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やる気スイッチはどこにあるの?

このあいだ、大学時代の知人に誘われて参加したオンラインワークショップで、『やる気スイッチはどこにあるの?』というお題で、10年間の家庭教師経験で学んだことを発表する機会をいただきました。

前半は今まで教えた生徒の中から個別ケースをもとにした体験談。
後半はやる気スイッチの探し方について、語らせてもらいました。
そして、そのあとは参加者のみなさんからの体験も含めた楽しい座談会。

家庭教師は、4足歩行のうちの足1本分なので、のんびりしたペースだけど、10年で60人程度教えてきたので、それなりに学んだこともたくさん。

その学びがどうやら子育てや会社勤めにも応用がきくらしいと、ワークショップの参加者のみなさんからの声。

それなら、このへんで少しずつでもアウトプットしてもいいのかな?と思い、noteで公開させてもらおうかな。と。

これからの10年の目標は、担当した生徒のやる気スイッチを漏れなく押す。そして、その方法を多くの親御さんともシェアして、子供たちが学習意欲を健全に花開かせ、学習の楽しさを知ってもらうことです。

やる気スイッチの探し方

ラポールを築くこと。これが大前提。
単純すぎる答えかもしれないけど、褒めのばしが基本。

最近、子供は褒めるな、っていうのを聞くが、褒めるのは上から目線だから、ダメ、褒めすぎると、それが褒美となり、最初は効果があるが、褒美がないと動かなくなってしまうから、ダメ。という意味らしいけど、普段から子供と並走する関係を保っていれば、心からの称賛はちゃんと伝わる。
(あくまで並走関係。頑張って褒めてもらう良い子でいないといけないと思わせるような上からの褒め方は厳禁)

褒めたとき、それが褒められるに値するかは、本人が一番よくわかっている。

だから、本人が持つ実力の少し上のインプット(i+1)を与えて、努力すれば達成できるようにし、それを繰り返すのが、肝心かつ難しいところ。

成果を出せたのに自信が持てないケースで、性差の範囲を超えるものは、生徒本人の自尊心が大きく損なわれているケースに多い。
その場合は、自尊心を取り戻し、自己評価を正しくできるようにする必要があり、家族の理解と協力が不可欠。

やる気スイッチを入れるための指導法

初回、好きな科目・嫌いな科目・苦手ポイント・目標等を詳細に聞き取り。
ここで聞き取った内容が、その子の"i+1"を見つけるための貴重な情報になるため、とにかく念入りに。

英・数・国のうち、とくに苦手科目は、極力暗記に頼らない勉強法を指導。
早いタイミングで結果を出させるようにし、成功体験を持ってもらう。

暗記しない
生徒にもよるけど、基本的に暗記は楽しくないし、今の教育は詰込みよりも考える力が重要という考えなので、暗記は極力さける。

論理による謎解き推理
数学や英語はもちろん、論理力さえつければ、知らない問題も論理で解き進めることができるし、推理を働かせて問題を解くのは、ミステリーや探偵小説を読むように、問題を解くこと自体が楽しみになる。

文章没入
生徒によく、「文章にダイブして」という表現を使うんだけど、国語や英語はとくに文章そのものを深く読むことで、筆者や物語の展開を心に残す。
参考書によると、接続詞を丸で囲む、キーワードに線を引く、などのテクニックが書かれているけど、印を入れることに夢中になって、文章を深く読めていない子もいるので、まずは深く文章を読む。とくに、相槌や突っ込みをしっかり入れながら読むことで、記憶にしっかり残して、問題と本文の間を何度もいったりきたりしなくてもいいようにする。

著者の論理分析
文章にダイブできるようになれば、文章を書いた人物の意図や論理の展開が見えるようになる。そこで初めて、必要であれば、印を入れてもいい。
必要なのは、問題を解くことではなく、文章の意図・論理を深く理解すること。そうすれば、たいていの問題は答えの選択肢を見る前に答えが頭に浮かぶはず。

男女の性差について

実は最初は男女差なく平等に、をつとめていたんだけど、個性の差というより、性別による差のほうが大きく見え始めて、無視できなくなってきた。

男女の差は、大丈夫?の問いかけへの返答に一番大きく表れている気がする。

男の子と女の子では、『大丈夫』の基準が違う。

男の子は、明らかに大丈夫じゃないのに、大丈夫という場合が多い。
女の子は、明らかに大丈夫なのに、大丈夫といわない場合が多い。

女の子は、弱点を丁寧に繰り返し勉強することで、苦手を克服する強さを持っているが、効率が必要となる受験では不利になる場合もある。

男女ともに、自分の弱点・強みを正しく評価し、不安がりすぎない、過信しないように、常にバランスを保つようアシストする必要がある。

この男女の性差が、母親と男の子の関係、母親と女の子の関係、において、かなり違った問題が起きる原因のひとつかも。
この点については、また別の機会に考察してみたい。

今までの経験からわかったこと

全ての子供は生得的に学習意欲を持っていると思われる
全ての子供が言語的能力を持って生まれ、親からの話しかけにより、親の話す言語を習得する。しかも、100%の成功確率で。という、チョムスキーやピンカーが主張する生成文法と同じように、学習意欲も全ての子供がもって生まれてくるに違いない。

ただ、そのモジュールを発動させるためには、子供が話せるようになるまでの働きかけ同様、丁寧で根気のいる働きかけが必要。

話し始めた幼児に「もっと話しなさい」というのと同様に、学習習慣がついていない子供に「もっと勉強しなさい」というのは間違ったアプローチ。

全ての子供がもって生まれた学習意欲を100%発動させるための方法はまだ見つかっていないけど、いつかその方法を確立したい。

健全な状態なら中高3年生に上がるタイミングで受験勉強のスイッチが入る(先輩・友人・クラスの緊張感伝播。公立校でも問題なし)

親への反発から勉強しないケースあり。「勉強しなさい」を連発すると逆効果

家庭環境によるハイリスク群とローリスク群がありそう

 
やる気スイッチが見つからない・機能しないリスクがある家庭

ハイリスク群
父親が高学歴、もしくはプライド高い。
でも、教育は母親任せ。かつ、母親が仕事で忙しい。
子供 (長男・長女に多い) が宿題をしない。塾から帰ったら、
ゲーム・スマホばかり。それを見て、父親が母親になんとかしろという。

→ 会社でいうと
トップが、管理職やコンサルに丸投げ。
問題が発生。部下と上司の意思疎通に難あり。中間管理職に過剰な負担。

→ 残念な会社・上司のパターンに似てる。(実際、部屋の空気が似ていて驚く)

ローリスク群
両親とのコミュニケーションが多い。
お互いに言いたいことを自由に言える。
子供に主体性を持たせて任せている。

このような理想の家庭は、両親の学歴問わず、存在するが、自営業に多いかも。
家庭教師先に比べ、ヨットスクールに通う生徒の家庭に圧倒的に多い。
両親の時間に融通が利きやすいのも、一因のような気が.. 
(リスク対応の速さ、大切にされてる感など)

→ 会社でいうと
フラットな組織で自由に意見交換。
業務において個人裁量の範囲が広い。
責任の追及をせず、トラブルには部署間で連携して解決。

→ 優良企業のパターンに似てる。

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