2/9の粒

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2020.2.9の富士山

窓から富士山が見える場所にずーっと住んでいた
毎朝、ベランダに出て富士山にご挨拶をしていた
今、その住まいを出て、足元がグラついている状況のときに
移動先の町からも富士山が見えるとわかって、
わたしは少しだけ安心した

富士はただそこに在るだけだ
わたしもどこにいても、今ここに在ると
富士をみつめながら思う

そしてそのままの自分を吐き出す

「わたしはそんなに強くない
本当は不安だ
不安で不安でたまらない
1本の道しかないと信じてきたけれど
この道が途絶えてしまったら、
ひとりで放り出されてしまったら、と考えると
怖くてたまらない

大丈夫だと思っていたけれど
わたしはそんなに強くない

強くないよ

弱音を吐いてはいけない
大丈夫だと思わなければいけない
そう思ってきた
だってそう信じないとそうじゃなくなるって
みんな言う

後ろを向いたら見捨てられる
躊躇したら置いて行かれる
弱音を吐いてはいけない
だから
笑顔で前をしっかり見据えていなければいけない

でも本当は怖い
誰か助けてほしい
支えてほしい
決して何があっても離さない、と
強く強く手を握りしめて行くべき場所へ導いてほしい
揺るがない約束をしてほしい

弱音を受け止めてほしい」

わたしは本当は弱いんだ
弱いからこそ今は強くあらねばって思ったけれど
弱いんだ 弱いんだ 弱いんだ

富士に向かってそうつぶやく
富士はただ黙ってわたしを見て「それでいい」とうなづいた
そんな風に思えただけ

弱くていいんだ、と言ってほしかった
わたしの願いが幻を見せたのかもしれない

富士は、ただそこに在るだけだ
わたしも富士山にならおう
弱くてもいい
そこに在るだけで、わたしは、いい

一息ついたら
深刻にならないで
軽やかに
無理しないで、いけたらいい

 










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