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当たり前のことから復習するDX実行推進 Pert.2~変化を計画しよう~

なかなか時間が取れず2回目を出すのが遅くなってしまいました。
前回はDXの実行推進における全体像を復習しました
今回は全体像の一歩目である変化を計画する段階に関して復習していきます

My First Board - DXの流れ (1)

今回のポイント

・計画する目的は後の工程でゴールを見失わないため
・優先順位を決める判断軸をチームで共有しよう

目次

1 変化させる実行内容を決める
1-1AS-ISを整理する
1-2TO-BEを整理する
1-3ギャップを分析する
1-4アウトプットはどうするのか
2 計画を立てる
2-1優先順位を決める
2-2マイルストーンに落とす

1変化させる実行内容を決める

今回はDXの対象をどう変化させていくのかを決めていきます
最終的にマイルストーンに落とすために「どこ」を理想としてめざすのか、そのために現状から「何」を行わないといけないのかを明確にしていかなくてはなりません
そのために現状と理想をはっきりさせてそのギャップからやらなくてはいけないこと、やらなくてもいいことをはっきりさせていくのが
変化を計画する第一歩になります

1-1AS-ISを整理する

まず初めに現状を明確にします。
理想像を明確にするのとどっちを先にするかですが、基本手を付けやすいほうでいいという前提ではありますが、個人的には現状=AS-ISの整理から始めることをお勧めします。
理由は二つあり、チームでDXを行う必要性を共有するため、および担当者が対象を理解するためです。DXは前章でも触れたとおり一人で行うものではなくチームで協力して進めるものです。チームビルディングを課題感を共有することから始めることで、推進中に目の前のことに目が行き過ぎてしまったときにミッションに立ち戻って考えるというのがやりやすくなります。
また担当する人が対象について当事者でないことが往々にしてあると思います。対象を熟知している方なら理想像まですでに見えている場合が高いですが、当事者でなく対象について理解が浅い担当者がいきなり理想像を描くと、現場に導入してみたら現状の課題と合わないために全然使われない原因になりかねない。そのためまずは現状の分析から始めることが多くの場合いいと考えてます。

AS-ISの整理においては以下をはっきりさせましょう。
・現場で生じている課題感が何なのか
・原因はどこにあるのか
・代替手段はあるのか
・どのくらい大きな問題なのか
ここで大切なのが、その課題を解消することが可能なのかはAS-ISの整理においてはいったん気にしないでおくことです。目的が現状の課題を明確にすることなのでできるできないは置いておいてまずは課題をありのままに出しておきましょう。

1-2TO-BEを整理する

次に理想像=TO-BEを明確にします。
対象がどうなった状態がDXのゴールなのかを明確にすることで今やるべきこと、やらなくてもいいことの判断基準を作ることができます。誰かの受け売りではありますが、山登りに例えると登る山が富士山なのか、それとも近所の山なのかによってやるべきことや準備が全く異なるように、ゴールが違えばやるべきことが変わってくるので、どこを理想とするのかはこれからのタスクを決めるために大変重要な要素になります。

整理においては以下をはっきりさせましょう。
・何のために対象の行為を行っているのか
・どのくらいの時間で行いたいのか
・何ができたらいいのか
この整理においてもいったん実現できるかどうかは置いておきましょう。SFの世界じゃないんだからと思うレベルでもいいです。夢ばかり語られても無理だよ、ということが現場では日常茶飯事に起こっていると思いますが、夢は夢でいったんお聞きして、この後そこに向かってマイルストーンに沿ってまずはここからやりましょう、と相手と交渉していけばいい。TO-BEを整理するのはどこに向かうのかを明確にするためなので、整理の段階では実現性は脇に置いておきましょう。

1-3ギャップを分析する

AS-ISとTO-BEの整理が終わったらどこにギャップがあるのか分析します。分析というと大げさな感じがありますが、要は単純に異なっている点を洗い出す作業です。作業のポイントとしては以下になります。
・AS-ISとTO-BEでフローでいうとどう変わるのか
・AS-ISとTO-BEを5W2Hで整理するとどこが変わるのか
・出てきた変わる点はいくつかの要素に切り分けられないか
ポイントとしてはAS-ISとTO-BEを同じ軸、同じ条件を比べることです。同じ要素同士を比較することで変える必要がある部分だけでなく、現状から変える必要がない部分も明確になるのでやらなくてもいいことが把握できます。通常リソースは有限なので、効果のあることに集中するためにも割り切ってやらないことを決めることはとても重要なことです。
ここまでを行った結果、変化させる実施内容がきまりました。これを実行するためにマイルストーンを作る段階に移ります。

