見出し画像

#2 ある会社🏢

XXXX年3月31日
約5時間弱の移動を経てある会社に到着。
そう、翌日から社会人としてスタートを切る会社だ。
これからどんな生活になるのか不安も感じながら、会社に送っていた荷物をトラックに移動して、用意された寮に運ぶ。ちょうど桜満開の時期だったのを思い出す。
私が入社した時には会社としてはそこそこの歴史があり、社長は二代目で新しい物好き。
この人との出会いが今後のあんなことやこんなことになるとはもちろん知る由もなかったが。。。

この会社はモノづくりの下請け会社で、取引会社は大手家電メーカーや自動車メーカーなど名の知れた会社ばかり。社員数は100名弱。典型的な個人オーナーの中小企業だが、この業界ではそこそこ名の知れた会社だ。
ほとんどの社員はエンジニアで、上は60歳近い職人からCADなどを扱う20台の若い人たちで構成されている。
女性社員は数名で、経理と業務管理、営業事務くらい。野郎の巣窟だった。

入社式を終えると、各部門の長がそれぞれの部の業務内容やら特徴、部員、仕事場の紹介などで慌しく初日が終了する。翌日からは市が提供する新入社員研修に放り込まれ、いわゆる社会人としての振る舞いなどを教わる。
その後はちょうど出展していた展示会の説明員として派遣され、右も左もわからない状態でカタログを配り、見よう見まねで出展物の説明をする。
入社一週間で展示会の説明員をさせられるとは思ってもなく、本当にヘトヘトになった記憶しかない。
この展示会、なんの展示会だったかすら記憶にないが、出展物と時期的に、今で言うインターモールドだったのではないだろうか。

さて、そんなこんなで数週間が経過していたが、GW明けまでは配属部署が決まらないので各部を研修して回る。

1つ目は汎用機を使った手作りの部署。
彫刻機が主力の部署で図面を見ながら機械を動かして物を作っていく。中堅社員が多く、黙々と仕事をする人たちで構成されていた。
フライス盤や旋盤、ベンチレスなどもあったが、職人3人が独占しておりアンタッチャブルな領域だった。
担当は会社でも有名な偏屈職人で誰も近づかないことでも有名だった。

彫刻機

2つ目はシリコン型を使った部署。
真空注型と呼ばれ、今で言うデジタルとは無縁の部署。
当時は大型のブラウン管TVが市場を席巻していたため、その試作などがメインだった。
シリコン型と言っても、大型ブラウン管サイズになると、100kgを超えてきて、それを転がす体力と力が必要。体力勝負の部署だ。
この会社が設立した当初からあった技術で今でもまだ使われているモノづくり手法だろう。
値段も安く、早く作れるというので仕事は多かった。

真空注型用シリコン型

3つ目はCAD/CAMを駆使した部署。
2代目社長の新しい物好きで、日本でもかなり早いタイミングで3D CADのCATIAを導入していた部署だ。
入社当時は、MicroCADAM、CATIA V4、IDEAS、Unigraphics、ProEngineer、MasterCamと、中小企業にしてはすごいラインナップのシステムを導入していた。
CATIA V4に至っては10数台所有しており、エンジニアも若く、活気がある部署だった。

CATIA V4

ちなみに、私が回った研修コースはこの3つだったが、他にも検査部や光造形部、金型部、営業部、塗装部などがあり、他の同期は別の部署なども研修で回っていた。

研修最終日は同期が全員集まり、各自が受けた研修内容などを発表し合い、最後に希望部署を提出することになっていた。
私は学生の時からCAD(2Dだったが)に触れていたこともあり、配属希望はCAD/CAM部を選んだ。
希望通りになるとは限らないが、この年の同期では私しか希望が出てなかったのと、担当したメンターの人からは、センスがある的なことも言われていたので半ば確信もしていた。

そう、GW明けの5月7日朝までは、、、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?