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子どもたちと食の探究学習


「珈琲きゃろっと」さんとの出会い

パン屋を終える決断した時期、これから先のことを毎日考えていました。


今、自分ができること、やるべきことはなんだろう…
考えれば考えるほど、頭の中がぐちゃぐちゃになる感じがして眠れない日もありました。


そんな時、パン屋を終えるお知らせの投稿を見た友人から連絡が来たのです。
その友人の子どもはアレルギーを持っていることもあり、突然小麦を食べられなくなった私のことをとても心配してくれました。


その友人が働いている職場が「珈琲きゃろっと」さんだったのです。
「珈琲きゃろっと」は恵庭にカフェと焙煎工房がある珈琲屋さん。
恵庭市恵み野という場所にカフェがあり、オンラインショップで珈琲豆も販売している人気店です。

珈琲きゃろっとさんの珈琲


その友人から、珈琲きゃろっとさんが教育事業を発足し、子どもたちに「生き方教室」というのを行っていることを聞きました。

「子どもたちの未来が少しでも明るく、豊かなものになるように」という想いを軸に、珈琲きゃろっとさんで働くスタッフのお子さんを対象に、パン屋さんやカレー屋さんを招いて一緒に調理をしながら子どもたちに大切なことを伝えているのが「生き方教室」です。
その話を聞いて、自分がやりたいと思っていることに、近い部分があるのではないかと感じたのです。

それが珈琲きゃろっとさんとの出会いでした。


珈琲きゃろっとさんの焙煎工房



その後、恵庭へ向かい、珈琲きゃろっとさんを訪れました。

教育事業についてお話をお聞きしながら、なんて素敵な場所なのだろうと本当に感動しました。
私自身の今までの経歴や、パン屋を終える決断をしたこと、そしてこれからのことの話も聞いてくださりました。それまでずっと不安で埋まっていた心がその時、救われたようなそんな感覚になったことも忘れられない日でした。

こうして話をする中で生まれたのが、今回の商品開発プロジェクト「食の探究学習」でした。そして大変有難いことに、この探究学習を教育事業の一環として行っていただけることに。
参加者は、珈琲きゃろっとさんで働くスタッフのお子さん(小学3年生以上を対象)です。

初回のパン作り体験の様子

食の探究学習のはじまり

探究学習は5月~7月。8月に発表会。と約3ヵ月かけて行います。
私は、子どもたちの伴走者とお菓子作りに関する指導者という立場です。

初めに、子どもたちに当店や私のことを知ってもらうため、パン作りのワークショップを開催しました。

その参加者の中で探究学習に興味を持ってくれたのは小学生から中学生の7人の子どもたち。

パン屋をやっていた時に小麦を食べることができなくなってしまったこと。今はアレルギーに対応したお菓子を販売していること。
そして今回の探究学習は「大豆以外のアレルゲン食材を使用しないお菓子の開発」という難しいテーマであることを伝えましたが、
「アレルギーがある子どもたちが食べられるものを作りたい!」
「お菓子作りが好きだからやってみたい!」
と積極的に参加を希望してくれて本当に嬉しかったです。

米粉焼き菓子の試食会


1回目の探究学習は、米粉焼き菓子の試食会をしながら、作りたいものを考えました。
米粉の焼き菓子を食べたことがない子がほとんどだったので、どんな味なのだろう…と興味津々で食べる子どもたち。

「モチモチしていて美味しい!」
「お米の味がする!」
「初めて食べる味がする!」


と、いつも食べている小麦粉のお菓子と比べて、米粉は食感や味に違いがあることを早速発見していました。
米粉の特徴を知った子どもたちは、レシピ本やインターネットなどで自分が作りたい米粉の焼き菓子を探し、用意したワークシートにレシピを書き起こす作業を行ったり

アレルゲン食材についても子どもたちは、初めて知ることばかりなので、「この食材は使っても大丈夫?」
「この食材もアレルギーの人がいるんだね」
「代替えで使える食材は何があるだろう…」
などと、
自分たちで考えたり、質問しながら、必要な材料も考えていました。