1-4アウトプットはどうするのか

さて、ここまでの内容は具体的にどんなアウトプットとしてまとめるのかについて押さえておきたいと思います。
大前提としてにはチームで共通理解が形成されるものが必要というのは前回も記載した通りですが、この現状や理想の整理とギャップの分析に活用できるフレームワークがその共通理解も形成しやすいかと思います。
結論言うとそれだけを行うフレームワークはないと思います。比較する軸がそろっていれば、箇条書きでも問題ないと思います。より後の工程を意識して、パターンを絞って状態遷移図を作ってもいいと思います。何がギャップになっているのかチームで共有できて、やることやらないことを明確にできる方法でやりましょう(悩んで執筆が進まずこの結論に至った経緯もあるので、もしこういうのいいよってものがあれば教えていただきたいです)
また整理する際に現場の人にヒアリングを行うことも多いと思いますが、こちらの手法に関してはこのシリーズを書き上げたあとに構想が固まれば書きたいと思います。

2 計画を立てる

次にギャップを埋めていく計画を立てます。
ゴールはまず何から手をつけて進めるのかが明確になった状態です。そのために理想に向かってどういう順番で物事を進めていくためにマイルストーンを組み立てます。
組み立てるためにはやるべきこととやらないことをしっかり区別しなければなりません。そのために優先度を明確にしていきましょう。

2-1優先度をつける

ギャップを埋める優先度をつける際に抑えて比較するポイントはチームにおける関心がどこにあるかも含めて検討します。私がマストで押さえるべきだと思うのが以下の3点です。

・現状実現可能か
・実現するまでにどのくらい時間がかかるか
・それが変わることで対象がどのくらい変化するのか

1点目の実現可能かは直近やることを決めるにおいては必須の検討事項です。前段階の分析を行う際は実現可能かどうか気にしてませんでしたが、ここからは実際に実行計画を立てるにあたりできることから進めないといけません。
できる望みがないことに手を付けても物事は何もすすみません。できることから少しずつでも進めていき、微々であっても効果を出していくことが大切です。

2点目の時間とステップも実現可能かにも似ているのですが、少しずつでも効果を出していくために行えることをやるために考えたいファクターです。
一日でできることと一年かかることがあれば、まずは一日でできることからやってみようという感じです。

3点目はどのくらいの効果があるのかを考えるファクターになります。やっても効果が見込めないならやらなくてもいいという判断になります。
これらファクターをざっくり比べることでより短期間でより効果のでることからを優先度を高くしていきましょう。

さて、上記3点以外にも優先度を決めるための軸があるかと思います。また上記の所要時間やインパクトの大きさの計り方も人それぞれだと思います。そのためチーム内で認識の相違ができてしまうことが往々にして起こります。
だからこそチーム内でどういう軸で優先度を決めるのかを事前に共通認識にしておけるといいです。優先度を決めるファクターは何を選ぶのか、そのファクターはどうやって計るのか、実際に計るのは誰が行うのか。この共通認識があることで優先度をつける作業も優先度の合意形成もスムーズになります。

2-2マイルストーンに落とす

さて優先度がついたところでマイルストーンに落として計画を立案しましょう。優先度が高いものを並べ、実現までの時間をもとにいつまで何を実現するのかを可視化します。
この作業の際にギャップの分析や優先度をつける中で漏れてしまっていた前段のステップがないか改めて確認します。また、優先度上は低いが、優先度が高いものの前段階として実現したほうがスムーズに進むものがあれば計画上前後関係を入れ替えます。

このマイルストーンの立案に役立つフレームワークの一つがPERT図になります。よくクリティカルパスを明確にするためにもう少し詳細な開発管理のシーンで用いられるイメージが強いかと思いますが、このレベルの大きめのシーンでも十分効力を発揮してくれます。

作り方は図のようなやり方で考えていくと作りやすいかもです。このあたりはやっていく中でいいやり方を探してください。

My First Board - PERT作り方

ここまでできれば、DXをどこに向かって何をやっていくのか明確になり、実行する上でも指針になります。今何をすべきで、次は何をすべきなのか、実行中に迷ってしまったときの道しるべになります。
もちろん、計画中に想定外の状況が発生して計画を見直さなくてはいけなくなることも多いと思います。そんなときもマイルストーンがあれば、ここの順番を変えようだとか、ここまでは来てるから別の道を検討しようだとか計画の変更にも共通認識をもって考えることができ、スムーズに意思疎通しながら再計画を練ることも可能になります。

まとめ

今回は計画を立てる段階を見てきました。冒頭でもお出ししたポイントがやはり重要なので、そこを抑えて計画を進めれるといいと思います。

・計画する目的は後の工程でゴールを見失わないため
・優先順位を決める判断軸をチームで共有しよう

もっとこうしたほうがいいよなどご意見あればぜひ参考にしたいのでコメントお待ちしております。

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