企画演劇集団ボクラ団義暫定最終公演 観劇記録
『耳があるなら蒼に聞け~龍馬と十四人の志士~』
『ハンズアップ2022』
暫定最終公演の2作品を観劇しました。
思い入れの強くて、好きだと周りに公言していた劇団なのに、久しぶりになってしまったことに申し訳なさと後悔を感じつつも、やっぱり観に行ってよかったと強く感じました。
これまでのボク団への想い
私が観劇を趣味にするようになったきっかけがボクラ団義です。
私がその頃SNS上で気になっていた役者さんがおり、私がついに観に行けるとなった時期に客演でボク団に出演されました。
確かに元々演劇部で演じていたので演劇というものへの興味は大いに持っていたのですが、実際に小劇場にて目の前で繰り広げられていた公演を観て、その世界に引き込まれました。
今思うと、ボク団の観やすいながらも深く丁寧な演出だったから、すぐ好きになれたのだと思います。そして、その頃のボク団は中高生に¥1,000でチケットを売って下さっていたので、私にとってのきっかけになるのは必然だったのかもしれません。まだ中学生であり、初めて小劇場に入るため、通路側の席にしてほしいと備考欄に記入したところ、最前の端に席を取ってくださったこともちゃんと覚えています。
そこから私は、お目当てだった役者さんを応援して、劇場に足を運ぶようになりました。また、この作品で興味を持った別の役者さんがまたボク団に客演される時に観に行きました。
ボク団が終演後に面会を行っていたのも私には楽しくて思い出の時間になっています。
ボク団2作品目でお目当ての役者さんに声をかけてパンフにサインをいただきたかったのですが、ソワレだったため早々に帰り支度をされていたらしく、私がロビーでキョロキョロしていたら別の客演さんが呼んできてくださり、わざわざ私のために出てきていただいたことがあります。呼んできてくださった方には頭が上がらなかったですし、ご家庭に早く戻りたかったところを寄ってくださったのも嬉しかったですし、そんな温かい座組であることにも感動しました。
好きすぎてDMは取ってたし、部活の夏休みの1分間スピーチで紹介するほどだったのに、結局ほとんど観ず……。最終公演とのお知らせを見て、行かなくては!!!!と思ったものの、絶望的な金欠学生なので最初は行く気にならず。しかし、今観たい作品の中で死ぬ時に観なかったことを後悔しそうな作品は観ようと決め、先行最終日に1公演、耳蒼のチケットを取りました。
2作品を観て
最近専ら60分×2幕の舞台に慣れてしまい、2時間強を耐えられなくなっていたのですが、ボク団の観やすさと客を惹き込む演出や構成、特に緩急の付け方がやっぱりすごく私に合っていて、舞台上で起こっていることをとらえ続けることができました。
耳蒼を観て、これはなるべく空席を作りたくないという謎の使命感を覚え、純粋に最後にこんな高い熱量で作り上げているならハンズアップも観たい、時間空いてるのに観ないのはもったいないと思い、しかもちょうど真ん中辺りの座席が取れると気づき、お金が無いのにチケットをすぐに取りました。
2作品共観劇して、改めて演出とそれを一丸となって形にする役者陣と裏方さん大好き〜〜となりました。このnoteそれしか言ってないな。
ボク団のOPが好きで、今回も1つ1つの動きに意味を持つ、スタイリッシュな振り付けがめちゃめちゃ好きで、これこれ〜〜!!と思い、既に泣きそうになりながら観ておりました。
本編中にあるダンスも今ここにこれを入れる意味というのを感じさせられて、そこで見ていてもここまでとこれからの展開や分岐を汲み取ったが、全てがわかった上で改めて見たいと思う部分の1つです。
スクリーン使いが本当にプロで、スクリーンの出し入れがめちゃめちゃスムーズで的確。あれ上からなのに、戻るのに滞りがなくてどうなっているんですか?? かつ、使い方がそれぞれの作品で全く違くて、登場人物が多く、時代の流れがある耳蒼はストーリーを整理するために文字とナレーションを合わせて用いられ、ハンズアップは照明効果の一部として世界を分けるために使われることが多かった記憶。このように、それぞれの作品に合わせて持ち物の使い方を変えているのが、2作品同時上演していることにより、よくわかり、感心しました。
あと舞台の使い方がすごく良い。高さも奥行きも最高。それを生かした演出もあり。こんなに空間を使いこなすことある?とずっと驚いていました。
耳蒼について
改めて、昔の内容の話であり、登場人物が多く、土台として読解しにくい脚本だが、それを客席に上手に丁寧に伝えながら、人物それぞれの考えや背景の深みを持っていて、まずそういう点においてすごいと感じた。
そして、何よりも感想に残しておきたかったのは、最後の文字のことである。
脚本をどの時点で決めていたのかは知らないが、今の情勢と、今後の私たちの社会に強いメッセージを持っていることに気づいた。
確かにそうである。龍馬の言っていることはいつの時代においても間違っていることではない。そして今回も同じ未来を望んでそれぞれが立ち上がった結果のはずだった。