遊びではなく、お客さまに販売する商品をつくる。ということもわかっている子どもたちは、最初の活動から真剣に取り組んでいました。

心配そうにオーブンの前で見守る2人

試作と苦戦

3回目の活動から試作が始まりました。

子どもたちが考えたお菓子は
・カカオパウンドケーキ
・カカオクッキー
・ブルーベリー蒸しパン
・焼きドーナツ
・カヌレ

の5種類。この中から一つを選び、当店の商品として販売する予定です。
(どれか一つを選ぶなんて心苦しいのですが…)

試作は1人又は2人で取り組みます。
材料の買い出しも子どもたちと一緒に。(遠足気分で楽しそうでした♪)試作活動の前からやる気満々の子どもたちは、家で実際に作ってみたり、わからないことは私と連絡を取り合いながら準備をしました。

それもあり、スムーズに試作は進みましたが…

「あれ?あれれ…?」
「なんで、こうなった??」
「硬すぎる!」
「全然ふくらんでない!!」
「家ではうまくできていたのに…」


と、完成したのは子どもたちが想像していたお菓子とは違った様子…


だけど失敗してもあきらめずに、「どうしてこうなったのか」原因と解決策をすぐに考えたり調べる子どもたち。

失敗しちゃったけど、試食してもらおう!と、試作のあとは毎回、きゃろっとで働いている方々や、一緒に活動しているお友だちに試食をしてもらい感想を聞きます。
客観的な意見を聞くことで、よかったところ、うまくいかなかったところが整理できて、「次はここを変えてみよう!」「こうしたらうまくできるかも!」と次の活動に活かそうという意欲的。

試作後のふり返りの時間



2回目・3回目と試作活動を重ねるごとに、前回の失敗を活かして材料の割合いを変えたり、焼く温度や時間を変えたり…試行錯誤。
家に帰ってからも試作をして、報告してくれる子や、休みの日に米粉の焼き菓子屋さんへ行って、作り方のコツを聞いてきた子まで!

その甲斐もあり、どんどん上達して美味しいお菓子を作れるようになり、
最後の試作活動が先日終了しました。

計量は丁寧に

試作活動を終えて

子どもたちにとっては探究学習も米粉のお菓子作りも初めてのことで
戸惑うこともたくさんあったと思います。

失敗もたくさんして、上手くできないこともあって、あきらめたくなる時もあったかもしれません。

だけど、参加してくれた子どもたちはみんな、最後まであきらめずに探究し続けていました。

きっとそこには、子どもたち自身の最後までやり遂げるという気持ちと、誰一人として、失敗したことを責めたり、否定する子がいなかったからだと思います。驚いたのは、自分が作っている物ではなくても、傍で見守ったり手伝ってあげる子や、上手く作れなかった子のお菓子を食べて「甘くておいしいよ!」「この感じもいいね!」とみんなポジティブに言葉を伝えていたこと。(なんて優しい子たち…)

きっとこれまでの活動の中で、何かを作り出すことの難しさを感じたと思いますが、それが形になることで生まれた感情もあったのではないかと思います。上手くできた時の子どもたちは本当にいい表情をしていました!

子どもたち手作りの感想BOX

お知らせ

子どもたちの探究学習はここで終わりではありません。
子どもたちの考えたお菓子を、お客様の元へ届けるというのを目標にしています。

そこで、今まで試行錯誤を重ねて作り上げた子どもたちのお菓子を、ぜひ皆さまにご試食いただき、感想をお聞きしたいと思っております。
いただいたご感想をもとに、どのお菓子を商品化するのかを決定いたします。

試食会の場所は恵庭市恵み野にて行われる「晩飯市」というイベントです。(珈琲きゃろっとさんの出店ブース内にて)
日時 : 7月27日(土)17:00〜19:00(お菓子がなくなり次第終了)

足を運んでいただける方がいましたら嬉しいです。
子どもたちも張り切っていますので、ぜひお待ちしております。

店主より







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