椎葉の冬は神楽 椎葉神楽で見つめ直す、暮らしの中のしあわせ
12月に入り、椎葉村もぐっと寒くなってきました。
「宮崎県だから、暖かいんでしょ?」と思われる方も多いようですが、椎葉村は山の奥の奥、それも秘境と呼ばれるような山間地ですから、頻繁に雪が積もる地域も多く「そろそろ車のタイヤはスタッドレスに履き替えないと」なんて話をしているシーズンです。
さて、椎葉村の冬といえば、なんといっても「神楽」。毎年11月の終わりから12月にかけて、村内のあちこちで神楽が奉納されます。
村内26の集落に伝わる神楽の起源はわかっていませんが、山々に隔てられたその地形からかどれも独自の進化を遂げながら継承されてきました。集落ごとに舞いの演目や装い、スタイルが異なり、地域性が色濃く出るのが椎葉村の神楽のおもしろいところ。昭和期の専門家による調査では「民俗文化史上の大発見」とも言われたそうです。
そんな26カ所全ての神楽は総称して「椎葉神楽」と呼ばれ、平成3年に国指定重要無形民俗文化財へ登録されました。
皆さんにも少しだけ椎葉神楽の雰囲気を味わってもらえるよう、その一部をご紹介します。
▼古枝尾神楽(不土野地区)
▼嶽之枝尾神楽(小崎地区)
「幼い頃から聞いてきた神楽の太鼓と笛の音を聞くと、『やっぱり自分の地区が一番いいなあ』と思うよ」と椎葉生まれのある方がおっしゃっていました。
自分の生まれ育った場所が、やっぱり好き。
また今年も、みんなで神楽ができる。
冬の寒い夜に、集落の皆で同じそばを食べる。
そんなことが、実は一番のしあわせなんじゃないだろうか?
不思議と神楽の夜はそんな気持ちにさせられます。
やっぱり、長い間途切れることなく大切に受け継がれてきたものには、それだけの意味があるようです。
執筆・中川薫(https://note.com/kaoru_nakagawa/)