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既読書紹介vol.5

今回は、垣谷美雨さんの
『姑の遺品整理は、迷惑です』をご紹介。

まだ両親が健在でいてくれているので、遺品整理に携わったことがない。
実家には祖母がいたが、6畳の部屋に収まるだけの荷物だったので、その時も母がちゃっちゃとやってしまったので、私の出番はなかった。

知り合いには、"お片付け"を生業にしているかたもいるので、この遺品整理の大変さを耳にすることもある。
高齢・ひとり暮らしだと、50年も60年も前の着られない着物や引出物の類、使わない空き箱なんかが大量に発掘されるそうだ。

実家の収納環境もかなり注意だと思う。
一見、空間に物を置かないようにしているので見た目綺麗だが、
ひとたび押入れを開けるとぎゅうぎゅうに物が詰め込まれている。戸棚もしかりだ。
冷蔵庫も1週間買い物に行かなくてもまったく平気なほどに詰め込まれている。どこに何があるのか皆目検討もつかないジャングルを見て、苦言を呈したら、母からは
「(食料品の)買い物は楽しみなのだから、しょうがない」と開き直られてしまった。

この物語は
物・モノに溢れた姑の部屋の片付けをしかたなく始めるところからスタートする。
溢れる物にうんざりしながら進めるうちに
姑が生きていた証・絆を見つけることになる。
今は断捨離だのミニマリストが流行り、物を持たない生活の快適さを語るが、
もし、そんなあらかじめ片付いた部屋であったなら、故人との間にあったことも無頓着に片付けてしまいそうな気がした。
大量のよくわからないものを文句を言いながら片付けることで、
故人の大切にしていたもの、好きだったものをもう一度知ることでき、心を整理していけるのかもしれないと読みながら思った。
実家のものの多さも、これから来るであろう別れの時のための必要備品に見えてきたから不思議である。

この本を読んで、実家の押入れに溢れいる物たちが愛おしくなった。

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