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30歳で自立したくなった話

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5年神様に飼われていた女が30歳になったら急に自我が芽生えて自立したくなった話です。思ったより長くなったのでまとめました。
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記事一覧

30歳で自立したくなった話

私は20代後半、細かく言うと27歳の頃から早く30歳になりたかった。 アラサーじゃん、と言われ…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話②/どこかずっと他人事だった

私はこの自立を成功させるにあたって決めていたことがある。それは「妥協しないこと」だ。 ま…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話③/猫脚バスタブの部屋に住みたい

妥協せずに、自分の大好きが詰まった私だけの私のためのわたしのおうちを創る。 居心地の良い…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話④/自分のセンスを信じろ

実のところ、自立部屋創造の第一歩である物件探しは約半年続けていた。 更新時期があるわけで…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話⑤/フレンチモロッコメキシカン

自立部屋となる新居が決まった。となると、あとはインテリアだ。私にはずっとやりたかったテイ…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話⑥/その鼻っ柱をへし折ってやる

タイは最高に楽しかった。 3度の飯がタイ料理でも良い、ってくらいにタイ料理が好きな私は毎日…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話⑦/正論がいちばん人を傷付ける

「ただいま〜」 極めて普段通りの大きさと声質と音程を保って言葉を発した。 でも、いつもだったら聞こえてくる玄関までのダッシュの音も、「おかえり〜〜〜」の大きな声も、犬のようにまとわりついてくる姿も無かった。 リビングの扉を開けると、そこにはテレビの画面をじっと見つめてゲームをしている彼がいた。 「ただいま。帰ってきたよ」 もう一度普段通りの私で声をかけると、こちらをちらりとも見ずに「おかえり」と言った。想像通り。私はむかつきも悲しみもしなかった。 この雰囲気の中で家を

30歳で自立したくなった話⑧/ふたりだけの問題じゃないから

翌日、仕事をしていると先輩であるKさんから連絡がきた。Kさんは彼と私の共通の先輩であり、彼…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話⑨/私の家じゃなかった

「で、おれんちいんの?」 その平仮名の羅列を見た瞬間、サーッという音が耳の奥でして、指先…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話⑩/男女の関係性は自由がきかない

すぐに既読になったが、返信はなかった。 その日はソファで眠ろうと決めた。私の知らない人に…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話⑪/家族の呪縛なんてないと思ってた

別れたいわけがない。 こんなに大切で愛おしい存在を手離せるわけがない。じゃあなんで?なん…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話12/どうしたってひとつにはなれない

いつもとは違う毅然とした態度で話していた私が急に泣き出したことで、彼はハッとした顔をした…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話13/ありきたりな大切なんて言葉じゃ足りない

彼と付き合うまで、私は大切にされるということがどんなことかよくわからなかった。 それまで…

毛糸
4年前
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30歳で自立したくなった話14/私が犯人

目を覚ますと隣に彼の姿は無かった。 急に不安になって飛び起きると、遠くからシャワーの音が聞こえた。 よかった、いつも通りの朝だ。 彼はいつも私の30分前に起きて身支度を済ませ、私の起床時間になると寝室に起こしにきてくれていた。 私は目覚めが良いのでひとりでも起きられる。でも彼が優しく起こしてくれるのが好きで、いつもなかなか起きられない子のふりをしていた。 でも、もうそれも無くなる。そう思って寝室を出ると、丁度お風呂から出た彼と鉢合わせた。 「ひとりで起きられたね」 彼が