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言語化できない人の特徴と、ビジネスが生まれない「つながり」の特徴

私はいくつか仕事をしている中で、とある団体のゴーストライターとして企画書を作ったりコーディネーターをすることがある。その企画書は近畿圏の市長や町長、大手企業の会長社長が見ていただくので、気が抜けない仕事である(しかし、もちろんそれがビジネスとして進まないとお金にならない。どんな企画書を書いても、それが市長町長や社長たちのニーズに当たらない限り、そしてそれが実現可能性なものでない限りお金にならない。ようやくそのあたりができるようになったので、これからまた忙しくなるのだが)。

さてその仕事の中で、とある女性の団体代表者から、多くの会社社長に提示したいビジネスプラン企画書を書いてほしいという依頼があった。今回初めてこの方から依頼をいただいたのだが、とてもとてもとてもとてもとても苦労した。苦労した点は、以下の通りである。

①思いは強い。簡単に言うと、「地球を救うためのビジネスをしなければならない」※SDGsで事業を興したい、という意味。

②それなりの人脈があり、様々な社長がいる(なので、それぞれの社長に個別に説明しに行く資料ではなく、多くの人が納得するような資料を作ってほしい)

③では、その多くの人脈の人に響く企画のためには、
 (1)「何がコアコンテンツとなり、その人(女性代表者)がそれを提供できて」
 (2)「どんなビジネスモデルが構築でき」
 (3)「どんなキャッシュポイントが生まれて」
 (4)「参画する人はどんなメリットがあるのか」
 (5)「運営にかかわる資金はだれがどう集めていくのか」

までを、考えなければならない。

④しかし、、、この(1~5)が、まったくといっていいほどその人の中でできていないのである。特に、(3)(5)の構想がない。それが無ければ企画書を作ったところで、『地球のためにみんなで頑張りましょう』くらいにしかならない。もちろん、SDGsのための具体的なアクションは必要である。しかし、そのためには多くの人が参加をして持続して行える「ビジネス」を構築していかなければならない。儲けるための、ではなく参加する人にとってPRやCSRといったところへのメリットが十分に生まれるようなコアコンテンツに磨き上げなければならない。最低限の運営資金がなければそれもできない。

普通なら2時間のヒアリングでそれなりの企画書を作ることができるのだが、この度はほぼ2日かかった感じである。頭の中にあることの言語化が不得手な人と付き合うのは正直こりごりだ。しかし、結果として②と③の(1)の部分がとんでもなく弱いことが判明し、おそらくこの企画書は没になるであろう。

さて、言語化ができない人の特徴はこの人だけに限らず、多くの人が共通している。

A:思いが強すぎる
B:「人脈」というものの本質を理解していない
C:金勘定が弱い


というところがある。Aの部分が特に共通しているが、「これをやるのが正義だ!」などと思ってしまうと、それに共感できない人は「自分とは関係ない人」だと思い、『その人の言葉を聞かなくなる』。しかし、往々にして(1)~(5)を構築できる人は、思いに同調する人よりは「客観的に」物事をとらえられる冷静さを持った人である。その人が、Aの部分に突っ込みを入れても、「活かされない」。かくして、その思いを実現させるためのビジネスは何も生まれないままである。

そして、ものすごく面倒くさいのがBの部分である。ボンボン経営者やキラキラ系の人に多いが、名刺交換や誰かの紹介であって数回飲んだだけでは「人脈」といえないのである。「つながり」ですらない。社会において、ビジネスをなしうるのは「人脈」ではなく、「ビジネスとしての利害関係」である。ともに利益になるか、お金を払って活動してもらえるか。そこだけである。理念や思いがどれだけあっても、続けるには「お金が稼げる」仕組みが必要なのである。

ビジネスが生まれない「つながり」は、そこに決定的に「お金が稼げる」仕組みが欠けている。しかし、そこに「思い」はある。しかし、先に挙げた言語化が不得手な人たちは何故か「つながり」をたくさん作りたがるし、そこで「何かが生まれる」と信じている。果たして多くの人はつながりを作り、ワインを飲みながら、あるいはどこかの会議室で「このメンバーなら新しいことができる」と怪気炎を上げる。そこに何も仕組みができていないのに。

本来なら、そういうつながりのいくつかで本当に面白いビジネスが生まれて然るべきなのであるが、そこに言語化(ビジネスモデルの構築)ができる人がいない。というより、言語化できる人はそんな「思い」だけで動いていないので、そういうつながりの場所とかに行くことが少ないし、「何かが生まれる」ためにはお金や労力が(その目的が、地球を救うなど大きければ大きいほど)とんでもなく必要であることを知っている。だから、「何かしようぜ!」という怪気炎が上がる前にそろばんが脳みその中ではじかれて、それ以上考えることを拒否する。

経営者に求められているのは、本来は「思い」「繋がり」「金勘定」なのである。そしてそれがうまくすすんでいくためには(1)~(5)の言語化ができることなのだ。残念ながらそういうところを兼ね備えている人は少ないのだが。

とりあえず、この数日間の努力を返してほしい。





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