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中国人妻から考える中国人的「言霊」な世界

華村氏の下記NOTEを読んでふと思ったことがある。

私の妻は、とにかく日本で言う「言霊」的なことを信用している。口から出た言葉は全ていずれ実現して、いずれ自分に返ってくると。だから、汚い言葉は使わない、人を罵ることはやめようね、とちょくちょく妻から指導が入る。私の妻は傍から見ていてもかなりの人格者である。

善之家必有余不善之家必有余殃」《易经》より

※徳を積み重ねている家には必ず幸せが訪れるだろう、逆にそうでない家には必ず不幸が訪れるだろう、という意味。

これは私が大好きな言葉の一つだが、私の「口」から生み出される言葉による徳の積み方には、まだまだ改善の余地があると思っている。

つまり、中国語で言う「口徳」である。

日本語で言うところの、「口業」(くごう)である。要は言葉によって善悪を行うことを指す言葉だ。

中国語界隈の話で言うと、「靠」「卧槽」「我去」「傻逼」「TMD」「幹」等の汚い言葉を使うのをやめて、人をどうのこうの言うの止めましょうということだ。

歩行者が横断している際に止まらず突っ込んでくる安徽省・河南省ナンバーや公共バス、皆が並んでいるところに横入りしてくる人、禁煙のエレベーター内でタバコをふかす人、トイレの便座を上げずにそのまま小便をする男性等、国や国籍を問わず、毎日の生活で不愉快なことやルールを守らない人達と必ず出くわすことになる。

その度にイラっとして注意したり毒を吐くのは心情的には仕方ないことではある。ただ、必要以上に相手を貶めて汚い言葉を使うのは良くないと妻からは滔々と言われる。

仮に、家族で一緒にいる時に、つまらんおっさんに注意して襲い掛かってきて家族が怪我したり、死んでしまうようなことになったらどうするつもりなのか、あんたは格闘技やってるから小混混なんか朝飯前と考えているのかもしれないけれど、家族が一緒にいるということを頭から忘れてはいけないし、仮にあなた一人であっても、相手が斧とかナイフ持っててやられてしまったら、私達家族が路頭に迷うことになる。それを常に理解しておきなさい、と妻に諭されるのである。

全く妻が言う通りで、私は妻と出会ってから「口徳」を意識するようになった。勿論、妻から言わせればまだまだなのだが、随分変わったなと自分でも思う。

※ちなみに、義母も極度の「言霊」信仰者である。口からマイナスな言葉を発するのを極度に嫌う。彼女の場合妻と違って、少し宗教的な意味合いが多分に含まれているような気がする(土着信仰的な何か)。ただ、妻と共に人格者であることは間違いない。


「身から出た錆」これも言い得て妙である。全ての結果は、全て自分が原因となっている(ベルセルクの因果律かよ)。大学時代のゼミの教授は、いつも口を酸っぱくして言ってたな、「今起こっている現象の全てに原因が存在している」と。だから、原因を探ることをしなさい、考えなさいと。

つまり、普段自分が口から発している言葉が、今の自分を作っているのである。なので、華村氏のNOTEにて記述されている「死への忌避感」は、如何にも中国人らしい合理的なものであると考える。誰も好き好んで死にたくはない、そりゃそうだろう。

歴史を見ても秦の始皇帝が不老不死を望んでいたことは有名な話だし、生きられるものなら倚天屠龙记の张三丰みたいに100歳以上生きていたいと思うだろう。


これからも継続して「口徳」を積めるよう精進していきたい。


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