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地方創生の起業で失敗しない「かもしれない」方法(協力者編)

起業するということはとても大変なことなので、多くの場合いろいろな人の助けを得ながら進めていくものだ。特に、地域の中で何かをしようと思ったら、設立手続きというよりは、資源の調達、販路の開拓、行政との必要な橋渡し、偉い人への挨拶、それなりの地域ルールを教えてくれる人などが必要になってくる。

地域おこし協力隊として赴任し、カフェを開いたり事業を起こしたりという人は多いが、その立ち上げにおいて親身になって協力をしてくれる人がいてくれて本当に助かった、やはり地域のつながりというものは素晴らしい、という話はよくある。

しかし、そういう話ばかりでもなくて、地域において新しいことをするにあたって協力者選びで失敗すると大変なことになることは多い。
1つは、地域の人が協力するからと言ってもむやみにその力を信頼してはいけない事、2つ目は、事業にお手伝いしたいからと言ってやってくるやたら人脈が広い人などは信頼してはいけないということだ。

前者については、その能力が問題となる。地域との他人のつながりは確かにあったりするが、事務処理能力はじめ、契約や商流構築などの経験がとても薄い(あるいはほとんどない)ので、契約条件などの説明が全然できていなくて結局クライアントから怒られたり、約束が口だけになっていて、納品が来なかったり、あるいは逆で頼んでいなかった商品が届いて金払え、となることである。

地域の人はこういう事務仕事とか契約ごととかをやってこなかったわけではないが、なんとなく口や雰囲気でうまいことやってしまって生きている習慣があったりする。これをしっかりと確認しておかないと本当にまずい。責任は事業を起こす人そのものにあるし、何かあった場合、その人は責任を取らず、事業主のせいにする場合があり、その時は事業主自身がその地域にいられない場合になる。なので、地域の人が手伝うという場合は、何を任せるのか、その人の能力は本当にできる人なのかを見極めてからのほうがいい。数無くとも契約や納品のチェック金額のチェックは自分自身で最初のうちはすべてやるくらいでないといけない。

2つ目の内容は、いわゆる寄生虫のような人だが、たまに大きな問題になったりする。

上記の事件は、兵庫県の宍粟市(しそうし)というところで、地元産の楮やミツマタ(和紙の原料)を復活させるために、元神戸市議の人間が事業を提案してそれに宍粟市がのっかってしまい、国の補助金を活用して事業を行い始めたが、勉強会と称して行われたセミナーの講師はこの元市議の親族、かつ参加者は架空の人間で水増し、行われていない事業や工事で不正に補助金を得たとされる事件のものである。
なんでも、宍粟市の人によると「紙幣の原材料として使ってくれる販路があるから」ということで、近づいたらしい。本当に販路があったのかどうか知らないが。

この場合は事業提案と称して市に近づいたが、他にもこのようにいろいろな人が入り込んでくることは多い。先のように、事務能力が乏しいというより、こちらの場合は「事業が本当にできるかどうか」怪しい人が多い。また、それにリスクは負わない。これを見抜くには、セカンドオピニオンとしてその人のことをいろいろ知っている人などを別で探す必要がある。

もう一つのパターンがある。多くの協力者が必要、もしくは地域で一体になることが必要だからと言って、いろいろな人を株主や協議会メンバーのような形で組織化してしまうことである。言われてメンバーになった人が、自主的な協力や建設的な意見など言うわけがない。かくして船頭多くして、の状況が出来上がるが、悪い時は『俺の企業・組織にもおいしい思いをさせろ』と公然と宣う人まで出てくる。商店街系の組織や事業でこのへんの話が多い。まれに、大きな規模の、地域の運命を掛けた事業体を作るときにもこういうことがあり、消耗品一つにしても調達先が地元の企業2社を経由しなければならず、高くつく、ということが起きる。


いずれにせよ、地域で起業を起こす、何か事業を行っていくのであれば協力者は必要だがそのかかわり方は注意しなければならない。先ずは、本当に困る前に、目の届く範囲で他人に任せていき、ある程度ルーチーンになったところで任せるほうがいい。しかしそれでも決済に関すること、お金に関すること、契約に関することは事業者その人自身が自分の範囲内でやるべきだ。後悔しないためにも。


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