最後に戦いは今もなくなっていないという文字を見て、ここまで観てきたものに対する感情がグワっとあふれて、そうだよねと、そのために動いていたんだもんねと腑に落ちた。
今井を中心に真面目に時代をさかのぼりながらも、たまに挟まれるコミカルなシーンのメリハリがすごく好きでした。楽しかったです。
(観劇してから時間を置きすぎて、正確なストーリーがよみがえってこなくて濃い感想が書けず、申し訳ない……筆が遅いのが今の改善点)
役者さんに注目すると、やっぱり沖野さんかっこいい~~となっていた。龍馬役が似合う。ブロマイド買いそうになったランキング1位。龍馬の執着をしないようなふるまいが見ていて気持ちよかった。空さんの道着と一つ結びすごい好きです。龍馬との関係性と想いの描き方が素敵だったな。春原さんってやっぱり舞台にいる必要のある方だなって思いました。乙女がいるから土佐で龍馬たちを待つみんなが頑張って生きられるのだと思う。内田さんっていいよね(すべてが伝わりそう) 左之助とおまさちゃん大好きだから、平和な世の中で幸せになってほしかったな。見回り組や新選組の一人一人にも背景が見えたのが、本当に丁寧でよかったです。舞台上大荒れだったね。
ハンズアップについて
こちらは打って変わって現代劇。というか夢の中。きっと誰も知らない場所。
伏線張り巡らされすぎでずっとアンテナ立てて観ておりました。
個人的にはこっちの方が満足度が高いから、チケット勢いで取ってよかった。
確かにずっとペナルティとか今の状況を打破するものとか言っていたけど、それが何かは言われていないし、誰一人確かなことは知らなかった。私は絶望を打破するということは死んでこの世界から逃れられるということなのではないかと考えていたが、むしろみんなが既に死を選んでいたというわけでしたね。
きっとこうして絶望を機に自ら死を選ぶ人は少なくないのだと思う。だけどこの話のように希望を持って生き返れるのは空想だと思う。これを観ても、きついものはきついけれども、死んでから生きる希望に気づいたり、伝えるべきことを伝えたりするくらいなら、日ごろからその時を大切にして、生きていきたいと思った。
ハンズアップに参加した人と関わったことで命の重みを感じることができた医者がいたが、生きていて生きることの大切さや重みって感じられる機会はほぼないよなと少し共感してしまった。
最後に安里にのっかってゲームをリタイアする場面、もうこの際だからと少々自暴自棄になりながらも、今自分がやるべきことを見つけて手を挙げていった姿がみんなかっこよかった。その中でまだ私は残っていたいと素直に伝えた佐知川の姿もかっこよかった。ここでみんなが戻るのが最善ではないことは私も感じていた。
でもその後のゲームで何かに気づいたのかな、佐知川も手を挙げたことがうれしかった。あれだけマイナス思考の彼女が何かプラスを見出せたなら、それに向かって生きてみてほしいから。
序盤はこの脚本気分悪くなるし重いしどうしようかな~と思っていた(すみませんでした) 中曽根は佐知川をずっと煽るし、佐知川は根っからのネガティブでマイナス思考で、白金は何もしないのにずっと声だけは大きいし、鬼怒川はテレビとかずっと言っているし。
だからこそ、時間の経過と記憶の復元とともにお互いの心が和らいでいく様子が本当によかった。中曽根が対話できるようになったのがすごくよかった。佐知川は「生きていてもいいですか」と言ったあたりからずっと信じていたよ…… 特に鷹野が虚言癖なことを周りが受け入れて、温かく接するようになっていたのがうれしくて泣きそうだった。
かごめかごめで物部が暁美を後ろにして、泣きだすシーン、泣かない人いる???? ずるいっすよ久保田さん…… 本当にひどいことをしたのにこうして受け止めてくれた暁美も、暁美を追ってしまった物部も愛おしくて、特にこの二人を観て、日ごろの対話の大切さを感じた。
初めから物部に少し冷たいけど、話はできる暁美はそういうことだったんだね。
伏線の貼り方が丁寧で、特に橋本がNAOTOになにで絶望しているのかを打ち明けたという描写でピックを投げる動きをしていたのが、後々すごく納得していました。あと橋本がカメラを異常に気にするのとか。
役者の皆様へ。牧村さんがなぜ自殺しようとしたのかを打ち明けるところすごく好きでした。そういうことか~とひっくり返ってしまった(ひっくりかえっていません) 高橋さんの立ち回り方、耳蒼でも感じていたが、絶対に必要だけど他の役を立てて行く感じで逆に惹かれます。春原さんもこちらでも絶対に必要な立ち回りしてて、ありがとうって思っていました。緑谷さん、ビジュも演じにくいであろう虚言癖もすごく素敵でした。普通に可愛い。
すごく重くて、人間って感じの内容で、私は好きです。
生き返ってからのみんなの表情に救われました。
最後に
こんな素敵な劇団が休止してしまうなんてとても寂しいですが、個々の力ももの凄いので、またどこかの劇場でお会いしたいと思います。
そして"暫定"ですから、その行間にほんの少しだけ期待を込めて。
観に行ってよかった!!これで私は後悔なく生きられます。
ただ改めて、死んでから生きたいと思うことのないように生きていきます。