャットを通じて、新婦、登記官、通訳が登記手続きを行っているのである(笑)こ、これはおもろいwww

話は更に具体的な話へと進んでいく。

登記官「新婦のホニャラホニャラさん、確認しますが、あなたは誰かから売られてこの男性と結婚する羽目になったわけではないですよね?本当にこの人と結婚していいんですね?人身売買ではないかどうかの確認です。分かりますか、非常に大事なことですから、正直に正しいことを話してください。」

えええっ……!この時代にまだそんなことあるのかよ…内容が衝撃的過ぎて何が何だか分からんぞ…

通訳を介して話を進めていくため、思いのほか待ち時間がどんどん伸びていく。上の登記官の人身売買ではないですね?という質問が少なくとも5度に渡って確認がなされていた。

やっと彼の登記が無事に終わり、やっと自分たちの番だと思ったら、登記官がトイレに行きたいからちょっと待ってくれと(笑)その間、一人で婚姻登記を行った彼に色々質問攻めをした。人身売買ではないようだが、江西〜ベトナムルートみたいなのがあって(一昔前の日本の新潟〜ハルピンルートみたいな)独り身で結婚相手がいない男性が、ベトナムから女性を「輸入」して結婚することが結構あるらしい。ベトナム以外にもラオスとかミャンマーとかもあると言っていた。ちなみに、費用はぴんきりで5〜10万元ぐらいが相場らしい。いや、人身売買やないかい(笑)

まさかの書類不備でてんてこ舞いに

登記官がトイレから帰ってきて、やっと自分たちの登記審査が始まった。途中までは準備した資料に不備なく無事に完了できそうだと思った矢先、「あら?この日本語から中国語の翻訳の資料だけど、この登記所指定の翻訳会社のものじゃないわね?これだと登記出来ないから、今からここに行って翻訳書類にその会社の印を押したものをもらってきて頂戴」と言われ、動揺する私と妻。(そんなのHPに書いてねーじゃねーかよ…)

場所を調べると、登記所からそこまで車で少なくとも30分近くかかる。往復で1時間、登記所は17時30分で終了する上手続きの時間を考えると16時には戻ってこないといけない。うわ、もう15時になる。すぐにDIDIで車を呼んですぐさま何とかという大学へ。

何とか大学(名前がちで忘れた)の中にその謎の翻訳会社はあった(笑)自称10カ国語出来るというそのおっさんに事情を説明し大至急でやってくれるようお願いする。ところが、自分の語学レベルを誇示するおっさんが中々作業に入ってくれず、思わず「お前はよやれや!こっちは急いでんねん!」と関西弁でまくしたててしまった。おっさんはぽかんとした顔を一瞬したものの、「メシ、メシ、メシ、メシ」とかわけのわからんことを言いながら作業開始。5分で完了した(笑)

急ぎ婚姻登記所へ戻り、手続きを継続。何とか無事に審査を通過。結婚証に張り付ける写真を提出し、結婚の誓いの場(部屋)へ。他の省はどうか知らないが、当時はビデオを撮られている中結婚する二人が誓約書を読み上げるのである。このビデオを「証拠」として、夫が不貞を働いた際の訴訟の材料とされてしまうそうだ(笑)誓約書の中で一文字読めない字があって焦ったが、登記官から読み方を教わり(笑)何とか誓約書を読み切った。

「恭喜〜!」

と登記官や関係者から祝福され、結婚証(私の分と妻分2部)や結婚生活の指南書やら記念品やら先ほどの誓約書を読む場面の動画をUSBにして渡された(笑)

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※ネットで拾った遼寧省の写真ですが、ほんとこんな感じだった。カメラに向かって誓約書を読み上げる(笑)

何とか無事に手続きを終えほっとする私と妻。不意に時計を見るともう17時前。やばい、18時過ぎの高鐵で上海に帰るのに、今すぐ出発しないと間に合わない(笑)もう遅いし今日は泊まって明日帰ろうと提案する私に、妻は「今日帰るったら帰るのよ!南昌なんか何もなくて面白くないじゃん、私は今すぐにでも上海に帰りたい!!」と捲し立てられたので慌ててタクシーで南昌西駅に向かったのであった…

こうして無事に晴れて夫婦となった私と妻なわけだが、登記所の関係者の方々皆笑顔で厳正ながらも優しさがあふれる人たちで非常に好印象だった。心から祝福してくれている感じが何とも言えず、感謝の意でいっぱいになった。改めてありがとう。

謝謝。


追記:えっと、後述すると書いた件については、また気が向いたらまた別のトピックで書きます。ええと、すいません。

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